とある虐げられた侯爵令嬢の華麗なる後ろ楯~拾い人したら溺愛された件

紅位碧子 kurenaiaoko

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話し合い

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 私たちは、そう……。
 
 それは楽しくハンバーグとエビフライセットを完食した。

 帰りの馬車でも、アレク様がたくさんお話して下さった。向かい側に見えるエメラルドグリーンの瞳がとにかく眩しかった。控えめに言ってもアレク様は素晴らしい方で、一緒にいてとても楽しい方だった。

 向かう先は私の別宅。なぜ別宅があり、別宅に向かうのかも勿論お話した。

 もう少しで別宅につきそうだったその時、馬車がなぜか止まった。アレク様が少し腰を浮かせて立ち上がると、おもむろに私の髪につけられた髪飾りに唇を落とした。

「……!」

 私は急に恥ずかしくなりながらも、視線をあげたその先にはアレク様の 瞳があった。

「君の父親に面会を申込んだ」

 アレク様が耳元でささやいた。

「……!」

 私は驚きで声が出なかった。

(え?面会?)

「……私は24年間生きてきて、こんなにも女性といて楽しいと思ったことはないし、ずっと一緒にいたいと思ったことはなかった。私はこれから先の未来に、君と一緒に歩んでいきたい。私と結婚してくれないか?」

 真正面からではなく、耳元でささやかれる甘い言葉に、その吐息だけでクラクラしてしまいそうだった。

「……あ、あの……」

 リリー、モテ期到来か?
 レイに続いてアレク様まで?
 どうなった、私?
 
 目をパチパチさせながら思考を巡らせるも、何を話せばよいのかわからなくなった。

(……ほぼ初対面でプロポーズって!)
 
 それに、耳元は反則…!!

 何だかずっと視線を感じていたが、まさかそんな視線だったなんて……。おまけに、レイという素敵な人がいるにも関わらず、アレク様を素敵な方だと思ってしまう私……。ああ、どうしたら?……。

「……あ、あの……。あまりに突然で驚いてしまって……。私は先日、サザーランド公爵のアルフォンス様のプロポーズをお受けしたばかりです。ですので……」

「……だから?断るのか?まだ正式に婚約すらしていないのだろう。なら、私にもチャンスがあるはずだ」

「……あ、いや、でも……」

「私のことが嫌いなら今この場で拒否して欲しい」

「……いや、あの……嫌いだなんてそんな……」

 クラニエル商会との契約もまだだった。ここで完全に否定してもいいものなのか?理性的な部分で悩んでしまう優柔不断な私……。

「……なら、私にもチャンスをくれ。せめて今度ミリオニアで契約が終わるまでは、アルフォンス殿と正々堂々と戦わせて欲しい」

 そういうとアレク様は頭を下げた。

「……あ、頭をあげて下さい。分かりました……」

「……話しはこの後私からアルフォンス殿にしよう。それでいいかな?」

 いいも悪いもなかったが私はアルク様に従うしかなかった。

(……ひー!レイ、怒るよねぇ……)

 何となく想像できる修羅場を私は覚悟せざる終えなかった。

◇◇◇
 別宅に戻るとマリアが出迎えてくれた。

(良かった!レイがまだ帰ってなくて……)

 私はアルク様を応接室に案内するといったん自室に下がることにした。マリアにはお茶を出した後に話があるから部屋まで来て欲しいと伝えた。

 自室にいると、程なくマリアが現れた。

「今、ダニエルがアレクサンダー様の相手をしております」

「……それは良かった。ごめんなさい、急に。実は……」

 私はアルク様がミリオニア国第二王子であること。プロポーズされたこと。これからアルク様がレイと話し合いをすることを簡潔に伝えた。

「……何か私、悪女、いやいや浮気女みたい……」

「何をおっしゃってるんですか!お嬢様!しっかりされて下さい!私は嬉しいです……!ようやくお嬢様が素敵な女性だと認められて……」

「……ま、マリア!」

「……確かにレイ様も素敵な方ですが、アレクサンダー様も素敵な方でした。じっくりお選びになれば良いではないすか?一生のことですから。マリアはいつでもお嬢様の味方ですよ!」

 思いがけない応援に、私は何を悩んでいたのかよくわからなくなってしまった。

「……じっくり、選ぶ?」

「そうです。じっくり選べばよいのです。ああ、きっと天国のミシェリー様もお喜びなりますね」

「とりあえず、レイが戻ったら悪いんだけど今の話をしてもらってもいい?それから、応接室に案内して。二人の話が終わったら、私を呼んでもらえる?」

 何だか本当に嫌な女だ、私……。
 
(レイ、ごめんなさい……)

 あまりにも、レイに不誠実だ。
 
 レイへの愛が足りない私は恋人失格だよね……。
 
(……はぁ。あの場で何で拒否しなかったんだろ?)

 アレク様を素敵だな、と思ったのは恋?
 それとも憧れ?

 恋愛偏差値が低すぎる私には、答えを出すのはとても難しい……。

 私はドキドキしながら、二人の話が終わるのを待つしかなかった。
 
(……リリー、二人はどちらも素敵な男性たから。その横に立ちたいなら頑張りなさい!)
 
 自分で自分に活を入れる。
 
(……はぁ、でも気が重いなぁ……)
 
気分は複雑だった。
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