燃え尽きた貴族が10年後療養してたら元婚約者に娶られてしまいまして

おげんや豆腐

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完結編 月の獅子の目は彼の者に

断章続き どうかこの夢が終わりませんように

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扉を叩く嫌な音が耳に届く。


ベッドから起き上がる、手短に身支度を済ませる。
「夢か……」


再び外からノックされ、聞こえる台詞はいつもの通り。

“お目覚めの時間でございます、閣下“


分かっている、だからこうして起きたのだから、ああ今日も山積みの仕事だうんざりする。

王城、仕事で帰れない日に使う部屋、寝るためだけの空間。



ここはあの屋敷じゃない、早く帰りたい、愛しい子に会いたい。

“本日のご予定ですが“

廊下にでれば待ち構えていた部下が者類を渡してきた、読みたくない。

分かっている、数時間前の続きだろう? すぐにとりかかる。

まったく、連日の激務に耐える丈夫な体が恨めしい、精神はそこまで強くないというのに、

仕事というのはストレスが溜まる。

医院の激務は構わん、忙しければ忙しいほど次に繋げられる症例を記録できる、一欠片の情報も、メモも無駄にはならない。


だがこの城はどうだ、政治だの外交だの人間と人間のやり取りはどうだ、必ず無駄が生まれる。
私欲を優先して無駄なことをしようとする存在が必ず現れる、それらを粛清する作業が実にめんどうくさい。

王がどうのだの国際交流だの知ったことか、私はただ、我が子のために動きたい。

愛しい子はここにはいない、まあいるにはいるが、今愛を与えたい子はここにはいない。

ピクニック、海外旅行、食べ歩きに他愛もない散歩もしたい。

城のいざこざからは遠く切り離し、ただ楽しいことだけの人生を送らせたい。

何故ならあの子は既に一生分の苦痛を味わっているはずなのだから。



無駄な思考だ、ふむ、ならばもっと無駄な思考をしよう。

最低限の挨拶回り、最低限の置き手紙に最低限リアンに当主しようねできるね(意訳)をしただけなのだが……何故か連れ戻されている、謎すぎる、流石に一日で終わらせたのがいけなかったか?



ふう……仕事だ。






“閣下、陛下がお呼びです“


ああ?



※※※

実に煩わしい。 

わざわざ礼服に袖を通す羽目になったではないか、ゴテゴテ勲章と装飾ばかりで手入れがめんどいのだよ、これ。

座る姿勢、手順ひとつも選ばないと勲章同士がぶつかって傷つくかもしれん、まあいいか、はーどっこいしょ、疲れた。


「やあ、お忙しいところ呼びつけて申し訳ないねルドルフ卿、今年摘みたての茶葉が献上されたんだ、一杯どうかね」
「お呼びいただき誠に光栄です陛下、そしてお気持ちだけ頂戴致します」
「おやざんねん、近頃は帝国の魔術師たちの相手に手を焼いているようだが何か手助けはいるかな? 」
「でしたら人員と彼等が興味を持つようなネタをいくつか見繕っていただきたいですな、それで、用事とは? 」
「検討する、そしてだな」
本気でこちとら忙しいんじゃボケ、わざわざ呼びつけてわざわざ陛下用の談話室に連れてくるような内容じゃなければ少々憤怒を重ねるが、さて。


「卿よ、私はニッキーに会いたい、裏でこっそり会おうとしたが手詰まりになってな、場を整えてはくれないか? 」
「……なんですと? 」


まて、まてまて。

ニッキーが生きている、何処からその情報が漏れたんだ。

「屋敷に探りをいれようとしたんだが送った精鋭が数日行方しれずになった挙げ句に記憶がない、街に張り込ませて屋敷関係者を利用しようとしたが傭兵達に妨害されて上手くいかない、というわけで正攻法で行くことにしたわけだ、頼む」
「先に言うことがあるだろうがクソガキ」

おっといけない、口が悪くなってしまったテヘペロ、まあ非公式の場だし関係ないね、けっ。







    
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