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第2章 教会の子供たち

第17話

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その後。子供たちは1人残らず宿泊棟を出て、敷地内の小道を戻った。
先頭を行く子がカンテラを持ち、他の子たちが揺れる灯りに続く。
最後尾には修道士が2人、同じような灯りを持って付き添っていた。

ユァンとバルトロメオは暗い林の中から、近づいてくる列を眺める。

「あの中にペティエ神父はいないみたいだな」
「うん……」

あのあと2人は裏口から宿泊棟の庭を抜け出したが、子供たちの無事を確かめたくて、帰り道に先回りしていたのだ。
ユァンはまだ養護院の制服を着ていて、髪も黒く染めたまま。
早くシャワーを浴びて着替えたいけれど、子供たちの帰りを見届けなければ気が休まらない。

そうして彼らの向かう先、敷地の外へ続くゲートへ目を向けた時。

「あれ……?」

闇を縫うようにしてこちらへ来る人影を、ユァンは見つけた。

「どうした?」

バルトロメオも同じ方向へ顔を向ける。

「人が来る。2人……、服装からして養護院の子。たぶん年長の子たちだと思う」

彼らは人目を忍ぶように、小道の脇の草陰をやってきた。
みんなが帰る頃に来るなんておかしい。
彼らはユァンたちのいる林の前を、こちらに気づかないまま通り過ぎようとして……。

「……あれっ?」

(この子さっきの!)

ほっそりした体つき、長い手足。あの時顔は見えなかったけれど、それはパーティの会場から逃げていったあの男の子に違いなかった。
思わず声を上げたユァンに向こうも気づき、足早に進んでいた足を止める。

「きみ……、きみだよね!? よかった、会えた!」

彼の方から駆け寄り、ユァンの前に立つ。
パーティの広間では強ばっていた彼の唇が、今はやわらかくほころんでいた。

「きみのことが、どうしても気になって戻ってきたんだ」
「僕を心配して……?」

ずいぶん年下の子に心配され、ユァンは嬉しいような、それでいて恥ずかしいような気持ちになる。

もう1人の少年は大人と見間違うくらいの大柄で、パーティでは見かけなかったと思う。
体は大きいが、ふっくらした頬の辺りに少年らしさが残っていた。
目が合うと、彼は何度かまばたきしてから目を逸らす。

(……え、なんだろう?)

ユァンは彼のその反応が気になった。

「訳アリみたいだな、話を聞けるか?」

バルトロメオがユァンの肩に手を置き、今来た2人を見る。
少年たちは顔を見合わせてから、こちらに頷き返した。

「じゃあ、とりあえず……」

どこか適当な場所で座ってもらいたいけれど、修道士宿舎のあるエリアまではしばらく歩く。
それでユァンは、サイロの脇にある物置小屋まで彼らを連れていった。
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