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15.決戦③
しおりを挟む「カレン様に騙され、脅されていたとは言え、私、ウィル様とエリーゼ様に許されない事をしてしまいました…!!」
「騙されていたとは?」
ここにカレン様が来ることが分かっていた様子のウィル様が静かに聞きました。
「はい…。お2人が結婚してすぐの夜会の際に、私が控室でエリーゼ様のお荷物などを片付けている際お部屋にいらっしゃいました。
カレン様が、"エリーゼ様はウィル以外に想い人がいる。2人はまだ繋がっていて、このままだと、エリーゼ様は想い人と駆け落ちするかもしれない。"と言われたのです。」
想い人どころか初恋らしい初恋もしていませんが…。
「もしエリーゼ様が…恋人の元へ行ってしまったら…!ウィル様がどれだけ悲しんでしまうのか想像しただけで、気が気ではなくなってしまいました…。
そして続けてカレン様が、
"私もウィルは大切な友人だから幸せになってほしい。この、惚れ薬をエリーゼ様に飲ませなさい。そうしたら、共に食事をしているウィルの事を好きになる。"
と言われ…。半信半疑ではあったものの、お二人が上手く行くのならばと…!!エリーゼ様の…お食事にお薬を…混ぜてしまいました…!!」
うわぁっと顔を手で覆うマリア。
「待って…。私、そんな事言ってない、言ってないわ…!!薬の事なんて知らない…。夜会でもこの女に会って無い…。信じて…。」
カレン様が縋るように私に向かって手を伸ばしました。
そんなカレン様を私は無視をし、マリアに続きを話すよう促しました。
「奥様がその後に体調が悪くなってしまい、もしやこの薬は毒だったのでは無いかと疑い、カレン様に確認しようとしましたが、私なんかが簡単に公爵家に行けるはずもなく…。
お医者様から流行り病を拗らせたものと聞いたので、やはりアレは毒では無かった。偶然だったのだと自分に言い聞かせてしまいました。
ですが…。先日、再び夜会でカレン様とお会いした際に、
"貴女が主人に毒を盛った事、バラされたくなかったら私に協力しなさい。"
と脅されてしまい…。お2人の情報を流したり、城下町ではカレン様とウィル様を見かけるように誘導したりしてしまいました…。
全て!!自分の保身の為にしてしまった事なのです…!!生まれ育ったあの屋敷を出ると考えるだけで身が裂ける思いだったのです…。」
マリアは涙を流しながら、
私の方に向き直り再び頭を床に擦り付け言いました。
「しかし!!全て私の行動は間違いでした!!騙されたとはいえ、エリーゼ様を危険な目に合わせてしまった…!!申し訳ございませんでしたっ…!!謝って許される事ではありません!どのような罰も受けさせていただきます!!」
(どうしましょう?)
私が旦那様を見ると、
「マリア。お前はとんでもない事をした。ただで済むと思ってはいけない。騙されていたとしてもだ。
しかし…。マリアの母は私の乳母でもあり世話になった…。マリアは私の事を心配し、行き過ぎた行動をしてしまったのだろう。
お前は当分屋敷から出る事は許さない。そしてしばらく無給で働き、我が公爵家に心身共に尽くせ。
エリーゼもそれで良いね?」
静かにおっしゃいました。
「旦那様がおっしゃる通りに。」
「ウィル様っっ!!エリーゼ様…!!ありがとうございます…!!私、一生、一生ウィル様とエリーゼ様にこの身を捧げます!!」
マリアは感極まって泣き続けています。
「セバスチャン。」
ウィル様がセバスチャンに目配せすると、マリアを護衛騎士が連れていき、セバスチャンが一礼をし、店を出ていきました。
「私、してない…。私してない私じゃない私…私…。信じて…。嫌…離縁なんて嫌…嫌イヤいやいやいや……」
一方カレン様は座り込んだまま上を見上げながらブツブツと壊れたように呟いています…。
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