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第一章:アナザーニューワールド
4 マゾク
しおりを挟む「いきなりどうしたニャ? シンは大丈夫ニャ、なぜならこの神の使いであるにゃあがついているニャ!」
アズは自分の肉球を胸に当てて自信満々に言うが、俺には不安しか残らない……。
生きていけない自信しかないわ。
俺はこの世界での生存を諦めかけつつも、一縷の望みにかけて質問を続ける。
「んでさ、色んな星の生物達がいるって言うけど、ここはどの星のエリアなの?」
「人類って武器も含めて強い方?」
「つか、他の星とか言うけど言語大丈夫なの? 地球だけでも腐るほど言語あるけどさ、やっと会えた人族にスワヒリ語とかで話をされても、コミュニケーション取れる自信ないよ?」
それにアズは、ゆっくりと答えていった。
「一気に聞かれても困るニャァ、まぁまずここはキゾクとマゾクの中間かニャァ。」
貴族!? 魔族!?
一気にファンタジー感出てきたな、おい!
「ちなみに人間族は最弱種ニャ、文明はまちまちニャけど、資源もないから飛行機や戦車、爆弾や銃なんかもほとんどないニャ。時代と共に埋れた科学兵器は戦争で無くなったし、人類お手上げニャ」
と、猫が両手をあげるシュールな動きをしている。
つっこみたいが、今はよそう。
「でも言語は安心ニャ。神様は日本贔屓だったから、この星の生物は全て現代の日本語と英語が合わさった言語で統一されてるニャ」
つまりここは人と魔族が争う最前線って事か。
最初に会うのが貴族である事を願うしかないな。
まぁ貴族でないにしろ、はやく人間に会いたい。今はとにかく誰でもいいから同じ人間に会いたい!!
「ほう、それは良かった……って全然良くねぇよ! コミュニケーション取れるのは良いけど、人間最弱種とかどうすんのよ。文明ないなら魔法とか無いの?」
「もちろんあるニャ!」
「あるんかーーい! ってじゃあ俺も使える? なんかもうチート的なヤバいやつ使えんの?」
俺は魔法という単語を聞いてワクワクしてきたが、現実は残酷であった……。
「シンは何も使えないニャ…正直雑魚ニャ」
………………。
「ちょ、おま……ふざけんな! 魔法使えないなら伝説の剣くらいよこせや! それが何か? 俺の初期装備はバスケットマン装備で武器はボールってか! なんだよそのヘルモード! アホか……。」
改めて自分の現状に絶望するも、そこに救いの言葉が……。
「まぁでもシンは記憶のカケラさえ集まれば無敵ニャ、それを集めるニャ」
「なにそれ! ワクワクモノやん! 最初に言えやコラァ!」
と興奮して叫んだ瞬間、アズが急に立ち止まる。
「ん? どうしたんだアズ??」
アズの視線の先を見ると藁葺き屋根の家が数件並んだ村が見えてきた。
「この匂いはマゾクニャ」
「おお! ナイスアズ! ん? 魔族……だと?」
「へぇ、魔族かぁ……魔族ねぇっていきなり魔族かよ!」
どうやらたどり着いた先は、冒険物の小説で主に残虐で人の敵として現れる魔族の住処だった。
普通なら絶望する状況。しかし、なぜか俺は興奮している。
ファンタジーの世界キター!
「でも魔族って言うと人類の敵じゃね? いきなり死亡フラグとかじゃないよね? ね?」
俺は、得も知れない不安に襲われてアズに尋ねるも、アズは黙って藁ぶき屋根をじっと見つめている。
誰かがそこから出てくるのかもしれない。
どうやら、最初に出会う人間?は魔族みたいだ。
いきなり幸先最悪で、このままバッドエンドとかないだろうなぁ……。
魔族かぁ、勝てるわけないよな、こんなバスケットマン装備で……。
いちかばちか……
ヘイユー、ボールはトモダチ!
みんなトモダチ! イェーイ!
ってノリで仲良くなれたりしないかな……。
正に迷案。どんな生物でもそれは無理だ。
当然、俺にもそんなことはわかっている。
あー、俺絶対美味しくないから食わないで欲しいなぁ……。
そうだ! いざとなったらアズをお土産にして……。
そんな事を考えて、不安そうにしているとアズが意外な事を口にした。
「不安になる事はないニャ。マゾクは強いけど、温厚な菜食主義者で、人族にも優しいニャ。」
お?
マゾク優しいの?
じゃぁアズを生贄にしないでボールはトモダチ作戦いけるかな
「へぇ、俺の知ってるゲームの世界と大分違うんだな。ん? 家から誰か出てきたぞ。」
話をしている間に、見ていた家の扉が開いた。
俺は木の影からそっと藁葺き屋根の家から出てきた者を監視する……。
体は人間と同じだな……。
思ったより大きくないぞ。
んん? あの顔は!?
衝撃の映像が俺の目に映った!
「馬じゃん……。」
俺の目に映った者は、体が人間と同じで、顔だけ馬の化け物だった。
「マゾクって馬族かよ!!」
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