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第一章:アナザーニューワールド

50 ツンデレモード ON!!

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 セーフ!! 


 一方俺は、色んな意味で縮み上がっていたのだが、特に責められる事もなく、見て見ぬふりをしてくれた事に安堵した。もしも、気付かれていたならば叫ばれてもおかしくないのだ。きっと、寝ぼけて目を開けてしまっただけだろう。どうやら不良息子を見られずに済んだようで、俺はそっと胸を撫で下すと、しばらくして、マリリンは落ち着きを取り戻し、俺を優しく押しのけた。


「ごめんなさい、情けないところを見せてしまったわね。ありがとう、お蔭で落ち着いたわ。でもああいうことをされると、勘違いするから今後は気を付けた方がいいわよ。」

「いや、ごめん。でも落ち着いてよかった。勘違いされるかもだけど、辛くなったら寄りかかっていいから。人は一人では生きられない。辛かったら助けるし、うれしかったら一緒に喜ぶ。それが人間ってやつだと思うよ、俺は。」

「……不思議ね。あなたとは会ったばかりなのに、何だか昔から知っているような気がしてくるわ。でもそういうとこだぞ。ヒヨリンに色目使ったら許さないからね。」


 マリリンは笑顔で忠告するも、そこに警戒の色は既にない。
 むしろ頬を紅色に染めつつ、それを隠すように直ぐに顔を背けるのであった。


「わかった、努力はするよ。それより、今日は疲れただろ。ここは安全だから朝までゆっくり休むといい。朝になったらマリリン達の村に行こう。」


 そういうと俺は、創造魔法で広場に小屋を創造し、中にベッドと布団も用意した。


「えっ!? 今なにしたの!? これ……あなたの力なわけ?」


 マリリンはいきなり現れた小屋に驚愕した。それもそのはず、一瞬で何もないところから小屋が現れたのだ。驚かないほうが無理がある。正にチート能力。
 

「これは俺の力の一つだよ。ちゃんと女性と男性で部屋を分けてあるから好きな方で休むといいよ。内側に鍵もあるから安心して。」


 俺はスケベだが紳士だ。ちゃんとTPOはわきまえている。
 そう、俺はスケベ紳士なんだ!


「あなた……。一体何者なの? そういえばどうやって鬼族の軍勢から私達を救ったのかしら?」


 マリリンは自分達の事は話したけど、俺の事については何も知らないことに気付いた。こんな事を平然とやってのける人族が普通なはずがない。
 だが、この質問に答えるのは俺には難しい。
 なぜなら、自分自身よくわかっていないからである。
 それでもここで不審に思われない為にも、なんとか少ない知識を絞って答えを考えはこうだった。


「うーん、何者ねぇ? 俺も知りたいくらいだよ。まぁ、大事な物を探すために旅をしてる、旅人みたいなものかな?」


 俺自身がわかっている事と言えば……嫁を探す為ということ。
 しかし、初対面の女性に自分の目的について、


  俺、めっちゃかわいい嫁を探して旅してます。


とは口が裂けても言えない。

 故に少しぼかして、旅人という設定にしておいた。我ながらナイス判断だと褒めてやりたい。


「そう、大事な物を探してるのね……。早く見つかるといいわね。」

 
 そしてどうやらマリリンは、俺の言葉に一先ず納得してくれたようだ。
 マリリンはそれだけ言うと、寝ているヒヨリンを抱きかかえて、小屋の中に入ろうとする。
 ……が、入る前に俺に振り向き、憑き物が取れたような晴れやかな笑みを浮かべた。


「今日は本当にありがとう、おやすみなさい。」


 それだけ言うと、部屋の中に入っていく。
 その笑顔は初めて見せた素の笑顔であり、これに流石の俺もドキッとした。

 ツンツンしている美人がする笑顔のパワーやべぇ。   
 これがリアルツンデレか。ツンデレ万歳!

 マリリン達が部屋に入った事で自分の寝る部屋が決まった俺は、ブライアンを起こして自分達も寝ようとする。


「おい! ブライアン起きろ! 寝るぞ! って寝てるか? まぁいいや、起きろ。」

 
 しかし地中に埋まっているブライアンは、いびきをかいていて全く起きる気配がなく、何度叫んでもブライアンは起きなかった。


「こんなに気持ちよさそうに寝てるし、無理に起こすこともないか。お疲れ、ブライアン」


 俺はブライアンを起こすのを諦めて、一人で部屋に入りベットに潜る事にする。


 あー、何か今日は疲れたな。
 でもやばいな、めっちゃ可愛い子達やん。
 興奮して眠れないぞ。焦るな息子、わかっているよ。


「こうしてやる……こうしてやる!!」


 俺は久しぶりに悶々とした気持ちになり、中々眠れない自分をゴッドハンドで慰めながら眠りにつくのだった……。
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