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久しぶりの脂が乗ったお肉を食べるのが幸せ
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ウィンチェスター家は古くから王家に忠誠を誓う位の高い公爵家である。
男の子が生まれたならば、良き臣下として。
女の子が生まれたならば、婚約者として。
そんな決まりがあった。
ウィンチェスター家で女の子が生まれたのは100年以上ぶりということで、アリア•ウィンチェスターが王太子の婚約者となった。
分家の更に末端のリゲルがウィンチェスター家に養子として認められたのは、成績が常に上位だった事が当時のウィンチェスター公爵にたまたま目に止まったのがきっかけだった。
公爵は渋々再婚をし、分家であるリゲルを養子として迎えいれたが‥‥
何をしても義理の姉であるアリア•ウィンチェスターには敵わず、義弟のリゲルは、アリアを敵視するようになっていた。
「私の可愛い息子リゲル、貴方のほうが優秀だわ。亡くなった公爵様もなかなか貴方を次期公爵として皆に言ってくれないなんて‥‥本当‥次期公爵は貴方よ!」
「母上、ありがとうございます」
亡くなった公爵はまだリゲルを認めてなかったのか、試しているのか、正式な表明をだしていなかったが、リゲルは少しずつ周りを味方につけて、逆らうものはクビにし、屋敷内の者達は全てリゲル達の言いなりとなっていた。
リゲルは鼻歌を歌いながら席に座る。
「完璧だ。あぁ、明日は彼女とデートだ。何を買ってやろうかな」
「あら、リゲル。機嫌いいわね」
「母上、そりゃそうだよ。姉上が亡くなって
この屋敷のもの全ては俺のものさ。それにあの生意気な執事もずっと牢にいるだろうし」
「ふふ、亡くなった公爵様も、娘もいなくなり、誰も私達に文句を言ってこないのは、やっぱリゲル、貴方が優秀だからだわ!でも‥なんだか、私何かを忘れているような気がするのよねえ」
高級なワインをかぶかぶと飲み、分厚い肉を頬張りながらも、何かを忘れたと言う母親にリゲルは気のせいだと笑っていた時だ。
「「きゃあぁああ!!幽霊!!」」
屋敷の玄関ホールからメイド達の悲鳴が響く。
リゲルと母親は何事だと悲鳴が聞こえる方へかけつける。
金髪のストレートに真っ赤なドレスを着て現れている令嬢を見てリゲルは固まっていた。
「幽霊だなんて、失礼ね。ジャック、このメイド達はクビね」
「はい、そのように致します」
亡くなったアリア•ウィンチェスターにそっくりな女性が沢山の執事とメイドを引き連れてやってきたのだった。
よく見るとクビにした者達と、すぐそばには先程まで牢にいたジャックがいることに気づく。
「ア、アあ、アリア姉‥‥様?え、ちょ‥ストレートだから、違う‥‥え」
そう混乱しているリゲルのそばにいた母親がハッ!と思い出したかのように顔を青ざめていた。
「え、貴女は‥‥まさか!?そうよ、そうだわ‥‥!なんで私は貴女の存在を忘れてたのかしら!?」
「‥‥‥へえ。私の事をご存知だったみたいね?お見舞いとか一度も来てくれず、私悲しかったですわ」
「えっと‥‥えーと、おほほほ!」
笑って護摩化す義理の母親とは逆に、リゲルは我に返り、スピカを睨み叫ぶ。
「あ、貴女はなんだ!勝手に人の家に入り込んで!」
そうリゲルは叫ぶと隣りにいた母親は慌てて止める。
「ちょ、リゲル!この子はアリアの双子の姉!確か、そう‥名前はスピカ•ウィンチェスターよ!」
「あ、姉?姉はあの女だけでなかったのか!?なんで、今まで隠してたんだ!?」
「そ、そうよね。私も何故か忘れてしまったのか、、、わからないわ」
リゲルの発言に冷たい顔を向けるスピカにリゲルは死んだ姉アリアを思い出す。
「‥‥ははっ‥‥その俺を見つめる冷めた目‥‥認めたくありませんが姉のようですね。とりあえず食事でもいかがですか?スピカ姉上」
そうリゲルは落ちつきを取り戻し、スピカ達は食卓の方へと席に座る。
「ふ、ふ不思議だわ、何故私はこんなに可愛いもう一人の娘がいることを忘れたのかしら?!おほほほ、あら。でも体が弱いと聞いてたわ。アリアが亡くなって駆けつけてきてくれたのよね」
「スピカ姉上は、体が弱いんですか。なるほど‥」
姉がいようがいまいが体が弱い姉は特に問題ないし、今更どうでもよいという顔をするリゲルをスピカは笑った。
「ねえ、なんでそんなに余裕なのかしら。担当直入に告げるわ。お前達はウィンチェスター家の籍から外れるから」
そう可愛いらしい笑顔で食卓にあるフルーツを食べるスピカにリゲルはバン!とテーブルを叩く。
「な、な!そんな事は出来ないですよ!俺は次期ウィンチェスター家を継ぐものです!」
自信満々な顔でそう話すリゲルの近くにいたリゲル側であろうメイド達は大きく頷いていた。最初は、スピカを見て驚いていたメイドや執事達もスピカを馬鹿にするような態度をしてきた。
まるで亡くなったアリアにもそうしてきたかのように。
「そもそもずっと生きてるか死ぬかわからないお嬢様だよな」
「体が弱いということはどうせ家を継ぐなんてできやしない」
「やはり次期公爵家を継ぐのはリゲル様」
そう顔に出ていた。
スピカはもう一度話す。
「躾がなっていない馬鹿犬はジャックだけで十分なのに、ここにいる屋敷全員は誰がご主人様かわかってないようね」
そう話すスピカに空気がピリつき、皆を黙らせた後、スピカはリゲルとリゲルの母親に一枚の書類を見せた。
リゲルの母親は顔を青ざめる。
「‥‥あ、え‥ななななんで‥」
「ふふ。亡くなったお母様達の物を売るだけで飽き足らず、横領など手を貸した証拠がでてきたの。『偶然』にも。
貴女達はウィンチェスター家を名乗る資格はないわよ。ここにいる屋敷全員出て行きなさい」
そうスピカが話すと同時に騎士団がやってきて、義理の母を逮捕する。母を庇うリゲルは取り押さえられ、スピカはリゲルの顔を片手で顎をクイッとして涙目になるリゲルを見て満足そうな顔をして笑う。
「あははっ!泣いてみっともない!サヨウナラ、リゲル君。ねえ、ジャック見てよ。貴方よりも不様よ」
「この‥‥この悪魔がぁ!!!」
先程まで馬鹿にしていたメイドや執事達はスピカの方へやってきた。
「す、スピカお嬢様!申し訳ございませんでした!私達はリゲル様達のご命令で逆らえず!」
「クビにされたら、家族共路頭に迷ってしまう!!死んでしまいます!」
涙を流す執事やメイド達に、スピカはそっと涙を流すメイドの涙を拭う。
そして可愛らしく天使のように微笑みかける。
「なら◯ね」
ーーリゲル•ウィンチェスター
母親の罪を知りながらも、手を貸していた事が明らかになり、現在母親と共に牢獄へとお世話になる。
広い屋敷には庭師とメイド、そしてジャック、スピカが療養していた屋敷のメイドや執事達が入れ替えとなる。
分厚い肉をスピカは優雅に一口食べる。
「久しぶりに食べるお肉って美味しい。体が元気になると、脂っこい物が食べれるものね」
さて、学園へ通う準備をしなきゃならいわね。アリア姉様が通っていた学園へーー。
「ジャック」
「ハイ、スピカお嬢様」
「学園の生徒全員の情報を集めてきてちょうだい。ん?何?お肉を食べたいの?」
「‥‥いえ。かしこまりました」
男の子が生まれたならば、良き臣下として。
女の子が生まれたならば、婚約者として。
そんな決まりがあった。
ウィンチェスター家で女の子が生まれたのは100年以上ぶりということで、アリア•ウィンチェスターが王太子の婚約者となった。
分家の更に末端のリゲルがウィンチェスター家に養子として認められたのは、成績が常に上位だった事が当時のウィンチェスター公爵にたまたま目に止まったのがきっかけだった。
公爵は渋々再婚をし、分家であるリゲルを養子として迎えいれたが‥‥
何をしても義理の姉であるアリア•ウィンチェスターには敵わず、義弟のリゲルは、アリアを敵視するようになっていた。
「私の可愛い息子リゲル、貴方のほうが優秀だわ。亡くなった公爵様もなかなか貴方を次期公爵として皆に言ってくれないなんて‥‥本当‥次期公爵は貴方よ!」
「母上、ありがとうございます」
亡くなった公爵はまだリゲルを認めてなかったのか、試しているのか、正式な表明をだしていなかったが、リゲルは少しずつ周りを味方につけて、逆らうものはクビにし、屋敷内の者達は全てリゲル達の言いなりとなっていた。
リゲルは鼻歌を歌いながら席に座る。
「完璧だ。あぁ、明日は彼女とデートだ。何を買ってやろうかな」
「あら、リゲル。機嫌いいわね」
「母上、そりゃそうだよ。姉上が亡くなって
この屋敷のもの全ては俺のものさ。それにあの生意気な執事もずっと牢にいるだろうし」
「ふふ、亡くなった公爵様も、娘もいなくなり、誰も私達に文句を言ってこないのは、やっぱリゲル、貴方が優秀だからだわ!でも‥なんだか、私何かを忘れているような気がするのよねえ」
高級なワインをかぶかぶと飲み、分厚い肉を頬張りながらも、何かを忘れたと言う母親にリゲルは気のせいだと笑っていた時だ。
「「きゃあぁああ!!幽霊!!」」
屋敷の玄関ホールからメイド達の悲鳴が響く。
リゲルと母親は何事だと悲鳴が聞こえる方へかけつける。
金髪のストレートに真っ赤なドレスを着て現れている令嬢を見てリゲルは固まっていた。
「幽霊だなんて、失礼ね。ジャック、このメイド達はクビね」
「はい、そのように致します」
亡くなったアリア•ウィンチェスターにそっくりな女性が沢山の執事とメイドを引き連れてやってきたのだった。
よく見るとクビにした者達と、すぐそばには先程まで牢にいたジャックがいることに気づく。
「ア、アあ、アリア姉‥‥様?え、ちょ‥ストレートだから、違う‥‥え」
そう混乱しているリゲルのそばにいた母親がハッ!と思い出したかのように顔を青ざめていた。
「え、貴女は‥‥まさか!?そうよ、そうだわ‥‥!なんで私は貴女の存在を忘れてたのかしら!?」
「‥‥‥へえ。私の事をご存知だったみたいね?お見舞いとか一度も来てくれず、私悲しかったですわ」
「えっと‥‥えーと、おほほほ!」
笑って護摩化す義理の母親とは逆に、リゲルは我に返り、スピカを睨み叫ぶ。
「あ、貴女はなんだ!勝手に人の家に入り込んで!」
そうリゲルは叫ぶと隣りにいた母親は慌てて止める。
「ちょ、リゲル!この子はアリアの双子の姉!確か、そう‥名前はスピカ•ウィンチェスターよ!」
「あ、姉?姉はあの女だけでなかったのか!?なんで、今まで隠してたんだ!?」
「そ、そうよね。私も何故か忘れてしまったのか、、、わからないわ」
リゲルの発言に冷たい顔を向けるスピカにリゲルは死んだ姉アリアを思い出す。
「‥‥ははっ‥‥その俺を見つめる冷めた目‥‥認めたくありませんが姉のようですね。とりあえず食事でもいかがですか?スピカ姉上」
そうリゲルは落ちつきを取り戻し、スピカ達は食卓の方へと席に座る。
「ふ、ふ不思議だわ、何故私はこんなに可愛いもう一人の娘がいることを忘れたのかしら?!おほほほ、あら。でも体が弱いと聞いてたわ。アリアが亡くなって駆けつけてきてくれたのよね」
「スピカ姉上は、体が弱いんですか。なるほど‥」
姉がいようがいまいが体が弱い姉は特に問題ないし、今更どうでもよいという顔をするリゲルをスピカは笑った。
「ねえ、なんでそんなに余裕なのかしら。担当直入に告げるわ。お前達はウィンチェスター家の籍から外れるから」
そう可愛いらしい笑顔で食卓にあるフルーツを食べるスピカにリゲルはバン!とテーブルを叩く。
「な、な!そんな事は出来ないですよ!俺は次期ウィンチェスター家を継ぐものです!」
自信満々な顔でそう話すリゲルの近くにいたリゲル側であろうメイド達は大きく頷いていた。最初は、スピカを見て驚いていたメイドや執事達もスピカを馬鹿にするような態度をしてきた。
まるで亡くなったアリアにもそうしてきたかのように。
「そもそもずっと生きてるか死ぬかわからないお嬢様だよな」
「体が弱いということはどうせ家を継ぐなんてできやしない」
「やはり次期公爵家を継ぐのはリゲル様」
そう顔に出ていた。
スピカはもう一度話す。
「躾がなっていない馬鹿犬はジャックだけで十分なのに、ここにいる屋敷全員は誰がご主人様かわかってないようね」
そう話すスピカに空気がピリつき、皆を黙らせた後、スピカはリゲルとリゲルの母親に一枚の書類を見せた。
リゲルの母親は顔を青ざめる。
「‥‥あ、え‥ななななんで‥」
「ふふ。亡くなったお母様達の物を売るだけで飽き足らず、横領など手を貸した証拠がでてきたの。『偶然』にも。
貴女達はウィンチェスター家を名乗る資格はないわよ。ここにいる屋敷全員出て行きなさい」
そうスピカが話すと同時に騎士団がやってきて、義理の母を逮捕する。母を庇うリゲルは取り押さえられ、スピカはリゲルの顔を片手で顎をクイッとして涙目になるリゲルを見て満足そうな顔をして笑う。
「あははっ!泣いてみっともない!サヨウナラ、リゲル君。ねえ、ジャック見てよ。貴方よりも不様よ」
「この‥‥この悪魔がぁ!!!」
先程まで馬鹿にしていたメイドや執事達はスピカの方へやってきた。
「す、スピカお嬢様!申し訳ございませんでした!私達はリゲル様達のご命令で逆らえず!」
「クビにされたら、家族共路頭に迷ってしまう!!死んでしまいます!」
涙を流す執事やメイド達に、スピカはそっと涙を流すメイドの涙を拭う。
そして可愛らしく天使のように微笑みかける。
「なら◯ね」
ーーリゲル•ウィンチェスター
母親の罪を知りながらも、手を貸していた事が明らかになり、現在母親と共に牢獄へとお世話になる。
広い屋敷には庭師とメイド、そしてジャック、スピカが療養していた屋敷のメイドや執事達が入れ替えとなる。
分厚い肉をスピカは優雅に一口食べる。
「久しぶりに食べるお肉って美味しい。体が元気になると、脂っこい物が食べれるものね」
さて、学園へ通う準備をしなきゃならいわね。アリア姉様が通っていた学園へーー。
「ジャック」
「ハイ、スピカお嬢様」
「学園の生徒全員の情報を集めてきてちょうだい。ん?何?お肉を食べたいの?」
「‥‥いえ。かしこまりました」
応援ありがとうございます!
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