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「……やはり、嘘や誤魔化しは得意になれそうにはないですね。アラビアン嬢のためにもどうか聞かないでいただけますか?」
「アラビアンのため……?」
聞かないことが私のためになる?なんでだろう。そうとは思えない。それにはいそうですかと流してはいけないようなそんな感じがする。
「いえ、聞かせてください。私は何かを忘れている気がしてなりません」
だからオネエ様やメラニー様からではなく、自分で聞かなければ。
「思い出せばアラビアン嬢は自ら危険を顧みないようになるかと。私が必ず闇の存在を祓います。ですから、どうか信じて……」
その意味は、命を使ってでもと……私にはそう聞こえた。信じるも何も、私はそういう結末を望んでない。聖王が死ぬのは嫌だと心が私に訴える。
「嫌です。死んでまで守ってもらうなんて嫌です」
「……! まさか、記憶が……」
この反応やっぱり………聖王は私の記憶に何かしたのではないだろうか?
「聖王様のことは思い出せておりません。しかし、この世界の物語を私は知っています」
この意味が聖王にわかるだろうか?前世の話をしても信じられないだろうからあえてそのように言った。オネエ様たちは何のことか理解できていない。ウランやネオン、スディも含めて。
ただ聖王だけが意味を知っているように驚きを隠せないでいる。
聖王は私に前世の記憶があることを知っているんじゃないだろうか?そして、私は元々前世の記憶を持っていた可能性があるのでは?とそう思う。
でなければ聖王が私に前世の記憶があることを知れるはずもない。アラビアンとしての幼い頃の記憶は断片的だ。しかしそれは成長するにつれ、忘れるのは仕方ないものだと思っていた。オネエ様が幼い頃の兄だった日の記憶は少なからずあるから。
アラビアンとしての記憶はアラビアンが覚えてる中で当然としてあるもの。だから混乱はしなかった。でも、覚えてない大半が前世の記憶に基づいていたものだとしたら?
アラビアンは私だ。私が転生してなったのがアラビアン。覚えてるアラビアンが歩んだ記憶は私が歩んできた人生で、違いは前世の記憶があるかないか。前世の記憶があるときに私は何故か聖王に会っている。
聖王の幼い間は教会に隠され、聖王としての育成のため、教会から出られないはずの聖王が私を知る理由。それは私が教会に出入りしていて、聖王に会うのが許された存在だったということ。
しかも両親にも知られずに。その方法こそが私から記憶を奪った何かかもしれない。
「思い出してはだめだ。次は、次は失敗しないから」
聖王が口調を崩して狼狽え始める。私が思い出すことを恐れているように。
【思い出しなさい、貴女の使命を】
そんな時だった。どこか知った声が私の頭の中に響いたのは。
「アラビアンのため……?」
聞かないことが私のためになる?なんでだろう。そうとは思えない。それにはいそうですかと流してはいけないようなそんな感じがする。
「いえ、聞かせてください。私は何かを忘れている気がしてなりません」
だからオネエ様やメラニー様からではなく、自分で聞かなければ。
「思い出せばアラビアン嬢は自ら危険を顧みないようになるかと。私が必ず闇の存在を祓います。ですから、どうか信じて……」
その意味は、命を使ってでもと……私にはそう聞こえた。信じるも何も、私はそういう結末を望んでない。聖王が死ぬのは嫌だと心が私に訴える。
「嫌です。死んでまで守ってもらうなんて嫌です」
「……! まさか、記憶が……」
この反応やっぱり………聖王は私の記憶に何かしたのではないだろうか?
「聖王様のことは思い出せておりません。しかし、この世界の物語を私は知っています」
この意味が聖王にわかるだろうか?前世の話をしても信じられないだろうからあえてそのように言った。オネエ様たちは何のことか理解できていない。ウランやネオン、スディも含めて。
ただ聖王だけが意味を知っているように驚きを隠せないでいる。
聖王は私に前世の記憶があることを知っているんじゃないだろうか?そして、私は元々前世の記憶を持っていた可能性があるのでは?とそう思う。
でなければ聖王が私に前世の記憶があることを知れるはずもない。アラビアンとしての幼い頃の記憶は断片的だ。しかしそれは成長するにつれ、忘れるのは仕方ないものだと思っていた。オネエ様が幼い頃の兄だった日の記憶は少なからずあるから。
アラビアンとしての記憶はアラビアンが覚えてる中で当然としてあるもの。だから混乱はしなかった。でも、覚えてない大半が前世の記憶に基づいていたものだとしたら?
アラビアンは私だ。私が転生してなったのがアラビアン。覚えてるアラビアンが歩んだ記憶は私が歩んできた人生で、違いは前世の記憶があるかないか。前世の記憶があるときに私は何故か聖王に会っている。
聖王の幼い間は教会に隠され、聖王としての育成のため、教会から出られないはずの聖王が私を知る理由。それは私が教会に出入りしていて、聖王に会うのが許された存在だったということ。
しかも両親にも知られずに。その方法こそが私から記憶を奪った何かかもしれない。
「思い出してはだめだ。次は、次は失敗しないから」
聖王が口調を崩して狼狽え始める。私が思い出すことを恐れているように。
【思い出しなさい、貴女の使命を】
そんな時だった。どこか知った声が私の頭の中に響いたのは。
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