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連載
110.理由※
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◆
手燭を持ちながら部屋へと戻っていると角を曲がったところで慌てた様子の従者達とはちあった。
「レイン様! 探しましたよ、どちらに行っていたんですか!」
従者と衛兵が顔を見て安堵すると近づいてきた。
色々な場所を探し回っていたのかはぁはぁと息を切らしている。
「すまない、小腹が空いてね。少し厨房に行って食べ物をもらったよ」
「言って下さればご用意致しますのに」
従者がため息をつく。
「あんないつ作ったのかわからない飯なんて嫌だよ。たまにはゆっくり出来たてを食べたいんだ」
「そのお気持ちもわかりますが、もし陛下に何かあればいけませんし……毒味は必要です」
「だからこうやって抜け出して食べて来たんだ」
「何を召し上がったんですか?」
「ん? サンドイッチをね」
「えっ! 陛下がお作りに?」
「野菜たっぷりのサンドイッチだよ」
「陛下が野菜を?」
従者が信じられないと訝しげな顔をする。
「明日からは野菜の上にはマヨネーズをたっぷりとかけるように言ってくれ」
「マヨネーズをですか?」
従者がますます意味がわからないと不審な顔をする。
「あっいや、適度な量で頼む」
「わかりました」
従者が部屋まで送ると首を傾げながら部屋を出ていった。
ローズ達もその頃ちょうど部屋まで戻って来ていた。
「ふぁ~」
私は大きな口で欠伸をすると眠い目を擦ってベッドを目指す。
「バルト~寝よう」
もそもそとシーツに潜り込むとバルトがふと思い出した。
「そういやあの男は誰なんだ?」
私に聞いてくるが知るわけない。
「えっ? 知らない、この王宮で働いてる人じゃない?」
「そうだな、コソコソ来てたしまぁもう会うこともないだろう」
「また夜に行けば会えるかもね」
私は気にせずに目を閉じるとバルトを抱きしめて眠りについた。
「おはようございます!」
カーテンを開く音と共に明るい日差しが私の目を襲う。
「うぅ、眩しい」
私は思わず近くにあった極上の布で顔をおおった。
「おい!」
極上の布が文句を言いだした!
「あっバルトか、ごめん」
謝りながらもそのまま抱き上げ起き上がる。
「ローズ様お体の具合はどうですか?」
クレアさんがベッドを整えながら心配そうに聞いてくる。
「もう大丈夫です。ちょっと腕がだるいくらいで」
笑顔で答えると腕を少し動かして見せた。
「では今夜も腕を念入りにマッサージ致しましょうね」
クレアさんにそう言われて、引きつった笑顔のまま固まってしまった。
肩を落としている私の着替えをクレアさんがサッとすませると、朝食の準備に取り掛かろうとする。
「あっ今日の朝食は軽めで大丈夫です」
何気なく私が言うと急かせかと動いていたクレアさんが立ち止まった。
「ローズ様……やはり調子がよくないんですね。今すぐ医師を呼んでまいります!」
クレアさんが部屋を飛び出そうとするのを慌てて抱きついて止めた。
「な、なんでですか! 大丈夫です、ほらこの通り元気ですよ!」
「いえ! ローズ様が朝食を少なめなんて初めてです。いつもは普通のご令嬢の倍は食べるのに!」
「えっ……他のご令嬢ってあの半分の量なんですか! 嘘、よくお昼まで持つなぁ……」
変な所で感心してしまった。
「離して下さい、ローズ様!」
クレアさんがジリジリと前に進むのを必死におさえた。
「おい、本当の事話した方がいいんじゃないか?」
バルトは我関せずと離れたところから私に語りかける。
「本当の事? ローズ様それはどういうことでしょうか?」
クレアさんは医務室に行くのをとどまると私をガッチリと掴み逃がさないと椅子に座らせた。
手燭を持ちながら部屋へと戻っていると角を曲がったところで慌てた様子の従者達とはちあった。
「レイン様! 探しましたよ、どちらに行っていたんですか!」
従者と衛兵が顔を見て安堵すると近づいてきた。
色々な場所を探し回っていたのかはぁはぁと息を切らしている。
「すまない、小腹が空いてね。少し厨房に行って食べ物をもらったよ」
「言って下さればご用意致しますのに」
従者がため息をつく。
「あんないつ作ったのかわからない飯なんて嫌だよ。たまにはゆっくり出来たてを食べたいんだ」
「そのお気持ちもわかりますが、もし陛下に何かあればいけませんし……毒味は必要です」
「だからこうやって抜け出して食べて来たんだ」
「何を召し上がったんですか?」
「ん? サンドイッチをね」
「えっ! 陛下がお作りに?」
「野菜たっぷりのサンドイッチだよ」
「陛下が野菜を?」
従者が信じられないと訝しげな顔をする。
「明日からは野菜の上にはマヨネーズをたっぷりとかけるように言ってくれ」
「マヨネーズをですか?」
従者がますます意味がわからないと不審な顔をする。
「あっいや、適度な量で頼む」
「わかりました」
従者が部屋まで送ると首を傾げながら部屋を出ていった。
ローズ達もその頃ちょうど部屋まで戻って来ていた。
「ふぁ~」
私は大きな口で欠伸をすると眠い目を擦ってベッドを目指す。
「バルト~寝よう」
もそもそとシーツに潜り込むとバルトがふと思い出した。
「そういやあの男は誰なんだ?」
私に聞いてくるが知るわけない。
「えっ? 知らない、この王宮で働いてる人じゃない?」
「そうだな、コソコソ来てたしまぁもう会うこともないだろう」
「また夜に行けば会えるかもね」
私は気にせずに目を閉じるとバルトを抱きしめて眠りについた。
「おはようございます!」
カーテンを開く音と共に明るい日差しが私の目を襲う。
「うぅ、眩しい」
私は思わず近くにあった極上の布で顔をおおった。
「おい!」
極上の布が文句を言いだした!
「あっバルトか、ごめん」
謝りながらもそのまま抱き上げ起き上がる。
「ローズ様お体の具合はどうですか?」
クレアさんがベッドを整えながら心配そうに聞いてくる。
「もう大丈夫です。ちょっと腕がだるいくらいで」
笑顔で答えると腕を少し動かして見せた。
「では今夜も腕を念入りにマッサージ致しましょうね」
クレアさんにそう言われて、引きつった笑顔のまま固まってしまった。
肩を落としている私の着替えをクレアさんがサッとすませると、朝食の準備に取り掛かろうとする。
「あっ今日の朝食は軽めで大丈夫です」
何気なく私が言うと急かせかと動いていたクレアさんが立ち止まった。
「ローズ様……やはり調子がよくないんですね。今すぐ医師を呼んでまいります!」
クレアさんが部屋を飛び出そうとするのを慌てて抱きついて止めた。
「な、なんでですか! 大丈夫です、ほらこの通り元気ですよ!」
「いえ! ローズ様が朝食を少なめなんて初めてです。いつもは普通のご令嬢の倍は食べるのに!」
「えっ……他のご令嬢ってあの半分の量なんですか! 嘘、よくお昼まで持つなぁ……」
変な所で感心してしまった。
「離して下さい、ローズ様!」
クレアさんがジリジリと前に進むのを必死におさえた。
「おい、本当の事話した方がいいんじゃないか?」
バルトは我関せずと離れたところから私に語りかける。
「本当の事? ローズ様それはどういうことでしょうか?」
クレアさんは医務室に行くのをとどまると私をガッチリと掴み逃がさないと椅子に座らせた。
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