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Ⅰ
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可愛らしいムスカリやルピナスの花が群生しているあたりに差しかかったとき、シャルルは、そのルピナスたちのあいだで、ヌイグルミのうさぎが仰向けに倒れてぶつぶつと何かをつぶやいているのを見つけました。
シャルルは立ち止まり、しばらく様子をうかがっていましたが、ゆっくりと近づいていくと、そのうさぎに声をかけました。
「やぁ、こんにちは」
ヌイグルミのうさぎはひどく驚いて、宙を見つめていた瞳をぐるりとシャルルの方に動かしました。
「あんた、俺の声が聞こえるのかい?」
シャルルはにっこり笑って答えました。
「もちろんですとも」
ヌイグルミのうさぎはとても古ぼけていて、ずいぶんと長いこと雨風にさらされ続けていたのでしょう、顔や体はすっかりうす汚れ、ボロボロになっています。
おまけに、うさぎなら誰もが誇りにするであろうその長い耳も、無残に破れていました。そしてその裂け目からは、中身の綿がはみ出しているのさえ見えました。
シャルルはシルクハットを取って、丁寧にお辞儀をしました。
「はじめまして、わたしはシャルル・ド・ラングと申します。あなたもお名前をお持ちでしょうか?」
「もちろん、持っているさ。俺はピエールだ」
「それはどうも。よろしく、ピエール」
シャルルはシルクハットをかぶり直しながら、ピエールに向かって微笑みかけました。
シャルルは立ち止まり、しばらく様子をうかがっていましたが、ゆっくりと近づいていくと、そのうさぎに声をかけました。
「やぁ、こんにちは」
ヌイグルミのうさぎはひどく驚いて、宙を見つめていた瞳をぐるりとシャルルの方に動かしました。
「あんた、俺の声が聞こえるのかい?」
シャルルはにっこり笑って答えました。
「もちろんですとも」
ヌイグルミのうさぎはとても古ぼけていて、ずいぶんと長いこと雨風にさらされ続けていたのでしょう、顔や体はすっかりうす汚れ、ボロボロになっています。
おまけに、うさぎなら誰もが誇りにするであろうその長い耳も、無残に破れていました。そしてその裂け目からは、中身の綿がはみ出しているのさえ見えました。
シャルルはシルクハットを取って、丁寧にお辞儀をしました。
「はじめまして、わたしはシャルル・ド・ラングと申します。あなたもお名前をお持ちでしょうか?」
「もちろん、持っているさ。俺はピエールだ」
「それはどうも。よろしく、ピエール」
シャルルはシルクハットをかぶり直しながら、ピエールに向かって微笑みかけました。
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