僕の従魔は恐ろしく強いようです。

緋沙下

文字の大きさ
77 / 84

73話恥ずかしい…。バレてるなんて…。

しおりを挟む
ベットは予想以上にフカフカで気持ち良かった。しばらくテント生活だったせいか、布団の柔らかさが気持ちが良い。
ルピもふかふかぁ♪と布団の上を飛び跳ねるので、それは止めて!と止めるのが大変だった。
ルピの足で飛び跳ねられたら、爪で布団が破れちゃうよ。

「今日はコリー達に会えて楽しかった?」

『楽しかった!ドラゴンも楽しかった!次いつ行くの!?』

キラキラした目で僕を見てくるルピ。今回は、コリーが必要だから行っただけで、ドラゴン見学に行ったわけじゃないからねぇ…。
でも、すごく楽しかったらしくて、次はいつ?いつ行くの!?と聞かれたら、行かないとは言えないでしょ。

「僕がマーヤさんにお肉の下ごしらえとか教えてもらって、お家の中の絨毯とか買ってからかな?」

『じゃぁ、明後日行ける!?』

「もう少し先かなぁ…。行く時にはちゃんと行くから待っててね」

興奮が治まらない様子のルピがなかなか寝てくれなくて困ったけど、精霊がホットミルクを持ってきてくれたおかげか、それを飲んだら眠くなってきた…と寝てくれた。
グッジョブ精霊!

コリーは、ワシはドラゴンの魔石と暫く向き合うから顔は合わさんと思うが気にせんでくれのぉーと、魔石抱えて地下にこもってしまった。
結局何を聞いても、ちとのーで返されるため、聞くのは止めておいた。
必要があれば話してくれる日が来ると思うしね。
僕ももう寝よう…。さすがに疲れちゃった。

――
―――
―――――

ガチャッ
キィー…

『あたし、キッコリーナが薄暗い場所が好きなんて聞いたことないわよ』

『なんじゃロッソか。いきなりどうした?』

『だから、何隠してるのかって聞いてるのよ。魔石持って帰っても何も言わないし、あるじに失礼だわ』

『ほっほっほ。主人思いの従魔じゃ。ワシも主人を思っての事。ただ、それとは少し違う思惑もあるがの。まぁ、お前さんになら言っても良いかの。他言はせんでくれよ。恥ずかしいからの』





朝起きるとルピがいなかった。ロッソは庭で日向ぼっこ。コリーは出てくる気配がないから、まだ地下にこもりっぱなしなんだろうな。

「おはようロッソ!」

『おはようあるじ。ルピならパン屋のお手伝いよ』

「僕もあとで顔出そうかな。帰ったって伝えなきゃいけないからね。今行くと準備の邪魔しちゃうから、もう少ししたらロッソも一緒に行こう」

わかったわと言ってくれるロッソ。僕は庭に生えてる薬草を取ってポーション作りを始める。今日はこのポーションが街で売れるのか試してみたい。
今回のドラゴン討伐で他の魔物も出たため、結構な魔石にはなった。
だからお金に困ってるわけじゃないんだけど、自分が作ったものがどこまで売り物として通用するのか試してみたい。

「ねぇ、ロッソ。これぐらい薄いとポーションとしては微妙かな?」

『そうねぇ。以前いた泉に来た冒険者が使ってた物よりは、効果は低そうね』

「そっか…。うーん、どうしようかな。最初は薄くていいか。薄くて使い物にならないって言われたら、濃度上げれば良いだけだもんね」

そうこうしてるうちに、ルピが帰ってきた。ただいま!と元気よく僕の下に走って抱き着いてくるルピ。お帰り!っと抱きしめてあげると、ルピからパンの良い香りがする。

『マーヤおばちゃんから、パンとお弁当貰ってきたよ!あとね、お洋服が可愛いねって!』

「え!?お弁当貰ったの!?」

『うん!顔見せにおいでねって言ってた』

パンは貰って帰ってくるかなとは思ってたけど、お弁当まで貰っちゃったかぁ…。手間かけさせちゃったかな。

「ルピは朝ご飯食べて来たの?」

『パン食べただけ。朝ご飯皆で一緒に食べるの!』

「そうだね。皆で一緒に食べよう!コリーにも声かけてるだけかけてみよっか」

『キッコリーナが集中してる時は邪魔しない方が良いわ。彼等はある意味職人だから』

ロッソにコリーを呼びに行くことを止められる。職人が集中してると言われると呼びに行きづらい…。とりあえず、コリーのお弁当は残しておこう。

ロッソが近くに精霊がいるからと、お弁当持って行くように伝えてくれた。精霊が側にいてくれるなら安心だね。ルピからお弁当を受け取り袋を開けると

「あれ…お弁当が5個もあるんだけど…」

『マーヤおばちゃんがね、お出かけでルピとロッソ以外にも新しいお友達が出来たの?って聞かれたから、コリーと精霊さんが一緒に暮らしてるんだよ!ってお話ししたの』

「え…。伝わってるか微妙だけど、5個あるから伝わってるのかな…」

ロッソに精霊の分とコリーのお弁当だから渡してもらえる?と伝えると精霊は食事はしないらしい。
うーん、せっかく作ってくれたお弁当どうしようかなと思ったら、ルピが食べる!もう1つお弁当食べたい!と行ってきたので渡した。
後でお腹壊さないかな…。

マーヤさんには4つで良いよって伝えなきゃね。でも、そろそろ家を離れるから食事を貰うのも気が引けるなぁ…。

僕達はお弁当を天気がいいからと庭にシートを広げて食べ始める。そこに精霊がお茶を入れ運んできてくれる。すごくよく気が利く精霊なんだけど、精霊って給仕するものなのかな?

「すごい!木で出来た急須だ!あれ?でもコップは?忘れちゃったかな。僕が取りに行ってくるよ」

『精霊が、あるじ特製コップがあるって言ってるわよ』

『ハヤトのコップ!?』

え…。なんでバレてるんだ?ドラゴン討伐の夜にも、こっそり作ってはいたけど。僕精霊には言ってない…って、コリーに昨晩聞かれて言ったよ。主人コップの出来具合はどうじゃ?って。
その時に、不細工だけど形にはなったかなって話してたのを精霊聞いてたんだ…。

しおりを挟む
感想 81

あなたにおすすめの小説

俺が死んでから始まる物語

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。 だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。 余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。 そこからこの話は始まる。 セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕

魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。

カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。 だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、 ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。 国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。 そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。

転生したらスキル転生って・・・!?

ノトア
ファンタジー
世界に危機が訪れて転生することに・・・。 〜あれ?ここは何処?〜 転生した場所は森の中・・・右も左も分からない状態ですが、天然?な女神にサポートされながらも何とか生きて行きます。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 初めて書くので、誤字脱字や違和感はご了承ください。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

異世界ママ、今日も元気に無双中!

チャチャ
ファンタジー
> 地球で5人の子どもを育てていた明るく元気な主婦・春子。 ある日、建設現場の事故で命を落としたと思ったら――なんと剣と魔法の異世界に転生!? 目が覚めたら村の片隅、魔法も戦闘知識もゼロ……でも家事スキルは超一流! 「洗濯魔法? お掃除召喚? いえいえ、ただの生活の知恵です!」 おせっかい上等! お節介で世界を変える異世界ママ、今日も笑顔で大奮闘! 魔法も剣もぶっ飛ばせ♪ ほんわかテンポの“無双系ほんわかファンタジー”開幕!

異世界に召喚されたが勇者ではなかったために放り出された夫婦は拾った赤ちゃんを守り育てる。そして3人の孤児を弟子にする。

お小遣い月3万
ファンタジー
 異世界に召喚された夫婦。だけど2人は勇者の資質を持っていなかった。ステータス画面を出現させることはできなかったのだ。ステータス画面が出現できない2人はレベルが上がらなかった。  夫の淳は初級魔法は使えるけど、それ以上の魔法は使えなかった。  妻の美子は魔法すら使えなかった。だけど、のちにユニークスキルを持っていることがわかる。彼女が作った料理を食べるとHPが回復するというユニークスキルである。  勇者になれなかった夫婦は城から放り出され、見知らぬ土地である異世界で暮らし始めた。  ある日、妻は川に洗濯に、夫はゴブリンの討伐に森に出かけた。  夫は竹のような植物が光っているのを見つける。光の正体を確認するために植物を切ると、そこに現れたのは赤ちゃんだった。  夫婦は赤ちゃんを育てることになった。赤ちゃんは女の子だった。  その子を大切に育てる。  女の子が5歳の時に、彼女がステータス画面を発現させることができるのに気づいてしまう。  2人は王様に子どもが奪われないようにステータス画面が発現することを隠した。  だけど子どもはどんどんと強くなって行く。    大切な我が子が魔王討伐に向かうまでの物語。世界で一番大切なモノを守るために夫婦は奮闘する。世界で一番愛しているモノの幸せのために夫婦は奮闘する。

俺に王太子の側近なんて無理です!

クレハ
ファンタジー
5歳の時公爵家の家の庭にある木から落ちて前世の記憶を思い出した俺。 そう、ここは剣と魔法の世界! 友達の呪いを解くために悪魔召喚をしたりその友達の側近になったりして大忙し。 ハイスペックなちゃらんぽらんな人間を演じる俺の奮闘記、ここに開幕。

【本編完結】転生令嬢は自覚なしに無双する

ベル
ファンタジー
ふと目を開けると、私は7歳くらいの女の子の姿になっていた。 きらびやかな装飾が施された部屋に、ふかふかのベット。忠実な使用人に溺愛する両親と兄。 私は戸惑いながら鏡に映る顔に驚愕することになる。 この顔って、マルスティア伯爵令嬢の幼少期じゃない? 私さっきまで確か映画館にいたはずなんだけど、どうして見ていた映画の中の脇役になってしまっているの?! 映画化された漫画の物語の中に転生してしまった女の子が、実はとてつもない魔力を隠し持った裏ボスキャラであることを自覚しないまま、どんどん怪物を倒して無双していくお話。 設定はゆるいです

処理中です...