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#37 交代をしょうと縁司が嗤う
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(なんだって、俺がこんな目に合わなきゃなんねぇんだよ)
長谷部にとってみれば実の父親からの《お願い》に絆されて。
結果として、着たくもないワンピースを着せられ店内のソファーに座らせられ、運も悪くてといえばいいのか、運良くといえばいいのか。
竜司と扇と出会い――卑猥な行為に巻き込まれた。
原因は実の父親ということもあり、大嫌いでもなく断れなかった自分の意思のなさ。
(どうして、俺が経験者だだろうだとか。疑うんだよっ)
「父さん。俺、もう行くわ」
沸騰した憤りは。
「ええ。ごめんなさいね、長谷部君」
感情すらも飲み込み、なくなってしまう。
縁司の顔すら見ずに席から立ち上がる彼に、
「おいおいーなんで行くのーああ。客がいんのねー~~」
縁司も侮辱の言葉を、慎む真似もしない。
「いたって、あンたにゃあ関係なんかねぇだろう」
しれっと言い放つと目を細めて――縁司を見てほくそくんだ。
「!? ~~な゛っ!」
ガタ! と縁司も顔を真っ赤に席から立ち上がった。
「行くのかよ!」
「…関係ねぇし、あンたに」
「長谷部っ!」
「じゃあね。縁司さん」
長谷部は捨て台詞に吐き、従業員出入り口の中へと消えた。
「あーらら~~行っちゃったじゃないか~~」
扇が声を弾ませて縁司に言葉を続けた。
「ダメだよw あぁんた口の悪い言葉なかり吐いたりしたら、誰だってへそも曲げちゃうってもんだよぉう?」
「喜ぶかよもー?」
「そうかなぁあw」
「喜ばないですわよ?」
◆
「~~~~っつ!」と表情も険しく足早に向かって来た長谷部を竜司も見て、勇み足で向かって行った。理由は長谷部をなだめにとがではなく。
個人的に聞きたくて堪らないことで、顔も緩ませていた。
「ぉ、おおお帰り! ぁ、あのね?? そのぅ~~…彼は、元気そうだったかな?」
もじもじと上目遣いで長谷部に聞く。
しかし、ここで遅いながらに気がついた。
長谷部の不機嫌な表情に。
「ど、うかしたのかい!?」
狼狽え出す竜司に長谷部も口を開け閉めとさせ、戦慄くと口をにこやかに緩ませた。
「いや。何もなかったよ」
感情も、何もかもを押し殺しで笑う仕草を装う。
心配をかけまいとばかりに。
それと、だ。
(竜司さん。あいつの兄さんだし)
兄弟同士での喧嘩も見たくはなかった。
(縁司の馬鹿も、…悪気もない、はずだし…)
だから渋々と飲み込んだ。
長谷部も縁司が大嫌いという訳でもない。
話しを訊く気もなく、身勝手に思い込む彼が嫌なだけで。
(ただただと、大馬っっっっ鹿野郎なだけなんだ)
「そそそそ、そうなのかい!? そっかぁ~~~~」と顔を蒸気させ真っ赤ににへらと笑う竜司に長谷部も苦笑するしかなかった。
「愛に行けばいいのにw」
「! っだ、ダメだよっ! ぼぼぼ僕はおじさんだもんっ」
「兄貴ぃ、交代の時間だぜー~~」
堂々と従業員専用の出入り口から乗り込んで来た縁司が嗤った。
長谷部を睨みつけ、
すー~~……
っふぅう――……
「行きなよ♡」
業とらしく会釈をした。
長谷部にとってみれば実の父親からの《お願い》に絆されて。
結果として、着たくもないワンピースを着せられ店内のソファーに座らせられ、運も悪くてといえばいいのか、運良くといえばいいのか。
竜司と扇と出会い――卑猥な行為に巻き込まれた。
原因は実の父親ということもあり、大嫌いでもなく断れなかった自分の意思のなさ。
(どうして、俺が経験者だだろうだとか。疑うんだよっ)
「父さん。俺、もう行くわ」
沸騰した憤りは。
「ええ。ごめんなさいね、長谷部君」
感情すらも飲み込み、なくなってしまう。
縁司の顔すら見ずに席から立ち上がる彼に、
「おいおいーなんで行くのーああ。客がいんのねー~~」
縁司も侮辱の言葉を、慎む真似もしない。
「いたって、あンたにゃあ関係なんかねぇだろう」
しれっと言い放つと目を細めて――縁司を見てほくそくんだ。
「!? ~~な゛っ!」
ガタ! と縁司も顔を真っ赤に席から立ち上がった。
「行くのかよ!」
「…関係ねぇし、あンたに」
「長谷部っ!」
「じゃあね。縁司さん」
長谷部は捨て台詞に吐き、従業員出入り口の中へと消えた。
「あーらら~~行っちゃったじゃないか~~」
扇が声を弾ませて縁司に言葉を続けた。
「ダメだよw あぁんた口の悪い言葉なかり吐いたりしたら、誰だってへそも曲げちゃうってもんだよぉう?」
「喜ぶかよもー?」
「そうかなぁあw」
「喜ばないですわよ?」
◆
「~~~~っつ!」と表情も険しく足早に向かって来た長谷部を竜司も見て、勇み足で向かって行った。理由は長谷部をなだめにとがではなく。
個人的に聞きたくて堪らないことで、顔も緩ませていた。
「ぉ、おおお帰り! ぁ、あのね?? そのぅ~~…彼は、元気そうだったかな?」
もじもじと上目遣いで長谷部に聞く。
しかし、ここで遅いながらに気がついた。
長谷部の不機嫌な表情に。
「ど、うかしたのかい!?」
狼狽え出す竜司に長谷部も口を開け閉めとさせ、戦慄くと口をにこやかに緩ませた。
「いや。何もなかったよ」
感情も、何もかもを押し殺しで笑う仕草を装う。
心配をかけまいとばかりに。
それと、だ。
(竜司さん。あいつの兄さんだし)
兄弟同士での喧嘩も見たくはなかった。
(縁司の馬鹿も、…悪気もない、はずだし…)
だから渋々と飲み込んだ。
長谷部も縁司が大嫌いという訳でもない。
話しを訊く気もなく、身勝手に思い込む彼が嫌なだけで。
(ただただと、大馬っっっっ鹿野郎なだけなんだ)
「そそそそ、そうなのかい!? そっかぁ~~~~」と顔を蒸気させ真っ赤ににへらと笑う竜司に長谷部も苦笑するしかなかった。
「愛に行けばいいのにw」
「! っだ、ダメだよっ! ぼぼぼ僕はおじさんだもんっ」
「兄貴ぃ、交代の時間だぜー~~」
堂々と従業員専用の出入り口から乗り込んで来た縁司が嗤った。
長谷部を睨みつけ、
すー~~……
っふぅう――……
「行きなよ♡」
業とらしく会釈をした。
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