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第二章 超ハードモードの人生を終わらせるために頑張ります

まさか、そんな仕掛けが……

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 全ての試験を終え戻って来た時は、もう夕方になっていた。

 面接の時間がいつもより長かったらしい。控室に戻って来たら、そんなことを受験生が話しているのを耳にした。それがどう意味かは分かんないけど……全部終わったんだ、後はなるようになるだけよね。まぁ内心ではそう思いながらも、Sクラスじゃなかったら、たぶん私……地の底まで沈むんじゃないかな。

 学園の合格通知は一週間後に各家に配送されるんだって。まぁ、対象者は五人だけだからその方が早いよね。クラス分けの結果は、それからニか月後に張り出されるんだって。

 たぶん、合格は出来ると思う。メインはニか月後のクラス分けだよね……それまで胃がもつかな……

 知らないうちに溜め息を吐いていた。何回も。

「…………マリエール様」

 殆ど聞き取れない声でアンナは呟く。何度も溜め息を吐く私をアンナは心配そうに見詰めていた。

「マリエール、お帰り!!」

 ジークに支えられ馬車から下りた途端、殿下に抱き付かれ掛けた。抱き付かれる瞬間、側にいたお父様に襟首を掴まれて抱き付けないでいた。

 お父様、ナイスです。

 殿下はお父様に文句を言ってるけど、お父様は完全無視。一応、殿下はこの国の次代なんだけど、いいのかな……まぁいいか。陛下も王妃様も怒ってないし。シルキー様も待っていてくれた。何故か、関係のない騎士団長様と師団長様もいた。

「只今戻りました。私のために時間を割いて頂きありがとうございます」

 にっこりと笑うと皆に頭を下げた。感謝の気持ちはちゃんと言わなきゃね。

「お疲れ様です。それで、試験はどうでした?」

 シルキー様が尋ねてきました。

「筆記試験はなんとか全部解けました。あまりにも問題量が多くて大変でしたけど」

 少々ゲンナリとしながら答える。

 一教科、百問近くあったんじゃないかな。それを一時間で答えるんだよ。頭爆発するかと思ったわ。

「そうですか……問題量が多かったのですね。因みに何問ぐらいでした?」

「一教科百問はあったと思います」

 シルキー様が一瞬驚いた表情を見せた。だがすぐに元に戻る。シルキー様は珍しくにっこりと微笑む。師団長様と殿下も、シルキー様に劣らず満面な笑みだ。陛下も王妃様も。ただ、お父様と騎士団長様は微妙な表情をしている。

 あまりにも温度差があるので、少し不安になるよ。でも、引っ掛かってるのは問題量だよね……解けたか解けないかじゃなくて。

「そうですか……問題量が多いことは上々です。かなりの加点ですね」

 なら嬉しいけど。でも、
 
「……加点ですか?」

 どういうこと? 聞いたことないんだけど。

 まるで、一人一人問題量が違うみたいな言い方だよね。まさか、そんなことないよね。

「ええ。魔力の量により問題量が多くなるのです」

 えっ!? 魔力によって問題量が多くなる……? 何それ?

「試験を受ける際、筆記用具の持ち込みが禁止されたでしょ。その時に渡されたペンと答案用紙に細工がされているのです。魔力量が自動的に測れるように」

「じゃあ、あの筆記用具は魔法具だったんですか!?」

 驚いた。まさか、そんな仕組みになっていたなんて。ということは、お父様も騎士団長様も……問題量が少なかったんですね。そこは訊かないでおいた方がいいよね。

「気付きませんでした?」

「……はい」

 正直、それどころじゃなかったです。そんな余裕なんて全然。……でも、入学出来たら、詳しい話を聞いてもいいのかな? 製作者の話を聞きたい。

「それは、止めておいた方がよいでしょう。一応、極秘ですからね」

「えっ!? ……もしかして、また口にしてました?」 

 シルキー様が笑顔のまま頷く。

 悪い癖だ。たまに出ちゃうんだよね。直さないと。にしても、残念。訊けないのか。

 でも、シルキー様のおかげでSクラスが見えてきました。心が少し軽くなりました。ありがとうございます。


 

 
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