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プロローグ

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真宮 優一郎 24歳

至って平凡などこにでもいる社会人だ。イケメンなわけではないし、かと言って顔が悪いわけでもない。そんな、ほんとにどこにでもいるモブだ。そんな俺だが、最近仕事が認められてその仕事の都合で転勤になった。

昇格だ!!

そのための引越し準備をしている時だった。

感じたのは一瞬の痛み。

そして周囲の人々の悲鳴が聞こえた.どうやら家にトラックが突っ込んできたらしい。俺のアパートは一階だから直撃だな。

あぁ、こりゃだめだな。

死ぬ……。

トラックってww

転生でもするのかな。

もしそうなら、どうせなら異世界がいいなぁ。

それが最後の記憶だった。








ーー次に目覚めた時、見上げた空には月が2つあった。

ツ キ ガ フ タ ツ。

月が2つ?!

まさかっ!

何度目を擦ってみても月は2つあった。ちょっと信じられなくて夢かと思って頬をつねってみる。

ーー痛い。

あぁ、夢じゃないんだ。


ははっ、ほんとに転生してる……。

どうせ転生するなら横断歩道渡ってる途中にトラックがよかったな。なんかトラックが家に突っ込んで死ぬって微妙だな。いや、トラックに突っ込まれて死ぬなんてどんな場面だろうと嫌なんだけどな。

ーーって、そんなことはどうでもいいんだ。

現実逃避はやめよう。まずはここがどこか確認しないとな。いきなり森の中に投げ出されるって。

なんか、ついてないなぁ。

えーっと、今持ってるのはスマホと死ぬ前に着てた服。

あとは……。

あっ、なんか恥ずいの持ってる。(←異世界メモ)荷物の整理してた時に出てきたものだ。まぁいっか、異世界ではめっちゃ役に立つだろうし。そのために中二病時代に書いたものだしな。

誰も見てないし。

見せる気もないし。

うん、まぁ、いいとしよう。

近くに見覚えのない皮でできた袋?みたいなのがある。これは何だろう?近くに落ちていた木の棒を拾ってつついてみる。

ーー何も起きない。

危険はなさそうかな。警戒しながらも手に取って見てみる。袋の口を開けて中を覗き込む。

普通の袋であれば中身が見えるはずだ。だが、中を覗き込んでみても何も見えない。正確に言うと見えるのは真っ暗な闇だけ。

危険かもしれない。それでも好奇心に負けて手を入れてみた。

後から考えてみればなんて危険で考えなしなことをしたんだろう。この時はまだ知りようもなかったし非現実的すぎて半ば夢を見ているような気分だったからなぁ。

それはともかく手を入れてみると不思議なことに頭の中に何かのリストが浮かんできた。

______________________________________

・お金 白金貨 10枚
    金貨  10枚
    銀貨  10枚
    大銅貨 10枚
    中銅貨 10枚
    小銅貨 10枚

・鉄の剣
・鉄の盾
・鉄の胸当て

______________________________________

これは何なんだ?

?!

もしかしてーーやっぱり!!

リストにあるものを強く思い浮かべながら謎の袋から手を抜くと思い浮かべたものが出てきた!試しに白金貨1枚を強く思い浮かべながら手を引き抜くとその手には白金貨1枚が握られていた。いやまあこれが本当に白金貨なのかは本物見たことないしわかんないんだけどねww

白金貨?と思わしきものをよく観察してみると片面にはどこかのお城?のようなものが、もう片方の面には尾羽の長い鳥の背景に炎がレリーフされている。プラチナでできているようで月明りを反射してきれいだ。おそらくこれが白金貨なのだろう。確か前に博物館で見たのもこんな感じだった。

他のも確認してみよう。

強く思い浮かべながら手を引き抜いてみるとやっぱり想像したものが出てきた。一度すべて取り出してみる。

金貨、銀貨、大銅貨、中銅貨、小銅貨すべて表記通り10枚ずつ入っていた。それ以上取り出そうとしても出てこなかった。これらのお金が本当に使えるのか、使えたとしてどれほどの価値があるのかは今のところわからない。村や町を見つけたらそれとなく市場を見て回って把握していくしかないな。

そして装備品も出てきた。ド○クエの主人公が身に着けている初期装備みたいなものだった。試しに身に着けてみると俺のサイズにぴったりだった。

これは何なんだろう‥‥まるでこの世界で生きていくための最低限必要なものがそろってるみたいな。まあ食料はないんだけどね、それももしかしたらこの近くに村か町があるのかもしれない‥‥!ひょっとしたらこれはこの世界に転生?した俺への神様からの餞別なのかも!もしそうだとしたら親切な神様もいたもんだな。

いやまて、何の説明もなく分けのわからない森の中に放り出すのは親切とは言えなくないか?‥‥なんか無性にが腹立ってきた!まあいいや、いるのかもわからない神様に腹を立てていても仕方がない。

とりあえず移動のために荷物を不思議な袋の中にしまう。その際に装備類はしまわずに身に着けたままにした。装備が入っていたということはこの世界ではこの装備が必要になるような危険が存在しているという俺の解釈はおそらく間違っていないだろう。

食料がないから早急に人の生活している場所を探さないと‥‥

この世界人間が存在しないとか言わないよな?そんな想像をしてしまって背筋が震えた。まっ、まさかね‥‥ははっ。口から出たのは乾いた笑い声だった。

金貨などの貨幣が存在している限りそんなことはないだろう。そう自分に言い聞かせて嫌な想像を頭から振り払った。

気を取り直して改めて自分のいる場所を確認する。



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