132 / 308
うちの隊長は青を纏います
しおりを挟む
何時までも一緒にいられない事は昨日の夜再会して抱きしめられる前からわかっていた。
だけどこれから半年近く会う事が出来ないという寂しさと悔しさに泣き声を殺すのはもう無理だと暫くの間声を立てて泣いて……
泣き腫らした顔で後宮の一角を切り取ったヴォーグの居住区から城内に渡る扉を開ければその外で宮廷騎士の番人達と騎士団長とアレクがほっとした顔で揃って立って居た。
「無事出てきたか」
「朝から仕事があるので」
安心したかのような騎士団長様は見慣れた騎士の服装ではなくヴォーグの色に似た深い青色のフロックコートを着ていた。
そして並ぶ濃い青を身に纏う宮廷騎士へと視線を移して
「青色なのは何か理由でもあるのですか?」
まだ始まったばかりだが伯爵としての言動を宮廷騎士達の顔を見て思い出して実行すれば
「本来なら宮廷騎士の長はバックストロムの剣が生まれれば宮廷騎士は国王の私物ではなくそちらに指揮権が移譲する。
アルホルン大公は要らないと言ってゴルディーニに明け渡したが、何かあればアルホルン大公が指揮を執る。
その為のカラーでバックストロムの剣に従事する者達は侍女を含めて青色系統で纏められている」
言いながら俺の纏うコートを見て
「今城内は第一王子派第二王子派なんて派閥があるが、お前は差し詰め大公派と言う所だな」
「いわゆるシンボルカラーと言う物ですよ」
第一王子は赤、第二王子は黄色。
そんな色分けがあるというのを改めて教えられて感心するのだった。
即答で王権は要らないと言った男と同じ色を纏うと言う事はどちらにも属さないという意味にもなるだろうが、俺の姿を見て良かったなーと言わんばかりにニヤニヤしている宮廷騎士達と騎士団長を殴れるものなら殴りたい衝動に駆られるも
「それよりも隊長、朝礼の時間が迫ってます。
アヴェリオ様も宮廷騎士の皆様もご心配おかけしました」
深く頭を下げての謝辞に改めて迷惑かけた事を思い出して俺も同様に頭を下げる。
「では失礼します」
「シーヴォラ」
くるりと振り向いて足を運ぼうとした所で団長に呼び止められた。
ああ、そう言えばこの人はもう騎士団団長じゃないんだよなといつまでも俺の中では団長な為になかなか意識が切りかえれないでいるけど振り向けば
「あの作戦は着実にこなしているか?」
真剣な眼差しに俺は強く頷く。
誰の為でもない愛した人の為に、望んで孤独を選んだわけでもないのに周りが彼を孤独にさせてしまうそんな運命を変えてやると誓ってまだ三ヶ月。
「クラウゼにも迷惑かけるが、シーヴォラを頼む」
「承りました」
アレクも俺と同じように未だに騎士団団長から切りかえれないと言うように今まで通り敬礼をする。
宮廷騎士の人達が微笑ましそうに俺達を見守る中俺はアレクと共に隊舎へと向かう。
途中知り合いにすれ違って未だに昨夜の格好に冷やかされたものの、すぐに隊服に着替える中背後でハンガーにコートをかけてくれていたアレクが穏やかな笑みを浮かべ
「昨日は盛り上がったみたいだな」
ふと鏡に映った生々しい後の残る自分の姿を見て赤面しながらも
「いつもは痕一つ残さない寂しがり屋のくせに」
きっと背中中に散ってるだろう昨夜の名残に散々な過去の俺の姿を見てきたアレクでさえそっと顔を赤くして視線をそらせていた。
「何て言えばいいのか、お前達はそう言った事にあまり固執しないと思っていたがそうでもないんだな」
安心したと言えばいいのか呆れたと言えばいいのか判らんがと呟くアレクに
「俺が固執しないわけないだろ?」
今頃何を言っていると言えば
「それもそうですね、ヴォーグも可哀想に……」
何気に失礼なアレクだがヴォーグが聞けば多分こう言うだろう。
『固執してるのは俺の方ですよ』
しれっとした顔で言うんだろうなと想像してニヤついていれば
「準備ができたら行きますよ」
「ああ、行こうか」
最後に隊服を着れば鏡を覗き込んでチェックをする。
ヴォーグとの余韻を残さない顔を見るも、襟元に赤い鬱血痕がギリギリ見えた。
今までこう言った事がなくどうした物かと思うも、たまにはいいだろうときっと部下達が喚くのを少し楽しみにしながらアレクに今日の朝礼の内容と予定を確認するのだった。
だけどこれから半年近く会う事が出来ないという寂しさと悔しさに泣き声を殺すのはもう無理だと暫くの間声を立てて泣いて……
泣き腫らした顔で後宮の一角を切り取ったヴォーグの居住区から城内に渡る扉を開ければその外で宮廷騎士の番人達と騎士団長とアレクがほっとした顔で揃って立って居た。
「無事出てきたか」
「朝から仕事があるので」
安心したかのような騎士団長様は見慣れた騎士の服装ではなくヴォーグの色に似た深い青色のフロックコートを着ていた。
そして並ぶ濃い青を身に纏う宮廷騎士へと視線を移して
「青色なのは何か理由でもあるのですか?」
まだ始まったばかりだが伯爵としての言動を宮廷騎士達の顔を見て思い出して実行すれば
「本来なら宮廷騎士の長はバックストロムの剣が生まれれば宮廷騎士は国王の私物ではなくそちらに指揮権が移譲する。
アルホルン大公は要らないと言ってゴルディーニに明け渡したが、何かあればアルホルン大公が指揮を執る。
その為のカラーでバックストロムの剣に従事する者達は侍女を含めて青色系統で纏められている」
言いながら俺の纏うコートを見て
「今城内は第一王子派第二王子派なんて派閥があるが、お前は差し詰め大公派と言う所だな」
「いわゆるシンボルカラーと言う物ですよ」
第一王子は赤、第二王子は黄色。
そんな色分けがあるというのを改めて教えられて感心するのだった。
即答で王権は要らないと言った男と同じ色を纏うと言う事はどちらにも属さないという意味にもなるだろうが、俺の姿を見て良かったなーと言わんばかりにニヤニヤしている宮廷騎士達と騎士団長を殴れるものなら殴りたい衝動に駆られるも
「それよりも隊長、朝礼の時間が迫ってます。
アヴェリオ様も宮廷騎士の皆様もご心配おかけしました」
深く頭を下げての謝辞に改めて迷惑かけた事を思い出して俺も同様に頭を下げる。
「では失礼します」
「シーヴォラ」
くるりと振り向いて足を運ぼうとした所で団長に呼び止められた。
ああ、そう言えばこの人はもう騎士団団長じゃないんだよなといつまでも俺の中では団長な為になかなか意識が切りかえれないでいるけど振り向けば
「あの作戦は着実にこなしているか?」
真剣な眼差しに俺は強く頷く。
誰の為でもない愛した人の為に、望んで孤独を選んだわけでもないのに周りが彼を孤独にさせてしまうそんな運命を変えてやると誓ってまだ三ヶ月。
「クラウゼにも迷惑かけるが、シーヴォラを頼む」
「承りました」
アレクも俺と同じように未だに騎士団団長から切りかえれないと言うように今まで通り敬礼をする。
宮廷騎士の人達が微笑ましそうに俺達を見守る中俺はアレクと共に隊舎へと向かう。
途中知り合いにすれ違って未だに昨夜の格好に冷やかされたものの、すぐに隊服に着替える中背後でハンガーにコートをかけてくれていたアレクが穏やかな笑みを浮かべ
「昨日は盛り上がったみたいだな」
ふと鏡に映った生々しい後の残る自分の姿を見て赤面しながらも
「いつもは痕一つ残さない寂しがり屋のくせに」
きっと背中中に散ってるだろう昨夜の名残に散々な過去の俺の姿を見てきたアレクでさえそっと顔を赤くして視線をそらせていた。
「何て言えばいいのか、お前達はそう言った事にあまり固執しないと思っていたがそうでもないんだな」
安心したと言えばいいのか呆れたと言えばいいのか判らんがと呟くアレクに
「俺が固執しないわけないだろ?」
今頃何を言っていると言えば
「それもそうですね、ヴォーグも可哀想に……」
何気に失礼なアレクだがヴォーグが聞けば多分こう言うだろう。
『固執してるのは俺の方ですよ』
しれっとした顔で言うんだろうなと想像してニヤついていれば
「準備ができたら行きますよ」
「ああ、行こうか」
最後に隊服を着れば鏡を覗き込んでチェックをする。
ヴォーグとの余韻を残さない顔を見るも、襟元に赤い鬱血痕がギリギリ見えた。
今までこう言った事がなくどうした物かと思うも、たまにはいいだろうときっと部下達が喚くのを少し楽しみにしながらアレクに今日の朝礼の内容と予定を確認するのだった。
応援ありがとうございます!
1
お気に入りに追加
1,299
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる