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無垢なアルファ
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年上なのに、自分よりも無垢で綺麗な存在に出会うのは初めてだった。そんなソウイチが自分を初めての相手に選んでくれたことに、真山の胸は甘く締め付けられた。
誰のことも知らないアルファが初めて抱くのがオメガではなくアルファの自分だという現実は、真山の中の色々なものを変えていく。ずっと抱えていたオメガへの劣等感も、胸の底に押し込めていた苦しい恋心も、柔らかく解けていくようだった。
真山はソウイチの頭を撫でていた手をなめらかな頬に滑らせた。
「続き、していい?」
「続き?」
息を止めてできるキスしか知らないソウイチは何のことかわからないようだった。
「もっと深くて、えっちなやつ」
真山が目を細めると、ソウイチの頬が熱くなった。
そうやって言葉で、行為で、無知で無垢なソウイチを汚していくことに、真山は薄暗い高揚感を覚える。アルファに対してこんな感情を抱くのは初めてのことだった。
無理もない。今まで相手にしてきたのは言うなれば手練れのアルファたちで、どちらかといえば真山を翻弄するような相手ばかりだった。
「そーいちさん、舌、出して」
「ん、ぇ」
ソウイチは頬を赤くしながらも言われるままに舌を出す。肉厚な舌が柔らかな唇の間から控えめに覗くのが見えて、真山は息を呑んだ。舌を見せることさえ恥ずかしがっているようなソウイチに、普段は滅多に顔を出すことのない嗜虐心が喉を鳴らす。
「動いちゃダメだよ」
優しく釘を刺して、真山はできるだけ驚かせないように厚みのあるソウイチの舌を熱い口内に迎え入れた。
「っ、ン、ぅ」
身を引きそうになるソウイチの身体を抱き寄せ、真山は逃げ腰なソウイチの舌をきつく吸う。
抵抗がなくなった舌を絡め取り、唾液を混ぜ合わせる。ソウイチの味も温もりもすべてが愛おしかった。
初めてのソウイチを怖がらせないように、と思っていたのに、気がつけば真山は夢中でソウイチの粘膜を貪っていた。唾液を混ぜ合う音が聴覚を埋め尽くす。舌をソウイチの口内に捻じ込み、溢れる唾液も啜って、温かな粘膜を余す所なく深く味わう。
もう、どちらが抱く方がわからない。ソウイチが震える手で真山にしがみついたところで、ようやく真山はソウイチを解放した。
「っ、ごめん、そーいちさん」
真山が慌ててソウイチの顔を覗き込むと、ソウイチはその瞳を濡らして頬を上気させていた。濡れたまつ毛が疎らにに束になっているのが見える。
「ん、はあ、マヤくんは、情熱的だな」
今度は呼吸ができたのか、ソウイチは先ほどよりも余裕が見えた。厚みのある唇は唾液で濡れ、てらてらと光っている。
真山は眉を下げ、ソウイチの熱い頬を撫でる。
「怖くなかった?」
「少しだけ。でも、その、気持ちよかった」
俯くソウイチの口から聞こえたのは消え入りそうな声だった。
気持ちいいと言ってくれて真山は安堵した。自分本位のキスをしてしまったことを申し訳なく思いながらも、真山の腹の底にはもう情欲の火が灯っていた。
ソウイチは不思議なくらいにその仕草ひとつで真山を煽る。鼓動はすっかり早くなって、熱くなった血を忙しなく全身に送り出していた。
「少し休んだら、続きしようか」
まだ少し呼吸の荒いソウイチの温かな頬に、真山は優しく手のひらを滑らせる。
「続き……」
「セックス、するんでしょ」
「……うん」
蕩けた瞳が真山を見た。
真山の直截的な言葉に、ソウイチは忽ち頬を赤くして俯いた。
真山はそんなソウイチを抱きしめた。ソウイチはそれに応えるように躊躇いがちに真山の背中に腕を回し、縋るようにしがみつく。服越しの温かな手のひらからは、ソウイチの緊張が伝わってくる。
香水だろうか。爽やかな、石鹸のような香りがした。
「大丈夫、ゆっくりしよ」
穏やかな言葉とは裏腹に、真山の腹の奥ははしたなく疼く。
こんなに無垢で愛らしい男が、これから自分を抱くのだ。期待せずにはいられない。飢えた獣のようだと思いながらも、真山は鳶色の瞳がぎらつくのを止められなかった。
誰のことも知らないアルファが初めて抱くのがオメガではなくアルファの自分だという現実は、真山の中の色々なものを変えていく。ずっと抱えていたオメガへの劣等感も、胸の底に押し込めていた苦しい恋心も、柔らかく解けていくようだった。
真山はソウイチの頭を撫でていた手をなめらかな頬に滑らせた。
「続き、していい?」
「続き?」
息を止めてできるキスしか知らないソウイチは何のことかわからないようだった。
「もっと深くて、えっちなやつ」
真山が目を細めると、ソウイチの頬が熱くなった。
そうやって言葉で、行為で、無知で無垢なソウイチを汚していくことに、真山は薄暗い高揚感を覚える。アルファに対してこんな感情を抱くのは初めてのことだった。
無理もない。今まで相手にしてきたのは言うなれば手練れのアルファたちで、どちらかといえば真山を翻弄するような相手ばかりだった。
「そーいちさん、舌、出して」
「ん、ぇ」
ソウイチは頬を赤くしながらも言われるままに舌を出す。肉厚な舌が柔らかな唇の間から控えめに覗くのが見えて、真山は息を呑んだ。舌を見せることさえ恥ずかしがっているようなソウイチに、普段は滅多に顔を出すことのない嗜虐心が喉を鳴らす。
「動いちゃダメだよ」
優しく釘を刺して、真山はできるだけ驚かせないように厚みのあるソウイチの舌を熱い口内に迎え入れた。
「っ、ン、ぅ」
身を引きそうになるソウイチの身体を抱き寄せ、真山は逃げ腰なソウイチの舌をきつく吸う。
抵抗がなくなった舌を絡め取り、唾液を混ぜ合わせる。ソウイチの味も温もりもすべてが愛おしかった。
初めてのソウイチを怖がらせないように、と思っていたのに、気がつけば真山は夢中でソウイチの粘膜を貪っていた。唾液を混ぜ合う音が聴覚を埋め尽くす。舌をソウイチの口内に捻じ込み、溢れる唾液も啜って、温かな粘膜を余す所なく深く味わう。
もう、どちらが抱く方がわからない。ソウイチが震える手で真山にしがみついたところで、ようやく真山はソウイチを解放した。
「っ、ごめん、そーいちさん」
真山が慌ててソウイチの顔を覗き込むと、ソウイチはその瞳を濡らして頬を上気させていた。濡れたまつ毛が疎らにに束になっているのが見える。
「ん、はあ、マヤくんは、情熱的だな」
今度は呼吸ができたのか、ソウイチは先ほどよりも余裕が見えた。厚みのある唇は唾液で濡れ、てらてらと光っている。
真山は眉を下げ、ソウイチの熱い頬を撫でる。
「怖くなかった?」
「少しだけ。でも、その、気持ちよかった」
俯くソウイチの口から聞こえたのは消え入りそうな声だった。
気持ちいいと言ってくれて真山は安堵した。自分本位のキスをしてしまったことを申し訳なく思いながらも、真山の腹の底にはもう情欲の火が灯っていた。
ソウイチは不思議なくらいにその仕草ひとつで真山を煽る。鼓動はすっかり早くなって、熱くなった血を忙しなく全身に送り出していた。
「少し休んだら、続きしようか」
まだ少し呼吸の荒いソウイチの温かな頬に、真山は優しく手のひらを滑らせる。
「続き……」
「セックス、するんでしょ」
「……うん」
蕩けた瞳が真山を見た。
真山の直截的な言葉に、ソウイチは忽ち頬を赤くして俯いた。
真山はそんなソウイチを抱きしめた。ソウイチはそれに応えるように躊躇いがちに真山の背中に腕を回し、縋るようにしがみつく。服越しの温かな手のひらからは、ソウイチの緊張が伝わってくる。
香水だろうか。爽やかな、石鹸のような香りがした。
「大丈夫、ゆっくりしよ」
穏やかな言葉とは裏腹に、真山の腹の奥ははしたなく疼く。
こんなに無垢で愛らしい男が、これから自分を抱くのだ。期待せずにはいられない。飢えた獣のようだと思いながらも、真山は鳶色の瞳がぎらつくのを止められなかった。
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