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一章:教育されてます!
作家様は大学生 27*
しおりを挟む不自然にならない程度に、鞄でズボンの前を隠して入口付近まで歩いた。
神流が入口のレジカウンターに伝票を置くと、店員がやって来た。
有り難う御座います、とにこやかな笑顔でギャル風の大学生だろうか、店員はレジを操作して合計金額を告げる。
神流が財布を取り出すのを目にし、慌てて羽李も財布を用意しようとした。
「誘ったのは僕なんで大丈夫ですよ」
だが、神流は微笑と共にそんな言葉を寄越す。
「学生に払わせられるか」
「何週間か前まで貴方も学生だったでしょ。気にしないで下さい」
聞き入れられないと、鞄から財布を取り出そうと手を掛けた時だった。
「……っつ、んっぁ……!」
大人しくナリを潜めていたローターが暴れ出したのだ。
それも、先程の悪戯じみたものではない。
恐らくは一番強い振動が、羽李の腸壁を刺激している。
堪え切れずに、がくんと膝から崩れ落ち、甘い嬌声が出そうになる。
慌てて口を押さえ込んだ。
信じられない想いで神流を仰ぎ見る。
遠くで店員の心配する声が聞こえてくる。
体調が悪いと思ってくれたようだ。
羽李にとっては救いだった。
「先輩、大丈夫ですか? 少し待ってて下さいね」
ワザとらしい神流の台詞は腹立たしい筈なのに、早くどうにかして欲しくて、うずくまり前屈みの体勢で必死に頷いた。
この状況を作っているのが神流なら、この状況をどうにか出来るのも神流なのだ。
はぁはふぅ、と掌の中で呼吸を繰り返す。
今すぐにでも喘いでしまいそうで、耐えるように何度も首を横に振る。
体内からの刺激が快感であればある程に、ぺニスに巻き付いた紐にギチギチと己が縛られていく苦痛に苛まれる。
痛いのに気持ち良くて、気持ち良いのに痛いのだ。
頭の中がイくことだけを追い求め始める。
外なのに、人前なのに、それすらも忘れて乱れてしまいたい。
手が股関に伸びようとしていた。
その時だった。
救急車を呼ぼうかと聞く店員を断り、神流がしゃがみ込んで羽李の肩を叩く。
「お待たせしました。行きましょうか。立てますか? 掴まって下さい」
「んっ、はや……くっ」
藁にでも縋るように神流の腕にしがみつく。
腰を支えられて、やっとのことで立ち上がった。
まだ玩具を止めてくれる気配はない。
このままでは歩けない、と目で訴えても意地悪な笑みが返ってくるだけだった。
「歩けます?」
言葉は優しいのに、非情にも歩けと腰を押される。
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