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違和感

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(考えろ、考えろよ、あたし。何でこんなことになった、とはかどうでもいい。あの魔女をやっつける方法だけを考えるんだ……果梨奈先輩がかなわないってんだ、すげえ魔力なんだろうな。そんな魔女とどうやって決着をつけるってんだ……相手は魔法を使う……そもそも魔法って何だ?)

「マリア、すぐに家に戻りますよ」
 と母親の声がして、あたしは我に返った。
「え?」
「え、じゃありませんよ。メイドに荷造りをさせている間にあなたも支度をなさい」
 
 大急ぎで拵えられた棺にリベルタが運び込まれていた。
 ヴィンセント皇子が指示を出し部下がてきぱきと動き回っていて、白薔薇やミス・アンバーはもう部屋へ戻ったのかいなくなっていた。
 あたしは棺の中のリベルタを見た。
 しっかりと胸にささった短剣はそのままだった。

 毒殺された果梨奈先輩。
 あたしもトゲトゲの石棺に刺し殺されるとこだった。
 そうだ、不可解な事がある。
 それはカリナ前王妃の死因を聞いた時から感じている違和感。
 
 リベルタ王妃の死はきっと政治的配慮で病死と発表されるだろう。
 何の為の死だったのか?
 何の為に王妃になったのか?
 魔女の目的は何だ?
 何故、魔女は今、リベルタを殺した?
 それは……
(マリア……)と果梨奈先輩の声がした。
「何?」
(魔女が消えた……もう気配がない)
「消えた?」
(そう……さっきは確かにいたんだ。でも今はもう魔力も消して……どこに行ったか分からないよ)
「ふん、大丈夫さ、先輩、魔女は見つけたから」
 (本当かい?)
「うん、少し油断したようだね」
(これからどうするの? みんな、もう城へ帰っしまうんだろう……)
 果梨奈先輩は幽霊で元々青白い顔で透き通っていたけど、今の先輩は泣きそうな顔だった。皆が城へ帰ってしまえば寂しいよね。先輩を一緒に連れて帰るのは不可能だろうし、あたしが先輩にしてあげられるのは成仏してもらう事しかないと思うんだ。

「先輩、名探偵、皆を集めてさてと言いって奴をやるよ」
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