僕の従魔は恐ろしく強いようです。

26話生産ギルドでお勉強

「すいません。少し教えてもらいたいことがあって来ました」

「はい。どんな御用でしょうか？」

「薬草の種類が良く分からなくて、教えてもらいたいんです」

「薬草の種類ですか？えっとそれは、希少種の薬草ってことでしょうか？」

「いえ。普通の【ＦＥ】ランクで採取できる薬草でお願いします」

「基本的な薬草でよろしいですか？」

「はい。それでお願いします」

「かしこまりました。では、今薬草に詳しいものを連れて参りますので少しお待ちください」

うん。昨日も思ったけど生産ギルドは普通すぎる対応がとてもありがたい。ここの受付さんと話してるだけで、僕はなんだか癒されていく気がするよ。冒険者ギルドで疲れたら生産ギルドで癒されたらいいのかもしれない。うん。なんか変な気もするけど癒されるならなんだって良い気がする。

「お待たせしました。こちらのスタッフが対応しますのでよろしくお願いします」

紹介されたスタッフは、昨日会ったマッタリーナのお店の店主によく似た女性だった。え…なんで。よく似た他人なのかな。マッタリーナの店主だったら…親切丁寧に教えてくれるだろうけど、僕が望んだ以上のものを教えられそうでお断りしたい。

「薬草を聞きに来られた方ですね！薬草は実際に目で見て触れた方がわかりやすいので、ギルドの裏にある畑に移動させて頂いてもよろしいですか？」

「えっと、はい。お願いします」

「では、こちらにお願いしまーす！」

ついていくとギルドの裏口から外へと連れて行ってもらった。外に出ると学校の校庭ほどの大きな畑があり、そこに様々な草や木が植えられており小さい森のように見える。昨日は気づかなかったなぁ。案内してくれる女性は、目的の場所に向かうとそこで足を止めた。

「改めまして、生産ギルド薬草栽培担当のルーナと申します！今いる場所は【ＦＥ】ランクの方の採取依頼によく出る薬草が植えてあります。ここにあるものは人工的に育てたものになりますので効能が天然物よりは落ちますが、見た目と色は変わりませんので大丈夫です！」

「僕はハヤトです。この子がルピです。よろしくお願いします。思った以上に種類があるんでビックリしました」

「そうですね。種類は多く見えますが、下級中級上級によって形が変わってくるため作る薬としては同じだったりするんです。例えばこの薬草は中程度の魔力回復薬に使うものですが、下級のものだと６つ。中級のものだと３つ。上級のものだと１つで作れるんです。今は一つの畑に植えてますが天然物だと生える場所が違うので、採取の難易度が上がっていくんです」

「そうなんですか。でも、人工栽培で作れるならわざわざ取りに行かなくても良い気もするんですけど…」

「それがそうもいかなくて、人工栽培だと魔力を含んだ水を与えないと育たないんです。魔術師が出す水で育てていますが、勇者パーティーの魔術師なら別として、一般の魔術師が出す水では育てるのに一苦労なんです」

天然物だと、土地自体に魔力を含んでいるため育つのに苦労はいらないらしい。ただ、魔力が高い土地では当然強い魔物が出るため採取依頼の難易度も上がってしまうそうだ。
魔物討伐に比べると採取依頼は危険度が高いわりに、安くて割に合わないと受け付けてくれる冒険者も限られてしまうという話だった。

そういえば、ルピがお水出してたけどあれにも魔力が含まれてるのかな？検討の使用がないから考えても仕方ないか。そしてその後、永遠とこの薬草の効能はーーーーーーと話が続き、気が付けばとっくにお昼を過ぎていた。

「すいません！話すと私止まらないみたいで、良く妹にも話が長いと怒られるんですよ」

「そうですか…。妹さんいるんですね…」

「ここの商用ギルドエリアでマッタリーナってお店を開いてるんで、機会があればぜひ行ってみてください！」

「そうします…」

似ているなと思ったら双子さんだった…。妹さんもお姉さんも十分話が長いから大丈夫だよ。
ここでマッタリーナ行ったなんて言えば、さらに話が長くなりそうなので黙っていた。ルピも疲れて座り込んじゃってるよ…。

なんか体を動かせばどうにかなると思ってたけど、そうでもなかったらしい。今日は１日疲れる日だな…。よく眠れそうな気がします。
ルーナさんは長話が申し訳ないと思ったのか、薬草の種を数種類分けてくれた。育てられないからと伝えたが、腐るもんではないからと半ば強引に押し付けら生産れギルドをあとにした。

『ねぇねぇ。ハヤト』

「どうしたの？」

『今日もう帰る。疲れたルピ』

「そうだね。僕も疲れたよ。お弁当食べてないけど、帰ってから食べようか」

『うん。そうする』

　明日は明日でまた冒険者ギルドに行かなきゃいけないし、はぁ…また疲れるんだろうなと思いながら家路についた。