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新人魔女とたいへんな密約(7)

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 リゼの言葉に、リッカは目を大きく見開いた。あまりのことに頭が混乱する。思わず両親を見れば、母も父も驚きに目を大きく見開いていた。二人は言葉を失った様子で、リゼを見つめている。

 動揺するリッカたちを尻目に、リゼは穏やかな笑みを浮かべた。ゆっくりとした動作で紅茶を口に含むと、カチャリと小さな音を立ててカップをソーサーに戻す。

 一瞬の静寂。

 リッカは瞬きも忘れてリゼを見つめる。一体リゼは何を考えているのだろうか。リッカは震える手でスカートの裾をぎゅっとつかむ。話が思いも寄らぬ方へ進んでいる。リッカに分かるのはそれだけだった。

 明らかに困惑した表情の宰相が、それでもなんとか体裁を取り繕いつつ、リゼの意向を探るように尋ねた。

「リゼラルブ様。私めが無知蒙昧故、誠に遺憾ではございますが、貴方様のご意志を図りかねてございます。もう少々ご説明を頂いても宜しいですか?」
「そうですよ! リゼさん。話が違うじゃないですか!!」

 リッカは居ても立っても居られず、思わず大声でリゼを問い詰めた。だが、リゼはそんなリッカを横目で一瞥するだけで、顔色一つ変えない。何も答えず紅茶を口にするばかりのその行動がリッカの神経を逆なでる。リッカが尚も食ってかかろうと前のめりになった時、母に腕を掴まれた。

「リッカ。やめなさい」

 母の有無を言わさぬ強い口調にリッカは口を噤む。父はただ押し黙っている。重苦しい空気が部屋を包み込んだ。やがてリゼがゆっくりと口を開いた。

「君の望み通り、これからも魔法の勉強をすれば良いと言っているのだが、私の元では不満か?」

 リゼはどこか呆れを滲ませながら静かにそう答えた。リゼの言葉に、リッカは勢いよく首を横に振る。リゼの言う通り、それはリッカの望みである。しかし、今はそんな話をしているのではない。リッカは抗議すべく口を開く。

「今は、そんな話をしているんじゃありません。わたしとリゼさんの婚姻について話し合っているのですよ。昨日、散々悩んで結論を出したのに、これはどう言うことですか!」

 リッカがリゼを睨みつけると、リゼは諦めたようにため息を吐き、再び口を開いた。

「昨日、君は私との婚姻に乗り気ではなかったではないか」
「初めはそうでしたけど、わたしなりに納得して結論を出したじゃないですか。わたしもリゼさんもエルナさんも、皆が幸せになるためにって」
「そうだ。だが、君の出した結論では、幸せになれないのだ。……君が」
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