113 / 344
また、乙女ゲームですか
第一話 見たことがある光景ですね
しおりを挟む二年に進級した途端に、ちょっとした問題が起きましたけど、それも、それなりに落ち着くとこに落ち着きました。解決はしてませんけどね。中途半端感はいなめませんが。でもまぁ、よかったですわ。
屑国のエルヴァン王国は内部紛争の真っ定中ですけどね。我がコンフォート皇国は、ケルヴァン殿下以外の火の粉は被ってないので、それなりに平和ですよ。
でも……学園内はそうでもなさそうですね。
「…………ねぇ、リーファ。この場面、以前見た気がするのは、私の気のせいかしら?」
久し振りにリーファと二人、学園のカフェで紅茶と新作ケーキを楽しんでいたら、一人の女子学生と、それを取り囲んでいる男子学生の一団が私たちの前を通り過ぎて行きます。
淑女らしくありませんが、口元が引きつりましたわ。
「……そうね。以前見た光景とそっくりね」
リーファはうんざりした顔で答えます。
以前、学院からの留学生の中にエレノアという女子学生がいましたの。彼女とその取り巻きたちには、ほとほと手を焼きましたわ。リーファもね。
「新入生かしら? そういえば、聖教会縁の方が入学したと聞いてますが……彼女がそうみたいですね」
シスター見習いと聞いてますが、全く違うようですね。シスターというより、結婚相手を見付けに来たみたいですわね。ここは勉強をする場所なのに、嘆かわしいですわ。にしても、一応、問題を起こす可能性が高い生徒を、前もってチェックしていてよかったですわ。
「そもそも、聖教会の人間が、何故学園に来たの?」
リーファの疑問は尤もですわ。
だって、聖教会の教えを我が国は信仰していませんもの。旧グリフィード王国も。周辺諸国も。
反対に、毛嫌いしていますわね。当然ですわ。だって、聖教会の者たちは、魔物討伐で収益を得ている私たちを、穢れた者と呼んで蔑んでいますからね。なんでも、前世の行いが悪いから魔物と戦う羽目になったとか。嫌って当たり前ですわ。
「何でも、私たちにも救いの手を差し伸べるために留学されたとか。布教目的ですね」
ほんと、呆れた留学動機ですわ。
「はぁ~~何それ? いらんお節介だわ」
「全く、同感ですわ」
「そもそも、何で試験に合格したのよ? 面接で落とさなかったの?」
当然の疑問ですよね。
「筆記試験がほぼ満点だったとか。それに、治癒魔法がずば抜けていたそうですよ。なので、面接が最低点でも合格出来たみたいですね」
完全に入学試験の盲点を突かれましたね。
「で、さっそく、布教活動に勤しんでいるわけね。特に男子学生ばかりだけど」
確かに。苦笑が漏れます。
「それも、高位貴族ばかり。ユリウス殿下は大丈夫ですか?」
幸い、まだ一年生しか声を掛けていないようですけど、あの勢いなら、上級生にも声を掛けそうですわ。
「大丈夫だと思うけど、念のために注意するよう伝えとくわ。勿論、例の対策もするようね」
さすがリーファですわ。よく分かってらっしゃる。こちらも、後二つ程用意をしないといけませんね。誰の分かって? 勿論、ケルヴァン殿下と従者君の分ですわ。一応、王族ですからね。クラン君にも付けるよう言っとかないと。念には念をいれて。
布教活動をなさるのはご自由ですが、度を超すならば、速やかにご退場頂きますよ。聖教会のシスターさん。
50
あなたにおすすめの小説
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
「お幸せに」と微笑んだ悪役令嬢は、二度と戻らなかった。
パリパリかぷちーの
恋愛
王太子から婚約破棄を告げられたその日、
クラリーチェ=ヴァレンティナは微笑んでこう言った。
「どうか、お幸せに」──そして姿を消した。
完璧すぎる令嬢。誰にも本心を明かさなかった彼女が、
“何も持たずに”去ったその先にあったものとは。
これは誰かのために生きることをやめ、
「私自身の幸せ」を選びなおした、
ひとりの元・悪役令嬢の再生と静かな愛の物語。
【12月末日公開終了】これは裏切りですか?
たぬきち25番
恋愛
転生してすぐに婚約破棄をされたアリシアは、嫁ぎ先を失い、実家に戻ることになった。
だが、実家戻ると『婚約破棄をされた娘』と噂され、家族の迷惑になっているので出て行く必要がある。
そんな時、母から住み込みの仕事を紹介されたアリシアは……?
側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、孤独な陛下を癒したら、執着されて離してくれません!
花瀬ゆらぎ
恋愛
「おまえには、国王陛下の側妃になってもらう」
婚約者と親友に裏切られ、傷心の伯爵令嬢イリア。
追い打ちをかけるように父から命じられたのは、若き国王フェイランの側妃になることだった。
しかし、王宮で待っていたのは、「世継ぎを産んだら離縁」という非情な条件。
夫となったフェイランは冷たく、侍女からは蔑まれ、王妃からは「用が済んだら去れ」と突き放される。
けれど、イリアは知ってしまう。 彼が兄の死と誤解に苦しみ、誰よりも孤独の中にいることを──。
「私は、陛下の幸せを願っております。だから……離縁してください」
フェイランを想い、身を引こうとしたイリア。
しかし、無関心だったはずの陛下が、イリアを強く抱きしめて……!?
「離縁する気か? 許さない。私の心を乱しておいて、逃げられると思うな」
凍てついた王の心を溶かしたのは、売られた側妃の純真な愛。
孤独な陛下に執着され、正妃へと昇り詰める逆転ラブロマンス!
※ 以下のタイトルにて、ベリーズカフェでも公開中。
【側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、陛下は私を離してくれません】
婚約破棄をありがとう
あんど もあ
ファンタジー
リシャール王子に婚約破棄されたパトリシアは思った。「婚約破棄してくれるなんて、なんていい人!」
さらに、魔獣の出る辺境伯の息子との縁談を決められる。「なんて親切な人!」
新しい婚約者とラブラブなバカップルとなったパトリシアは、しみじみとリシャール王子に感謝する。
しかし、当のリシャールには災難が降りかかっていた……。
断腸の思いで王家に差し出した孫娘が婚約破棄されて帰ってきた
兎屋亀吉
恋愛
ある日王家主催のパーティに行くといって出かけた孫娘のエリカが泣きながら帰ってきた。買ったばかりのドレスは真っ赤なワインで汚され、左頬は腫れていた。話を聞くと王子に婚約を破棄され、取り巻きたちに酷いことをされたという。許せん。戦じゃ。この命燃え尽きようとも、必ずや王家を滅ぼしてみせようぞ。
【完結】王妃を廃した、その後は……
かずきりり
恋愛
私にはもう何もない。何もかもなくなってしまった。
地位や名誉……権力でさえ。
否、最初からそんなものを欲していたわけではないのに……。
望んだものは、ただ一つ。
――あの人からの愛。
ただ、それだけだったというのに……。
「ラウラ! お前を廃妃とする!」
国王陛下であるホセに、いきなり告げられた言葉。
隣には妹のパウラ。
お腹には子どもが居ると言う。
何一つ持たず王城から追い出された私は……
静かな海へと身を沈める。
唯一愛したパウラを王妃の座に座らせたホセは……
そしてパウラは……
最期に笑うのは……?
それとも……救いは誰の手にもないのか
***************************
こちらの作品はカクヨムにも掲載しています。
婚約破棄の代償
nanahi
恋愛
「あの子を放って置けないんだ。ごめん。婚約はなかったことにしてほしい」
ある日突然、侯爵令嬢エバンジェリンは婚約者アダムスに一方的に婚約破棄される。破局に追い込んだのは婚約者の幼馴染メアリという平民の儚げな娘だった。
エバンジェリンを差し置いてアダムスとメアリはひと時の幸せに酔うが、婚約破棄の代償は想像以上に大きかった。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。