彩の庭
人界を守護する獣、瑞獣の住まう異世界を彩庭(あやにわ)と呼ぶ。現世で半死半生だった人間の綴喜(つづき)は彩庭に招かれ、瑞獣を育てる守役の任を与えられる。
務めを果たせば生きて現世に戻すと彩庭の主に言われた綴喜は余生のつもりで任に当たることに。
綴喜に任されたのは白飄(はくひょう)という名の瑞獣。卵を孵し、幼体から成体まで育て上げるのが守役の役目であるが、白飄はすでに生まれていて大きく、けれども彼は成体ではないらしい。なぜか成体になれない彼を成体に至らせるのが綴喜の役目だった。
現世ではもう死んだのだと割り切る綴喜には、自分の命という報酬は何としてでも欲しいものとしては映らない。そのため必死とは程遠かったが、白飄の懸命な様子に心動かされていく。
白飄はいつまで経っても成体に至れないことに苛立ちを感じており、周囲に荒々しく振る舞うことも珍しくなかった。なぜ成らないのか、焦燥は年月を重ねるほどに増すばかり。幾人もの守役を経て、綴喜にも期待はしていなかった。しかし共に過ごすうちに綴喜に対し、これまでの守役には抱かなかった特別な感情を持ち、仄かに向けるようになる。
成体になれずとも共に居られれば、と成体への焦燥が薄れる。だが、それはべつの焦りへと変わるだけだった。期限までに成体になれなければ綴喜は報酬なく現世に戻され、死んでしまう。それだけは避けたい。白飄は再び急き立てられるように成体への道を探す。
綴喜は白飄の焦りを感じ、彼を大事に思うがゆえに守役の務めを果たそうと彩庭の主に方法を訊きに向かう。白飄が違和感に気づいて綴喜を追いかけたときにはすでに遅く、綴喜は現世に戻されたあと。白飄は諦めず、自力で現世に向かう。
死に瀕する綴喜を救うために、失いたくないという気持ちが白飄を成体に至らせる。綴喜は生きて白飄と共に居たいと望む――二人の思いの果てに、二つの願いは叶うのか。
務めを果たせば生きて現世に戻すと彩庭の主に言われた綴喜は余生のつもりで任に当たることに。
綴喜に任されたのは白飄(はくひょう)という名の瑞獣。卵を孵し、幼体から成体まで育て上げるのが守役の役目であるが、白飄はすでに生まれていて大きく、けれども彼は成体ではないらしい。なぜか成体になれない彼を成体に至らせるのが綴喜の役目だった。
現世ではもう死んだのだと割り切る綴喜には、自分の命という報酬は何としてでも欲しいものとしては映らない。そのため必死とは程遠かったが、白飄の懸命な様子に心動かされていく。
白飄はいつまで経っても成体に至れないことに苛立ちを感じており、周囲に荒々しく振る舞うことも珍しくなかった。なぜ成らないのか、焦燥は年月を重ねるほどに増すばかり。幾人もの守役を経て、綴喜にも期待はしていなかった。しかし共に過ごすうちに綴喜に対し、これまでの守役には抱かなかった特別な感情を持ち、仄かに向けるようになる。
成体になれずとも共に居られれば、と成体への焦燥が薄れる。だが、それはべつの焦りへと変わるだけだった。期限までに成体になれなければ綴喜は報酬なく現世に戻され、死んでしまう。それだけは避けたい。白飄は再び急き立てられるように成体への道を探す。
綴喜は白飄の焦りを感じ、彼を大事に思うがゆえに守役の務めを果たそうと彩庭の主に方法を訊きに向かう。白飄が違和感に気づいて綴喜を追いかけたときにはすでに遅く、綴喜は現世に戻されたあと。白飄は諦めず、自力で現世に向かう。
死に瀕する綴喜を救うために、失いたくないという気持ちが白飄を成体に至らせる。綴喜は生きて白飄と共に居たいと望む――二人の思いの果てに、二つの願いは叶うのか。
あなたにおすすめの小説
【完結】巷で噂の国宝級イケメンの辺境伯は冷徹なので、まっっったくモテませんが、この度婚約者ができました。
オーディスは国宝級イケメンであるにも関わらず、冷徹な性格のせいで婚約破棄されてばかり。
新たな婚約者を探していたところ、パーティーで給仕をしていた貧乏貴族の次男セシルと出会い、一目惚れしてしまう。
しかし、恋愛偏差値がほぼ0のオーディスのアプローチは空回りするわ、前婚約者のフランチェスカの邪魔が入るわとセシルとの距離は縮まったり遠ざかったり…?
冷徹だったはずなのに溺愛まっしぐらのオーディスと元気だけどおっちょこちょいなセシルのドタバタラブコメです。
上手に啼いて
■聡は10歳の初めての発情期の際、大輝に噛まれ番となった。それ以来関係を継続しているが、愛ではなく都合と情で続いている現状はそろそろ終わりが見えていた。
■注意*独自オメガバース設定。■『それは愛か本能か』と同じ世界設定です。関係は一切なし。
竜帝陛下の愛が重すぎて身代わりの落ちこぼれ薬師は今日も腰が砕けそうです 〜呪いを解いたら一生離さないと宣言されました〜
「死ぬ覚悟はできています。でも、その前に……お口、あーんしてください」
魔力を持たない「無能」として実家で虐げられていた薬師のエリアン。
彼に下されたのは、触れるものすべてを焼き尽くす「死の竜帝」ヴァレリウスへの、身代わりの婚姻だった。
隊長さんとボク
ボクの名前はエナ。
エドリアーリアナ国の守護神獣だけど、斑色の毛並みのボクはいつもひとりぼっち。
そんなボクの前に現れたのは優しい隊長さんだった――。
王候騎士団隊長さんが大好きな小動物が頑張る、なんちゃってファンタジーです。
きゅ~きゅ~鳴くもふもふな小動物とそのもふもふを愛でる隊長さんで構成されています。
えろ皆無らぶ成分も極小ですσ(^◇^;)本格ファンタジーをお求めの方は回れ右でお願いします~m(_ _)m
終電を逃すたび、お前が迎えに来る
三十四歳、終電を逃す回数だけ増えていく。
会社を出るのはいつも終電ギリギリで、
間に合わないことの方が多くなった。
そのたびに、連絡する相手が一人だけいた。
二十七歳の、同期の後輩。
「迎えに行きます」
「タクシーでいい」
「行きます」
来る。毎回来る。
何も聞かない。ただ来る。
それがいつからか、当たり前になっていた。
登場人物
黒田 篤(くろだ あつし・34歳)
中堅メーカーの営業部長。仕事は速いが雑に扱われることを許しすぎる。終電を逃すのが月に五回を超えている。感情を出すのが苦手。誰かに頼ることがもっと苦手。
坂本 柚樹(さかもと ゆずき・27歳)
同じ会社の営業部員。黒田の七年後輩。仕事の飲み込みが早く、感情の扱い方がうまい。黒田が終電を逃すたびに迎えに行く。その理由を、一度も言ったことがない。
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。