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第12話 朝風呂での事故
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翌朝、ミーシャはハルトよりも早く起床したので朝風呂に入ることにした。
「ふんふふーん♪」
今日はいよいよ冒険に出発する日だ。
ミーシャはどんなモンスターや動物が居るのかな、と胸を踊らせていた。
――ちょうどその時、ハルトも起床した。
…ここでミーシャの部屋をノックしなかったのが運の尽きか。
バスタオルをアイテムボックスから取り出し、朝風呂に向かう。
いつもの様に外へ出て、裏庭に行く。
脱衣場は小さい小屋。もちろん男女は分けられている。衣服を脱いだハルトは腰にタオルを巻き付け、浴室に入る。
風呂釜はひとつしか無いため、待たずに使えるのは運が良い。手すりにかかっている札は”未使用”を示していたので心の中で「ラッキー」と呟きながらドアを開ける。
だがそこに居たのは……
「……え?」
――一瞬、空間がフリーズした。
目を真ん丸にしてハルトを見つめるミーシャ。
その小さい体躯を両手で隠し、悲鳴を上げる。
「ひ、ひゃぁああ!!!」
「う、うわぁぁぁ!ご、ごめん!ミーシャ!!」
慌ててドアを閉めるハルト。
まさかミーシャが入っているとは思わなかった…
あれだけ風呂は覗かないと豪語していたのに、思わぬ形でそれは破られる事になってしまった。
…だがハルトはそのチートな反応速度で「人が居る」と認識した瞬間、目を逸らしドアを閉めたのでミーシャの体は見ていない。
――セーフか?いやアウトだろッ!!
心の中でセルフノリツッコミをするハルト。ドア越しにミーシャに謝罪した。
「ご、ごめんミーシャ!札が未使用だったからつい…」
「い、いえ、ハルト様は悪くないです…。私の不注意でした、すいません」
ハルトは改めて謝った後、軽くシャワーを浴びて部屋に戻った。
15分程してミーシャも戻ってきた。
「……その…さっきのは、気にしないでください」
視線を逸らし、僅かに頬を染めるミーシャ。
気にするなと言われると気にしてしまうのが人間の性だ。尚更思い出してしまう。
「あ、ああ。その、見てないから、安心してくれ」
「……はい」
…これ以上、この話をほじくり返すのは辞めておこう。
――ハルトとミーシャは宿の女将に「世話になった」と礼をした。女将は「また来た時はご馳走してやる」と笑顔で送り出してくれた。
そして昨日買った馬車を取りに行く。
「おぉ、来られましたか。これがその馬車になります」
人が6人は乗れそうな荷車に、馬が1匹着いている。
旅をするには申し分無い大きさだ。
「ありがとうございます、ではこれで」
「ええ、気をつけて。なにぶん、最近は盗賊と魔物が急増していましてね。私も必ず護衛を付けるようにしています」
盗賊が増えているのは何故だか知らないが、魔物が増えているのは恐らく魔王とやらが活発になっているのだろう。
ハルトは馬車に乗り、ミーシャに手を差し伸べる。
ミーシャ1人では乗り降りが大変なので、小さい梯子を付けておこう。
初めて馬に跨るが、思っていたよりも高くて怖い。
ハルトは手綱を取った。
〉「馬術」スキルを得た。
そのままハルトは制馭して、城壁の方へ向かった。ステータス画面に地図は乗っているので迷うことは無いだろう。
「――どうだ、ミーシャ?乗り心地は」
「…少しお尻が痛いですが、快適です」
やはりこの時代の乗り物にはサスペンションが無い為、揺れがダイレクトに来るのだろう。
…そのうち改造するか。ハルトの「創造」があれば王族顔負けの馬車が出来上がる。
1人、脳内で計画を考えているうちに、城壁へ到着した。門をそのまま通ろうとすると兵士に止められた。盗賊が増えているので警戒をしているのだろう。
「外には何の御用で?」
「メリアルガ公国のヴァシル商会に手紙を届けに」
念の為と積荷を確認された後、兵士の許可が下りたので出国する。今のところ荷車にはミーシャしかいないが。
「――ここから、俺の冒険が始まるんだ…!」
ハルトはとりあえずメリアルガ公国への用事を済ませてから、色々な国へと旅をするつもりであった。
きっと見知らぬ景色、魔物が見れるだろう。
ハルトはその期待を胸に、旅へと出発した。
「ふんふふーん♪」
今日はいよいよ冒険に出発する日だ。
ミーシャはどんなモンスターや動物が居るのかな、と胸を踊らせていた。
――ちょうどその時、ハルトも起床した。
…ここでミーシャの部屋をノックしなかったのが運の尽きか。
バスタオルをアイテムボックスから取り出し、朝風呂に向かう。
いつもの様に外へ出て、裏庭に行く。
脱衣場は小さい小屋。もちろん男女は分けられている。衣服を脱いだハルトは腰にタオルを巻き付け、浴室に入る。
風呂釜はひとつしか無いため、待たずに使えるのは運が良い。手すりにかかっている札は”未使用”を示していたので心の中で「ラッキー」と呟きながらドアを開ける。
だがそこに居たのは……
「……え?」
――一瞬、空間がフリーズした。
目を真ん丸にしてハルトを見つめるミーシャ。
その小さい体躯を両手で隠し、悲鳴を上げる。
「ひ、ひゃぁああ!!!」
「う、うわぁぁぁ!ご、ごめん!ミーシャ!!」
慌ててドアを閉めるハルト。
まさかミーシャが入っているとは思わなかった…
あれだけ風呂は覗かないと豪語していたのに、思わぬ形でそれは破られる事になってしまった。
…だがハルトはそのチートな反応速度で「人が居る」と認識した瞬間、目を逸らしドアを閉めたのでミーシャの体は見ていない。
――セーフか?いやアウトだろッ!!
心の中でセルフノリツッコミをするハルト。ドア越しにミーシャに謝罪した。
「ご、ごめんミーシャ!札が未使用だったからつい…」
「い、いえ、ハルト様は悪くないです…。私の不注意でした、すいません」
ハルトは改めて謝った後、軽くシャワーを浴びて部屋に戻った。
15分程してミーシャも戻ってきた。
「……その…さっきのは、気にしないでください」
視線を逸らし、僅かに頬を染めるミーシャ。
気にするなと言われると気にしてしまうのが人間の性だ。尚更思い出してしまう。
「あ、ああ。その、見てないから、安心してくれ」
「……はい」
…これ以上、この話をほじくり返すのは辞めておこう。
――ハルトとミーシャは宿の女将に「世話になった」と礼をした。女将は「また来た時はご馳走してやる」と笑顔で送り出してくれた。
そして昨日買った馬車を取りに行く。
「おぉ、来られましたか。これがその馬車になります」
人が6人は乗れそうな荷車に、馬が1匹着いている。
旅をするには申し分無い大きさだ。
「ありがとうございます、ではこれで」
「ええ、気をつけて。なにぶん、最近は盗賊と魔物が急増していましてね。私も必ず護衛を付けるようにしています」
盗賊が増えているのは何故だか知らないが、魔物が増えているのは恐らく魔王とやらが活発になっているのだろう。
ハルトは馬車に乗り、ミーシャに手を差し伸べる。
ミーシャ1人では乗り降りが大変なので、小さい梯子を付けておこう。
初めて馬に跨るが、思っていたよりも高くて怖い。
ハルトは手綱を取った。
〉「馬術」スキルを得た。
そのままハルトは制馭して、城壁の方へ向かった。ステータス画面に地図は乗っているので迷うことは無いだろう。
「――どうだ、ミーシャ?乗り心地は」
「…少しお尻が痛いですが、快適です」
やはりこの時代の乗り物にはサスペンションが無い為、揺れがダイレクトに来るのだろう。
…そのうち改造するか。ハルトの「創造」があれば王族顔負けの馬車が出来上がる。
1人、脳内で計画を考えているうちに、城壁へ到着した。門をそのまま通ろうとすると兵士に止められた。盗賊が増えているので警戒をしているのだろう。
「外には何の御用で?」
「メリアルガ公国のヴァシル商会に手紙を届けに」
念の為と積荷を確認された後、兵士の許可が下りたので出国する。今のところ荷車にはミーシャしかいないが。
「――ここから、俺の冒険が始まるんだ…!」
ハルトはとりあえずメリアルガ公国への用事を済ませてから、色々な国へと旅をするつもりであった。
きっと見知らぬ景色、魔物が見れるだろう。
ハルトはその期待を胸に、旅へと出発した。
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