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へっぽこ姫の仲良し作戦⑥ 六章 原作の世界編

ブラッドの焦りと不安

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「クソっ!!!…ハアハアハア!!」

汗だくになりながら一人で剣の練習をしていたブラッドは苛々していた。


《私はガーネット王子の忠実な臣下ブラッドです。ちっ、気安く話かけるな。お前みたいなガキが》

顔を隠すように長い前髪と包帯だらけで黒と紫色のマント姿の大人になった自分を見て正直ゾッとした。

小さな頃に傷をつけられてたであろう傷跡を隠すかのように、自分を作り出すような話し方。見え透いた嘘の塊のような違和感…。彼の目は…絶望し誰も信じていない目だった。

「まるで…ほんの少し前の俺じゃねぇか…クソッ」

闇の精霊が俺達に見せたあの世界は…嘘だしあんな風にならない!…いや、エメラルドと会っていなかったら俺は大人達を憎んでいたはず。あのモリオン家の実験体にされて、別な道に行っていたかもしれない。

笑う事が許されなかった毎日。

誰とも話すのを許されなかった毎日。

塔の上で実験され、辛い毎日。

『あれ』がずっと続いていたら……

「…俺…グレてたわな…」


エメラルドの為に強く守れるようになりたいと決めたあの時から、全然守れてない。どんなに頑張っても頑張っても、王子達の方が遥かに力は上でエメラルドを守れてるのも王子達で頼りになる。プリムラ王子もあんなに小さくて泣き虫だった筈が、どこか自信に溢れててエメラルドを笑顔いっぱいにさせてるし。ユーディアライトも力は王子達よりないけど、エメラルドの勉学に力を貸して教えたりしてるし…

「…あー…俺…なんもーできてねーな…」

むしろ、情け無くてカッコ悪いところしか見せてない。
もしかしたら、本当に俺このまま、あの悪い奴になっちまうのかな?多分…ガーネット王子も同じ不安を抱いていたと思う。反乱側にいたのは、俺とガーネット王子だけだったから……。いや、ならない。なる筈ない。
そんな事をしたらエメラルドが…泣いちゃうから。

「……なんだ。しけた顔をしているな」

「ガーネット王子…」

ガーネット王子は地面にあった剣を一つ手にとり

「どうした?私に忠実な下僕になりたいと悩んでるのか?」

「…げっ、それは冗談やめろよ!俺が忠実に慕い守りたい人はエメラルド一人だけだ」

ガーネット王子はクスッと珍しく俺に笑いかけ
「…なら問題ないだろう。変に悩むな」

「…あんたもな」

「……貴様に言われなくてもわかってる。」

そうそっと剣をまた置いてガーネット王子は去ろうとした時

「でも…まあ、王となったアンタを見てみたいっていう気持ちは少しだけあるけどなー…」

ガーネット王子は少し驚いた顔をして俺を見る。

「……私がか?何故?」

「…いや、ハウライト王子がなってみろよ?それこそ暗黒の時代が始まるわ」

そう言うとガーネット王子はまた笑ったままその場から去っていた。…なんとなくプリムラ王子がガーネットに憧れる気持ちはわかる気がする。無口でぶっきらぼうでだけど一番、、、、オーラが半端ねえんだよな。

「…はあー、もう昼寝でもしよっ…」

「ねえ、誰が暗黒時代を始めるのかな?」

「………ひっ!!!!ハウライトッ!おーじさまっ!」

「うん?ねえ、誰が暗黒時代なわけ?」

ニコニコと笑顔で話しかけるハウライトがやっぱり悪役に適していると俺は思う!!

「さて、剣と魔術、両方の練習でもしよっか!」

「ゲッ!!!」

「ブラッド君、口は災いの元ですよ?ぷぷっ」

「ユーディアライト!お前に言われたくない!」


ハウライト王子にしごかれ、ちょっと…いや、ちょっとどころじゃねーな。死にそうだわ!!


「おーい!!みーんなああ!エメ特製のアイスティーだよー!!マシュマロと一緒にどうでーすかあー?」

可愛いらしい笑顔で走りに来る小さなお姫様。

まだまだカッコ悪い俺で、不安もあるけど、、、

「あの笑顔には…敵わないよなあ」


絶対にあんな風にならない、魔術師みたいな格好もしない、もっと強くなり彼女を守れる騎士になりたいそう強く願った。









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