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第二章 超ハードモードの人生を終わらせるために頑張ります
困ったちゃんのせいで死亡フラグが立ちました
しおりを挟む「どうやら、体調が悪くて休んだのではなさそうですよ」
学園に着いた瞬間、学長室に拉致された私に対して、インディー様の第一声がそれだった。
目の下の腫れ、だいぶん引いたわね。インディー様。
まぁそれはさておき、王家に対し黒に近い灰色のポーター公爵家には、暗部の人間が数人潜り込んでいるのは知っていた。
当然の策よね。なんせ、自分たちにとって代わろうと企んでいるんだもの。対策を練るために監視されて当然だわ。寧ろ、しない方がおかしい。
なので、他クラスだけど、ディア様が学園を休んだことは容易に知ることが出来た。
「……やっぱり、動き出したのね」
なにかしら、行動を起こすとは思ってた。とことん、顔を合わさないようにしてたからね。私だけじゃなく、殿下自身も。だから、困ったちゃんが苛々して地団駄踏んでるのは知ってた。クラスメートから聞いてたからね。
そしてその行動は色んな場面で見られ、なかなか厳しい目で見られているのも知っていた。その上、私の悪口をあちこちで囁いているから尚更だ。同情心を煽っているらしい。だけど相手は、未来の王妃だからね、厳しい目で見られて当然よね。まだ未成年の子供でもね。
私はあの困ったちゃんと同レベルに見られたくないから会わなかっただけだけど。それに、面倒くさかったし。だけど困ったちゃんにとったら、煽りに煽った形になった訳ね。まぁ、そうとられても仕方ないとは思うけど。
「で、今、何してるんだ?」
勿論、困ったちゃんがだ。殿下がインディー様に尋ねる。
「旅支度をしているようです」
何でまた?
「旅支度!?」
思いもしない返答に殿下は驚く。
「どうかしましたか? マリエール様」
反対に黙り込んでしまった私に、インディー様が声を掛けてきた。
「旅支度ですか? ……質問があります、学園長。ポーター公爵家から休学届けが出ていますか?」
「いや、出てないな」
「そうですか。……なら、一週間以内で往復出来る場所となりますね。その場所に、ポーター公爵家縁の場所はないですか?」
その質問に答えたのは殿下だった。
「ある。王都から少し離れた場所に私有地を持っていた筈だ。近くに湖があって、別荘があると聞いたことがある」
魔物が出やすい森の中に別荘ね。余程のお金があるようね。結界の維持に掛かるから。にしても、
「よく知ってますね。さすが、幼馴染ですね」
そう答えると、殿下がニヤニヤした笑みを浮かべた。
なんか、その笑みムカつくんですけど。
「妬いてるのか。妬いたんだな。その必要はないぞ。俺はマリエール一筋だ」
そう言いながら抱き付いてこようとする。勿論、逃げたわよ。そして否定もした。
「いえ、これっぽっちも妬いてはいません。何故私が、ポーター様とカイン殿下の仲を妬かなければならないのです」と。
首を傾げながらね。
「妬いてないのか?」
再度尋ねられてもね……
「ええ。全く。それよりも、まず、その別荘に行く予定があるか確認しないといけませんね」
「それなら、私の手の者が飛んでるから大丈夫だ」
…………ん? 今なんて言いました?
私の手の者……?
「…………それ、私が知ってもいい内容でしょうか?」
若干顔色を悪くしながら尋ねます。緊張で口の中が乾いているのが分かります。
「マリエールは僕の姪になるからいいよ」
ニコニコ笑いながら学園長は再度爆弾を落とす。
いやいや、よくないでしょ。一応婚約者であっても、まだ婚約式を交わしてないし、ましてや王家に嫁いでいるわけでもない。
「もし、ならなかったら?」
「その時は、コレかな」
そう言いながら、学園長は首を軽く手の側面で叩いた。
…………暗殺ですね。
困ったちゃんのせいで、私に死亡フラグが立ったようです。
勘弁してよ……マジで…………
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