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新人魔女の完成魔道具(4)

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 エルナの髪に合うよう細部まで工夫し、出来上がった髪飾りは、キラキラと煌めく星空のような仕上がりだった。リッカは満足いく出来に表情を綻ばせる。リゼから、魔道具作成を言い渡された時はどうなることかと思ったが、こうして無事完成したことで、リッカは達成感に胸がいっぱいになった。

 とは言え、まだ試動させていないので、リゼからOKが出るかどうかは分からない。リッカは完成した髪飾りを丁寧に鞄にしまい込むと、おそらく工房にいるであろうリゼに完成の報告へ行くため、結界内で一人特訓を続けるフェンのもとへ足を向けた。

 結界内では、フェンとゴーレムの攻防が続いていた。フェンの攻撃をゴーレムが躱す。しかし、その避ける動きに合わせてゴーレムが反撃に転じるため、フェンは歯痒そうに顔を歪めている。しかし、瞳に諦めの色は浮かんでいなかった。リッカはその様子を見て、ふっと笑みを浮かべる。

 リッカに気がついたフェンが、攻撃に使っていた風魔法を一旦止めると、指示を仰ぐようにリッカへと視線を向けた。フェンの首元の補助具の石は五色全てが輝いている。火、水、風の魔法は以前見た。それならばとリッカは、フェンにニコリと笑いかけると、攻撃の指示を出す。

「フェン、土魔法!」

 フェンは安心したように頷くと、ゴーレムの方へ視線を戻した。ゴーレムを睨みつけ、ドンと地面を踏み鳴らす。すると、フェンに呼応するかのように地面がカタカタと揺れ出した。そして、フェンの足元からゴーレムへ向かって地面が盛り上がり、すぐにゴーレムを囲うような半球型の土壁が出来上がった。完全にゴーレムの動きを封じることは出来ないが、一瞬なら動きが止まるはずだ。その一瞬をついて、すかさずリッカが次の指示を飛ばす。

「次、雷の魔法」

 リッカの指示を聞いて、フェンは耳をピンと立てると、大きく身震いをして全身の毛を逆立てる。そして、力を溜めるようにぐっと身を屈めると、フェンの周りでパチパチと爆ぜる音が鳴り出した。よく見ると、フェンの全身から電撃が迸っているのがわかる。

 そして、電撃を纏ったままフェンは、ゴーレムを囲う土壁目掛けて、勢いよく飛び出した。それはまるで弾丸のようだ。勢いを保ったままフェンが土壁にぶつかると、結界内がまばゆい光に覆われた。

 光が収まった時には、土壁はなくなっていた。ゴーレムもいなくなっている。そこには、土魔力をほんの少し残した水晶だけがポツンと残されていた。
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