僕の従魔は恐ろしく強いようです。

緋沙下

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32話ルピの天然炸裂

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その日はドラスさんが外に飯でも食いに行くか‼と言ってくれたけど、ルピがマーヤさんが作ったご飯が食べたいと家でのご飯になった。
僕もマーヤさんのご飯が食べたかったから嬉しい。

マーヤさんは、それなら手によりをかけなきゃね‼買い物に行ってくるさね!と出かけた。
ドラスさんは俺は残ったパンを教会に持って行こうと、パンを集めると教会へと出かけた。
教会?そのうち理由はわかるかもしれないけど、教会関係の話にはあまり興味がない。

2人が帰るころには鐘が鳴る良い時間になっていた。
そういえば、僕たちお昼ご飯食べてないや…。ルピは何も言ってこなかったけどお腹減ってたのかもしれない。可哀そうなことしたな。

晩御飯は様々な料理がテーブルに置けないんじゃないかと思うぐらい、どんどん出てきた。
食べるもの全部が美味しくて、特に鶏のから揚げ!シンプルな塩コショウにレモンがたまらない‼
たまらないんだけど…鶏………鳥?
あれ、ルピ共食いになるのか?えっ大丈夫⁉良いんだっけ??ルピはバクバクと食べている。

「ルピ、鶏のから揚げ美味しい?」

「もぐ…ぴぃ。もぐもぐ。ピッ!『鶏、美味しい!』」

鳥が鶏美味しいって言ってる。うん。美味しいならいいよね!美味しいは正義だよ!

そのあと、なぜか鶏の丸焼きも出てきた…。マーヤさん張り切りすぎでしょう。どこの晩餐会ですか!
ドラスさんも、お前こんなに食えないだろうと言っていたけど、ルピと僕が頑張り美味しくいただきました。
半分以上はルピのお腹の中だけど…。どうなってんの⁉この子の胃袋。体の大きさ以上に食べたんじゃないの…。

「ピィー♪『苦しいー♪』」

「よく食べてたもんね。そんなに食べてお腹大丈夫?」

「ピッ!ピルル~『大丈夫!食べてもお腹すぐ空くの』」

「え…そうだったの。お昼ごめんね。これから2人で頑張ろうね」

「ピィ♪ピィヤ!『大丈夫♪頑張る!』」

いい子だ。本当にいい子だ。でも、初めて会った頃はリンゴ3つで大丈夫って言ってたのに、成長期なのかな?
ルピの食欲がドンドン増えていってる気がする。
朝も実は朝ご飯の前に焼けたパンを食べてから、朝ご飯を食べていたらしい。ギルドに行ったらご飯気を付けてあげなきゃ。

翌朝になり、マーヤさんは気を付けていくんだよとルピに大量のパンを持たせていた。
一晩中焼いてたんじゃないの⁉っていうぐらいのパンがパン屋の厨房に置いてあり、全部持って行きなというからアイテムボックスに入れるのが一苦労だったよ…。

さらにルピの服も数点作ってあるからね。ギルドに行く時には新しいのも持って行くさねと服まで持たせてくれた。本当、神業だよマーヤさん…。
マーヤさんに今までの分も含めて金貨2枚ほど渡す。受け取れないよ!と言われたけど、帰って来た時にごちそう作ってくださいと置いて行った。

ドラスさんと一緒に冒険者ギルドへ向かいゲーハさんの部屋に行く。

「今朝も来てもらい悪いな。マーヤと話はついたのか?」

「はい。俺で良ければギルドマスターの下でお世話になりたい。マーヤもパンを持ってくると言っていました」

「そうか。良い返事を貰えて安心したよ」

「ハヤトとルピをよろしくお願いします」

「あぁ。悪いようにはしない。安心してくれ」

ドラスさんは明日以降から働くことが決まり、受付さんが職員用スペースや職員登録の案内をしにドラスさんと一緒に部屋を出る。
その時に、くれぐれも無理はするんじゃないぞとドラスさんが声をかけてくれる。
僕、頑張ります‼

「さてと、ドラス達のことはこれでいい。あいつがずっと仕事をしていないことが気がかりだったからな。それで、これからハヤトは朝晩俺に鍛えられる覚悟で来たってことで良いんだよな?」

「はい、そのつも…」
「ピィーー‼『ダメーー‼』」

はい?ルピさんや。昨日話しがついたような気がするんだけど、急にどうしたの?昨日もご飯食べながら頑張るって言ってたじゃん。

「ピィッ!ピルルル…ピィヤ‼ピー‼『ルピが頑張る。だから…ハヤトをいじめないで‼』」

「おい。俺に鳥語はわからん。通訳しろ」

「えっと、自分が頑張るから僕をいじめないでって…」

「いつ俺がいじめるなんて言った⁉」

「ピルル!ピッ!ピィールル‼『頑張る!ルピ頑張るから‼』」

ルピが必死にゲーハさんに頭を下げている。僕の前に出てゲーハさんに近づき頭を下げている…。

「従魔…じゃなくてルピ。気持ちはわかるが、お前がいない時にハヤトが襲われてみろ。守れなかった時に辛いのはお前なんだぞ」

「ピィィー!『守れる!』」

「ならやってみろ‼」

ゲーハさんがやってみろと言った瞬間に僕目掛けてナイフが飛んできた。一瞬過ぎて身構えることもできず、カキンッと音を立ててナイフは下に落ちていた。落ちていた?
ゲーハさんは顎が外れるんじゃないかと思うぐらい口を開けていて、ルピはその場から動いた感じがしない。

「まさかとは思うが、お前結界が使えるのか⁉」

「いえ、僕は使えないです」

「ハヤトには聞いていない‼」

さいですか。

「昨日ステータスに高期魔法とあっただろ。初期魔法を全て習得したものが中期魔法を獲得する。中期魔法を全て獲得したものが高期魔法を獲得するんだが、獲得できたとしても高期魔法は難易度が高く使用に時間がかかる‼しかも無詠唱なのか⁉それともずっとかけていたのか…⁉」

「えっと…ルピ、今の結界なの?」

「ピッ!『うん』」

「だそうです」

「高期魔法を覚えたのは勇者パーティーの魔術師しか前例がない…。しかも、長い時間かけての詠唱が必要なはずだ‼こんな簡単に使えるわけないだろう‼」

「ピッ?ピルル~『そんなに難しくないよ。お腹すくけど』」

「あ…もしかして、使えるようになってから僕にずっとかけてくれてたの?だからお腹空いてたの?」

「ピッ!『うん』」

「お前らで話しを進めるな‼俺にも説明をしろーーー‼」

やばい。怖いゲーハさんがさらに怖くなってる。ゲーハさんにルピがどの段階で覚えたのかは僕はわからないけど、使えるようになってからずっと結界を張っていてくれたらしいと伝えた。

「ありえないだろ!ちょっと待てお前!そんな簡単に、張れるよ。お腹すくぐらいだけどなんて、どこの化け物だ!」

「化け物はひどいですよ‼」

「ピィ?ピルル……ピッ!ピーヤ~!『これでいじめられない?ダメならピカっとおじさんと勝負する!』」

ピカっとおじさんって、適格だけどさすがにこれは通訳したらダメだね。相手を傷つける言葉は言っちゃダメだからね。

「なんて…言ってるんだ」

「これで僕が鍛えられなくて済むかって。ダメならゲーハさんと勝負するだそうです」

「アホかっ‼こいつと対峙したら骨まで俺は残さず消し炭になるだろおおぉぉぉぉおおおーーー‼‼」

あ……。ゲーハさんが壊れた。立ち上がって叫ぶとゲーハさんの後ろにある窓から入る日差しがちょうど頭に当たり、きれいに輝いていた。
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