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015 悪役キャラは王都へ行く
しおりを挟む――バンッ!!
屋敷の庭で乾いた炸裂音が響いた。
「完成したぞ……」
アイリスとの婚約が決まって一ヶ月、俺は母親を抱くための準備を整えつつ、趣味の魔法陣を使った道具類の開発をしていた。
製作開始から二年ちょっとで、俺はついに完成させることが出来た。
それは――魔法銃。
最初は火縄銃のような原始的なものしか作れなかったが、ようやくライフルと呼べる銃を作るに至った。
この世界には造形魔法というものがある。
物質を魔力で少しずつ歪めて加工するというものだ。繊細な魔力の操作技術が求められるが、この魔法のお陰で魔法銃が出来たと言っても過言ではない。
「量産は難しいけど、これがあればモンスターのスタンピードは凌げるかな……」
早期にスタンピードを静めることが問題の解決に繋がる。
反乱を企てる余裕がないくらいの速度で解決出来れば良い。そうすることが俺の女たちを守ることに繋がるのだ。
「今の音は何ですか!?」
「あ、先生。俺が作った玩具の試運転ですから気にしないで下さい」
「そ、そうですか……。あまり驚かせないで下さい」
「すみません」
音にびっくりしたらしいマーリンが慌てて庭にやって来た。
最近は宮廷魔導師の仕事でムーンライト公爵家から離れることが多々あったのだが、必ず我が家に戻ってくるのだ。
ちなみに、俺はもう彼女から学べることは粗方学んでしまった。互角とまでは言わずとも、魔法に関する知識で劣ることは無い。
ではどうして彼女が教師として未だに我が家で暮らしているのか。
「と、ところでエルゼ殿」
「はい、何でしょう?」
「その……夜はもう少し、静かにしてもらえると助かります……」
そういうことである。
彼女は夜中に俺が女とヤっているのを盗み聞きして、それをオカズに自らのものを慰めているのだ。
俺に初めてを奪われたマンコを、俺が他人とセックスしている声で弄る……最高だな。
「そういえば先生。俺、婚約することになったんです」
「え? あ、はい。聞き及んでいます……」
「しばらく王都へ行ってきますので、先生のココを慰めるオカズが無くてすみません」
「なっ……♡ さ、触らないで下さい!!」
少しマン筋を撫でてやっただけで憤るマーリン。しかし、マン汁で湿っていたことから満更でもないようだ。
「寂しがらなくても良いですよー。すぐ帰ってきますから」
「さ、寂しがってなど!!」
俺はマーリンを無視して、庭を後にした。
◆
王都へやって来た。
本来なら正妻側室含め、家族全員で来るのが常識なのだが、今回に限り父と二人だ。大人にも色々な都合があるらしい。
カタカタと揺れる馬車から王都の景色を覗く。ムーンライト領地から出たことは一度もなかったのだが、流石は王国の都。
中世ヨーロッパ程度の文明でしかないのは同じだが、洗練された美しさがあった。
――良い女はいないかな?
王都にあるムーンライト公爵家の屋敷には大勢のメイドが働いているらしい。
俺好みのスケベな女がいたら抱かせてもらおう。
大通りに並ぶ露店を見ていると、俺は思わず目を疑った。
「あれは……魚、ですか?」
「ん? ああ、そうだね」
「王都の近くに海は無いですよね? 一体どこから……?」
普通、この世界の文明レベルでは海産物を輸送するのは難しい。
魔法を使えばどうにかなるだろうけど、長時間冷蔵保存できるような魔法は高威力の攻撃魔法より難しい。俺なら出来るが、マーリンを含め宮廷魔導師でも出来るのはごく少数だろう。
どうなってるんだ?
「あれはレーゾーコっていう魔法道具を利用したんだろうね」
「え……?」
「たしかシュレイン男爵の子息が開発したものだよ。神童と呼ばれる少年だね」
へぇ、そりゃ面白い。
間違いなく、そいつは転生者だろうな。
俺と同じ様に『勇者と五人の聖剣乙女』を知っているのかは知らないが、地球にあった代物をこちらの技術で再現したのだろう。
だが許せんな。
この世界は俺のためにあると言っても過言ではない。俺以外の転生者が世に出るのは許可出来ないのだ。
え? この世界はお前のものじゃないだって? ははは、世の中は俺が中心なのさ。
「シュレイン男爵ですか。たしか、海に面した小さな領地を持ってましたよね?」
「ああ、そうだね」
「……子供の戯れ言と思ってもらってけっこうなのですが」
「うん?」
父が真剣な面持ちで俺を見つめる。
「ちょっと怖いですね」
「どういうことだい?」
「シュレイン男爵家は取るに足らない辺境貴族の一つですが、造船技術を獲得すれば怖いです」
この世界には大きな船があまりない。
それは資源が豊富な大陸である上に、あまり遠出する意味がないからだ。
しかし、文明レベルで見れば簡単に大型船を作る技術はあると思われる。
「俺の勝手な考えですが、造船技術は漁業などに大きな影響を及ぼします」
「そうだね。だから普通、海辺の領地は大きく頑丈な船を作るために技術を磨いている。シュレイン男爵も同様だね。それがどうして怖いんだい? むしろ国に利益をもたらすだろう?」
「はい。でも、行き過ぎた技術は争いを生みます。あのレーゾーコについてもです。かの魔法道具の影響で、海辺でしか食べられなかったものが内陸でも食べられる……商人が騒ぐでしょう」
「ふむ……。たしかに、商業ギルドが揉めたと聞いたね」
どこか試すような口調の父に少しイライラしつつ、俺は話を続ける。
「話を戻すと、高度な造船技術は他の面で利用されるかと」
「というと?」
「戦争です。仮に百隻の船が海辺の領地を攻めれば、呆気なく上陸を許すでしょう。大型船ならば一隻に乗せられる人員は非常に多い。戦略的な意味でも物事を有利に進められる……。レーゾーコなんて代物を作れる神童が、それに気付かないとは思えません。もしもシュレイン男爵家の子息が野心家であれば、これ以上怖いことはないかと」
「そうだね。私も全く同じ考えだよ」
「……え?」
ちょっと驚く。
「まさか息子と考えていることが同じだとは思わなかったけど……。まず、既にレーゾーコの流通には商業ギルドを通して圧力をかけてある。あれが使えるのはごく限られた商人だけだよ」
「そ、そうですか」
「そして造船技術について。私もエルゼと同じように大型船が作られると、領地間の戦争に発展した場合に不味いと思ってね。流石にシュレイン男爵が船を作るのを止めることは出来ないから、技術競争が始まったけど」
「つまり、ムーンライトも造船技術を獲得するべく動いていると?」
「うん、割りと本気でね。シュレイン男爵が本格的に造船技術獲得に動く前から動けたから良かったよ。我が公爵領の海産物が売れないのは困るしね」
一応、ムーンライト公爵領には海がある。
王国の東部一帯を仕切る大公爵を舐めてはいけないということだ。
そんな公爵家が本気で造船技術の獲得を目指すのだから、その発展具合は男爵家など比較にならないだろう。
「ちなみに、この話には王家も絡んでる」
「え?」
「王家は色々な技術者がいるからね。今回のエルゼの婚約で、より王家とのパイプが強くなった。いくらかの人材を借りることが出来たというわけさ」
「俺の婚約は最初からそれが目的で?」
「おや、政略結婚に使われたことが不服だったかな? 二人の様子を見るに満更でも無いようだったから良いかなと思ったんだけど」
「……いえ。彼女とは良い関係になれそうでしたから気にしません。それよりも、お見逸れしました」
この男、正妻と側室のギクシャクした雰囲気には気付かない癖に政治面では凄いのな。
「……」
「まだ何か気になるのかい?」
「え? あー、はい。レーゾーコのような凄いものを作るシュレイン男爵子息が、何か別のものを……兵器の類いを作る可能性もあるかと思いまして」
「ほぅ?」
父が目を細めた。
思ったよりも興味を惹かれたらしい。俺は話を続ける。
「もしも船に乗せられる兵器で、破壊力があるものが作られたら、色々と不味い気がします」
流石に大砲は知らないだろうし、俺は言葉を若干濁らせる。
俺だって魔法銃を作るに至ったのだから、シュレイン男爵子息とやらが兵器類の開発に乗り出していても不思議ではない。
「ふむ……そうだね。それも考慮しておこうか。破壊兵器なんて船に積まれたら厄介だ」
「はい」
「分かった。領地に戻ったら、エルゼも一緒に海辺の街へ行こう」
「はいっ」
その一言で話を切り上げる。
屋敷に着いた俺は婚約式のための礼服を作るために採寸され、一日が潰れてしまった。
やはりチンポがイライラしたので適当なメイドを薬漬けにしてレイプし、種付けセックスで調教してやった。僅か一週間で屋敷で働くメイドを俺のものにしてやったぜ。
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