婚約破棄ですね。これでざまぁが出来るのね

第14章

第11話 自分の人生。

「コホン！それでは、私が陛下達に変わりお二人にご説明させて頂きます。ですが、そう大したことではありませんよ？」
「は、はぁ？ではなにを？」
「それでは簡単に！ルース殿、貴方はエンバス殿の息子から私の弟に成る嵩の事です」

　あっさり雑多に謂い放ったダルトだが、それでは簡単過ぎるだろと思うアレクだ。

「あ、あの宰相様……息子が貴方様の弟とは？」
「ああ、私の家に養子に入れば、私の家柄がルース殿の肩書に箔が付くという事でパトリシア王女様と結婚出来ると謂うことですよ？」

　ニッコリと笑って、私の弟になりますか？と微笑むダルト宰相だが…。
　エンバス親子は固まったまま動かなくなった。

「おい！アルス！アルス！」
「はっ……申し訳御座いません。陛下、私は今飛んでもないことを聞いた気がしましたので。ど、どうやら私は夢を見ているのでしょうか？」
「いえ？夢ではありませんよ？」
「はっ？夢では無いと仰るのですか？まさか私の息子を公爵家に養子にだせと？」
「ああ、そうだな。しかしこれは強制でもないし、ルースがパトリシアを諦めるならこの話は無しだがな？」
「さて、ルース……どうする？そうそうあともう一つ！条件が在ったな！」
「そ、それは何で御座いましょうか？アレク殿下？」
「それはな？ルースはベルガモット家の婿に入って貰う事に成るが、それは了承できるか？」
「「はあーーー！！！」そ、それは」
「だってそうだろ？私達の妹は王女だ！商人の家には嫁には出せないぞ？それにルースは、次男だろ？アルス。ルースには家を継がせるのか？」

　そんな無茶な！私達親子の縁を切れとは！

　ルースは頭も切れるし、仕事も早い自慢の息子なのだぞ！それを養子に等！出来るものか。

「そ、それは……長男のケビンが居りますし既に孫も生まれまして。そのルースには、独立させようとは思って居りましたが…。ルースに縁談の話しをしても断る一方で。ですが、他所に婿に出すのは……それに養子に等と」
「それは親の考えだな？ルース君はどうしたいのかな？」
「そ、それは……。はっ！一つ確認させて頂きたいのですが？」
「なんだ？ルース」
「パトリシア王女様は、この事は御承知なのですか？」
「………それは未だ」
「それは、何故かお伺いしても宜しいでしょうか？」
「構わんよ？君とパトリシアの事だからな」
「シアは、君との断るつもりで居ると思うぞ？」
「……はぁそうですか……分かりました。お教え頂きありがとうございます」
「まぁまて、まだ続きがあるぞ！」
「はあ？断られる他にも、未だ続きがあるのですか？」
「そう…多分だがなパトリシアは、ルースお前との身分を気にしているのだろう。それとな、ベルガモット家からは出れないのを気にしてるのだよ」
「それは！……まあ当然かと思います」

　あれだけ優秀な方だ、パトリシア様がベルガモット家から出るのは大きな損失に為るでしょうし。
　大きな痛手にも為るのは間違いないと解りきってる事をです。

「では、今回の事は、パトリシアの事は諦めるのだな？」
「…あの……」

　ルースがなにか言い掛けると、父のアルスが会話に割って入って来た。

「……はい、諦めさせます！ルースではパトリシア王女様の隣に立つには荷が重すぎます！王女様にはルース等よりもっと、お似合いの方がこの先現れるでしょう！ほらルース今回の騒動は全て、お前の浅はかな考えから起きた物だ！深くお詫びしなさい！私も謝るから！」

　そ、そんな父上勝手に判断をしないで頂きたい！ここはもう腹を括るしかありませんね！
　自分の人生は自分で決めます！

「いいえ、父上お待ち下さい。私は、家にはもう私の居場所が無いと、常々思って居りました。兄上が結婚して家庭を持ち、子供まで生まれしまっては、私の居場所はあの狭い一室呑み。それに私が愛した人は、パトリシア様だけです。ずっと幼き頃より、パトリシア様の事だけを思って居りました！パトリシア様に、婚約者が現れたと聞いた時には、胸が張り裂けそうな位苦しかった。私とは身分も違います、それは重々承知してます！ですが、こんな機会は二度とありません！パトリシア様が私とのことを、お考えくださるのでしたら。私はダルト宰相様の家に、養子に入りベルガモット家の婿養子に喜んで成りましょう！ですが、私のこの考えはパトリシア様のお気持ち次第でございます！」

　はっ！勢いに任せて本心を…ああ、恥ずかしい！