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06.前世の記憶と今世の記憶
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フォークを持つ手が震え息が詰まり、心臓が早鐘を打つ。
バレていた……リーチェの話だと片手で数える程しか会っていない筈なのに……
疑問程度なら誤魔化せたとしても、明確に別人と分かった前提で話しかけてきている。
「……何故お分かりに……?あまり会ってないと……」
「簡単な事。アンジェリカ嬢は数回会ったけど、いつも頬を染め私を見つめてきた。しかし、君は殆ど私と目も合わさない所か見ようともしない。
あと、先程薦めたケーキは以前アンジェリカ嬢に薦めたがお気に召さなかったようで、一口食べて好みじゃないとハッキリ言った末に残りは口をつけなかった。
さらに私に媚を売り、私を見つめてても、見た目と権力だけしか見てなかった」
覚えちゃいないがどうみても俺に……いや、アンジェリカを良く思ってはいないのがよく分かる。
「今回の誘ったのも、ただの義務だ。アンジェリカ嬢が王都に来たのに私が誘わなければ機嫌を損ねると聞いたのでな」
聞いたとは誰から……あ、お兄様か。
リーチェ情報ではお兄様と王太子様はご学友で大変仲が良いらしいしね。お兄様は王太子の名前を愛称で言っていたしね。気安い感じしたもの……
「成る程……」
「さて……いい加減教えてもらえるかい?そろそろ侍女が戻ってきてしまうよ」
それは困るな!あまり人に言いふらす内容じゃないし
ここはサクッと説明しようではないか!
「頭が可笑しくなったと思われるかも知れませんが……」
―――――――――
「前世の記憶……異世界……にわかに信じがたいが……」
俺は自分が前世の記憶持ちの事、前世が異世界で、さらに男であったこと、前世の記憶がつい最近戻り、それまでの記憶が殆ど無いことを話した。
「信じて下さらなくとも結構です。俺が反対に言われれば同じ反応したでしょうし、アンジェリカとして生きてきた、これ迄の記憶が抜け落ちていて、俺がアンジェリカである事を証明出来るものは持ってませんし、……もし殿下がお望みであらば俺は婚約解消されても構いませんから」
「……私達の結婚は王命だ。私達の独断で破棄は出来ない」
「そうなんですか……困りましたね。俺は男と結婚は御免なんですが……」
「万が一、私達の婚約解消が成されたとしても、君は辺境伯令嬢だ。家が決めた結婚は回避出来ないだろう。それに婚約解消されると女性の方が問題ありと判断されて貰い手が無くなる」
「つまり……結婚は回避できないと言うことですね……」
「そうだね」
盛大に項垂れる俺を見て王太子殿下は苦笑すると、俺の髪に手を触れた。
すくように撫でると、さらりと髪が落ちた。
「君はとても素直だね。裏表がない」
「そうですか?俺だって嘘ぐらい吐きますよ。頭が良くないんでバレたもんは、どうしようも出来ない。後は王太子殿下だって中身が男は嫌でしょう?」
「いや、君の体が女性であるならば問題ない。大事なのは次の王太子を産み、そして次の王妃、国の母となれる者であればそれで良い。そこに愛は不要……」
「一番、嫌な結婚ですね。政略結婚でも少しは愛は欲しいでしょう?俺は欲しいね。どうせ回避できないなら相思相愛までいかなくてもお互い信頼しあえる相手が良いです。やっぱり王太子との、結婚はヤです」
「………………君は……」
俺のぶりっ子は解けて、敬語が剥がれだしてる事に気づかず話をしていた俺の顔を殿下はジッと見た。
何か言いたげな顔をして、殿下が話し出そうとした時 包み紙を取りに行っていた侍女が帰って来たのでその日はそこで話が打ち切られた。
バレていた……リーチェの話だと片手で数える程しか会っていない筈なのに……
疑問程度なら誤魔化せたとしても、明確に別人と分かった前提で話しかけてきている。
「……何故お分かりに……?あまり会ってないと……」
「簡単な事。アンジェリカ嬢は数回会ったけど、いつも頬を染め私を見つめてきた。しかし、君は殆ど私と目も合わさない所か見ようともしない。
あと、先程薦めたケーキは以前アンジェリカ嬢に薦めたがお気に召さなかったようで、一口食べて好みじゃないとハッキリ言った末に残りは口をつけなかった。
さらに私に媚を売り、私を見つめてても、見た目と権力だけしか見てなかった」
覚えちゃいないがどうみても俺に……いや、アンジェリカを良く思ってはいないのがよく分かる。
「今回の誘ったのも、ただの義務だ。アンジェリカ嬢が王都に来たのに私が誘わなければ機嫌を損ねると聞いたのでな」
聞いたとは誰から……あ、お兄様か。
リーチェ情報ではお兄様と王太子様はご学友で大変仲が良いらしいしね。お兄様は王太子の名前を愛称で言っていたしね。気安い感じしたもの……
「成る程……」
「さて……いい加減教えてもらえるかい?そろそろ侍女が戻ってきてしまうよ」
それは困るな!あまり人に言いふらす内容じゃないし
ここはサクッと説明しようではないか!
「頭が可笑しくなったと思われるかも知れませんが……」
―――――――――
「前世の記憶……異世界……にわかに信じがたいが……」
俺は自分が前世の記憶持ちの事、前世が異世界で、さらに男であったこと、前世の記憶がつい最近戻り、それまでの記憶が殆ど無いことを話した。
「信じて下さらなくとも結構です。俺が反対に言われれば同じ反応したでしょうし、アンジェリカとして生きてきた、これ迄の記憶が抜け落ちていて、俺がアンジェリカである事を証明出来るものは持ってませんし、……もし殿下がお望みであらば俺は婚約解消されても構いませんから」
「……私達の結婚は王命だ。私達の独断で破棄は出来ない」
「そうなんですか……困りましたね。俺は男と結婚は御免なんですが……」
「万が一、私達の婚約解消が成されたとしても、君は辺境伯令嬢だ。家が決めた結婚は回避出来ないだろう。それに婚約解消されると女性の方が問題ありと判断されて貰い手が無くなる」
「つまり……結婚は回避できないと言うことですね……」
「そうだね」
盛大に項垂れる俺を見て王太子殿下は苦笑すると、俺の髪に手を触れた。
すくように撫でると、さらりと髪が落ちた。
「君はとても素直だね。裏表がない」
「そうですか?俺だって嘘ぐらい吐きますよ。頭が良くないんでバレたもんは、どうしようも出来ない。後は王太子殿下だって中身が男は嫌でしょう?」
「いや、君の体が女性であるならば問題ない。大事なのは次の王太子を産み、そして次の王妃、国の母となれる者であればそれで良い。そこに愛は不要……」
「一番、嫌な結婚ですね。政略結婚でも少しは愛は欲しいでしょう?俺は欲しいね。どうせ回避できないなら相思相愛までいかなくてもお互い信頼しあえる相手が良いです。やっぱり王太子との、結婚はヤです」
「………………君は……」
俺のぶりっ子は解けて、敬語が剥がれだしてる事に気づかず話をしていた俺の顔を殿下はジッと見た。
何か言いたげな顔をして、殿下が話し出そうとした時 包み紙を取りに行っていた侍女が帰って来たのでその日はそこで話が打ち切られた。
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