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第二章 側妃問題はそっちのけでイチャつきたい!

19.人の振り見て我が振り直せ。

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ディオと相思相愛になれたのも束の間。
ディア王女を連れてゴッドハルトへ帰る事になった。

寂しい。
名残惜しい。
できればディオを連れ帰りたい。
でもそれはできないから、毎日ツンナガールで話そうと言って帰国の途についた。

ディア王女を連れて帰ったせいで何故か俺がディア王女にゾッコンだと皆に思われたが、それは勘違いだ。
俺がゾッコンなのはディオにだけ。

思わずスンッとした表情になった俺を見て、ディア王女は呆れたような顔になった後、自分が俺に惚れ込んで着いてきたのだとアピールし始めた。
違和感がないよう、剣の腕に惚れたという設定にしたらしい。

後で部屋に案内した後でメチャクチャ説教されたのは言うまでもない。
曰く、それくらい考えて少しは演技しろと。
でも俺はそこまで器用じゃないし、嘘は苦手だから変に期待はしないでもらいたい。

「はぁ…ディオはルーセウス王子のどこに惚れたのかしら?」

嘆かわしいと言われるけど、ディオは俺の事は大好きだぞと言ってやりたい。
閨事だけじゃなく中身も好かれている自信はある。
だから俺はこのままでいいのだ。




ディア王女はゴッドハルトの生活は新鮮らしく、日々動き回っている。
俺の護衛という話だったが、連れてきた数人の暗部とローテーションで護衛をする事にした様子。
まあその方が俺としては有難い。
ベッタリ一緒に居られるのはストレスだし、適度な距離感は大事だ。

そんな中、いつものように鍛錬場で剣を振っているとセレナがやってきて言った。

「ルーセウス。ディア王女は剣は振らないの?」
「…そうだな」

護衛に見えない護衛という主旨でここに来てくれたんだし、間違っても一緒に鍛錬なんてしないだろう。
そう思って答えたら、セレナは一気に興味をなくして『ふ~ん』と言った。

「残念。ルーのお嫁さんになる人なら絶対剣が趣味の人だと思ったのに」
「そこはこだわる気はないからな」

現にディオは強いのは強いが、別に剣が大好きというわけじゃない。
得意武器は暗器だし、俺とは全然タイプが違う。

「やっぱり可愛いが正義だろう」
「うぇ…まさかルーがそんな事を口にする日が来るなんて思わなかったわ。貴方も男だったのね」
「今まで何だと思ってたんだ?」

妹が酷い。
ディア王女といいセレナといい、妹は辛辣だ。
ディオだったら絶対そんな酷い事は言わないのに。

「はぁ…会いたい」
「はいはい。なんだかんだでルーはディア王女が好きなのね」

違う。
でもここでムキになって否定するのはダメだと流石にわかるから、大人しく黙っていよう。

「でもまあ気持ちはわかるわ。私もね、ルイージ王子に夢中なの」

どうやらミラルカのパーティーの後、ツンナガールを送り付け、毎日話す仲にまで持ち込んだらしい。
どこかで聞いた話だな。
俺か。俺だな。
双子だからかやることがまるっきり同じだ。
似過ぎだろう。

「それで、実はゴッドハルトに招待してて、明後日には到着予定なの」

ロロイアは遠いんだが…逆算したらパーティー翌日にミラルカからツンナガールと招待状を送ってないか?
迷惑甚だしい話だな。
ちょっとどころではなく暴走気味だ。

「早くルイージ王子に会いたいわ」
「ああ…が、頑張れ」

社交辞令で来てくれるだけだろうルイージ王子に同情しながら、俺もこんな風に暴走してたんだろうか?と反省する。

(ディオ…よく付き合ってくれたな)

普通に凄くないか?
毎日ちゃんと通話には出てくれたし、それだけじゃなく色々国政の話もしながら勉強させてくれて、会ったら会ったで抱かせてくれるって、どれだけだ?!
しかも文句を言われたのは抱き潰して怒らせたあの時くらい。
優し過ぎだろう。

(よく考えたら俺がフラれ続けてたのも納得がいくな)

立場上無理ということを差し引いても、ちょっとドン引き案件だ。
よく早々に縁切りされなかったものだとしみじみ思う。




「と言うわけで、すまなかった!」

その日の夜、俺はツンナガール越しにディオへと改めて謝りを入れた。
でもディオはすごく不思議そうで…。

『ルーセウスとの会話はいつも楽しかったけど?』
「でもほら、会ったらいつも襲ってたし…」
『気持ち良いから俺も積極的に抱かれてたし、気にしなくていいのに』

本当に嫌だったらいくらでも気絶させる術は持ってるし、気にしなくて良いと言われる始末。
流石暗部特化。
言うことが違う。

『それよりちょっと面倒臭い事が起こって…』

申し訳なさそうにディオが言ってくる事によると、どうやらミラルカのレオナルド皇王がヴィオレッタ王女との婚約に異議を唱えてきたらしい。

『それだけじゃなくて、俺とルーセウスが身体の関係があるってカリン父様の前でバラしたらしいんだ』
「え?!」
『ほら。ミラルカで鉱山ホテルを利用しただろう?それでバレたみたいなんだ』

それを聞いて俺の頭の中に真っ先に『離婚させられる』と言う言葉が浮かぶ。

「ディオ!俺は絶対別れない!離婚なんてしないから!」

必死に言ったらそこまで焦らなくても大丈夫だと宥められる。

『ロキ父様はその辺りが上手くて、正妃の件はおくびにも出さず身体の関係があるからどうしたとばかりにサラッと流してくれたみたいなんだ』

流石ロキ陛下。頼りになる。

『ただ、お互い婚約者も決まったんだし、結婚までに関係はできるだけ清算しておくようにってカリン父様から釘を刺された』

特に叱られはしなかったものの、そう言われてしまったらしい。
俺達の関係がどこでどう不利に働くかわからないからというのがその理由らしい。

『まあ実際は婚姻済みだから弱点にはなりえないし、そこは黙ってたら問題はないとは思うけど、カリン父様に知られたってところだけは覚えていてほしい』
「わかった」

これは余計な事は言わない方がいい案件だ。
下手に首を突っ込んで拗れたら離婚へと真っしぐら。
それは何としても避けたい。
粛々とディオの戴冠式まで黙っていて、正妃発表が無難だろう。

『それと、レオナルド皇王が今度ローズマリー皇女と一緒に俺に直談判しにくるらしい』
「え?」
『ロキ父様をちっとも説得できないから、俺に直接言いに来るみたいなんだ。勿論断るつもりだけど、それですんなり片がつくとは思えなくて…。もしかしたら連絡がつかない日も出てくるかもしれないけど、その時は気にしないでほしい』

ショックだ。
ただでさえ会えなくて恋しいのに、ディオと話せない日が出てくるかもしれないなんて。

「ディオ…」
『ルーセウス。その代わり、ちゃんと通話が繋がった時はツンナガール越しに毎回シていいから』
「え?!」

聞き間違いだろうか?
今ディオがすごく嬉しい事を言ってくれたような…。

「ディオ?」
『ルーセウス…。ルーセウスに会えなくてすごく恋しいし、切ない』

グハッ!
も、悶える!
嬉し過ぎて悶える!!

(あのディオが…普段淡白なディオがっ!)

「ディオ、嬉しい。俺もディオに会えなくて恋しかった。これからは毎日でもしような!」

二日通話が繋がらなかったらワイバーンを飛ばして会いに行くって言ったら何故か笑われた。
でもちょっと嬉しそうだったし、引かれてはいなさそうだから良いだろう。

『はぁ…今度ルーセウスのと同じような形のディルドでも注文しておこうかな…』

でもこの言葉はちょっと聞き捨てならないぞ?

「ディオ?」
『裏で頼んだら、割とすぐ作ってもらえるらしいよ?』

(違うっっ!!問題はそこじゃない!!)

「それは絶対に発注禁止だ!」
『え…擬似的にでも、よりリアルにルーセウスに抱かれてる気分になれるかと思ったんだけど?』

『ダメだったかな?』って可愛く言われてグッと息を呑む。
言ってくれてる内容は嬉しい。

(でも俺だって、俺だってディオを抱きたいのに!!)

何だこの玩具に嫉妬しないといけない状況は!
蛇の生殺しか?!

「うぅ…ダメだ。俺はどう足掻いてもディオに擬似的に挿れられないし、却下」
『オナホでも送ろうか?裏で色々取り揃えられてるらしいよ?』
「だからそういう問題じゃないんだ!俺は直接ディオを抱きたい!ただの性欲処理じゃなくて、愛したいんだ!可愛いディオの顔を見ながら温もりも感じて、愛し尽くしたい!」
『そうか。残念』

ちょっと照れ臭そうな声にツッコミを入れたくなる。
俺の言葉には照れるのに、玩具の話には全く照れることはないってどういうことだ?!

(ガヴァムの文化ぁあっ!!)

王太子だから裏稼業の方にも詳しいんだろうけど……。

ここでディオにギャップ萌えする俺はおかしいんだろうか?
好き過ぎて辛い。

「ディオ。あんまり俺を煽ったら、今度会ったら抱き潰すからな」
『え…っ』
「今日はお仕置きだ。ちゃんと俺の声に合わせて、ゆっくりじっくりやるんだぞ?」
『ルーセウス…』

俺の言葉にすぐに反応してくれて、『早く…』と甘い声で誘ってくるディオに気を良くし、俺は始まりの合図としてチュッとリップ音を通話口へと送り込む。

(さて、今日はどうやって可愛がろうかな?)

そんな事を考えながら、愛しい人を悦ばせるべく俺は想像力を駆使して言葉を尽くしたのだった。


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