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第19話 返事
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私とフォールスは、門までの距離を、ゆっくりと歩きはじめる。
「……求婚は、どうするの?」
突然、フォールスに質問され、私はそうだったわ!と焦る。
「すっかり忘れていたわ……私ったら。あんな風に言ってもらえたのはとても嬉しかったけれど……でも、お断りしようと思うの」
「そうか」
「きっとスクルさん、わたしをからかってあんな事を言ったのよ。そうでしょ?」
「それは……どうかな」
「そうなの?親友のあなたが言うなら、違うのかしら……。でも私、スクルさんのことをまだ何も知らないし、結局、そんな軽々しくはいなんて言えないわ」
「……君がそう決めたなら、きっと、それが正解だと思うよ」
「そう?よかった。あなたに背中を押してもらえると、ちょっと安心した」
「……」
「フォールス?どうしたの?」
「……いや、何でもない」
「そう……」
そのまま無言になる私たち。もう、目的地はすぐそこに迫っている。
(どうしてだろう、この時間が終わってしまうのが、とても寂しい)
「おいフォールス、待ちくたびれたぞ……って、あれ?お姫様も一緒でしたか」
「ええ、母に門まで送るよう言われて。でも、ふたりを見送ったら戻るわ」
「……疲れてるのに、すまない」
私はスクルさんに理由を説明すると、フォールスは申し訳なさそうに、私に謝ってきた。
私は首を横に振って否定する。みんなが心配するよりは疲れていないのに、なぜそんなに気をつかうのだろう。
「いいの。気にしないで。ふたりの顔を見るだけで、元気になるのよ?」
私がそう言うと、スクルさんはフォールスに「聞いたか今の!?」と話しかけ、それから、とても感動したといった表情で、私にこう言った。
「お姫様、素直に自分の気持ちを言ってくれるようになりましたね」
そんな評価をされたのが意外で、私はキョトンとしてしまう。
「そ、そうなの?そんなつもりなかったわ……」
「それでいいんですよ。お姫様が俺たちに心を開いてくれたみたいで、嬉しいです」
にこにこと笑顔のスクルさんに、わたしも思わずつられてにこにこしてしまう。
(もしかして私、彼の素直さに感化されていたのかしら)
と、そこにフォールスの咳払いが響く。
「……ところでスクル。お前が首を長くして待ってた答えが、とうとう出たらしいぞ」
「え?」
スクルさんが、何のことかと首を傾げると、フォールスは黙って私を指差す。
「ああそうか!結婚の返事か!」
私の顔を見て、ピンときたらしい。
「お姫様、返事を聞かせてくれ……」
「あ……ええと、スクルさん」
私は、慌てながらスクルさんに体を向けると、ずっと待たせてしまった返事を伝えた。
「待たせてしまって、本当にごめんなさい。それで……お気持ちはとても嬉しかったのだけれど……」
慎重に、言葉を選んで言う。ひとの頼みを断り慣れていないせいか、結論まで一息で言えない。息を整えて、言葉を続けた。
「求婚は……お受けできないわ」
「……求婚は、どうするの?」
突然、フォールスに質問され、私はそうだったわ!と焦る。
「すっかり忘れていたわ……私ったら。あんな風に言ってもらえたのはとても嬉しかったけれど……でも、お断りしようと思うの」
「そうか」
「きっとスクルさん、わたしをからかってあんな事を言ったのよ。そうでしょ?」
「それは……どうかな」
「そうなの?親友のあなたが言うなら、違うのかしら……。でも私、スクルさんのことをまだ何も知らないし、結局、そんな軽々しくはいなんて言えないわ」
「……君がそう決めたなら、きっと、それが正解だと思うよ」
「そう?よかった。あなたに背中を押してもらえると、ちょっと安心した」
「……」
「フォールス?どうしたの?」
「……いや、何でもない」
「そう……」
そのまま無言になる私たち。もう、目的地はすぐそこに迫っている。
(どうしてだろう、この時間が終わってしまうのが、とても寂しい)
「おいフォールス、待ちくたびれたぞ……って、あれ?お姫様も一緒でしたか」
「ええ、母に門まで送るよう言われて。でも、ふたりを見送ったら戻るわ」
「……疲れてるのに、すまない」
私はスクルさんに理由を説明すると、フォールスは申し訳なさそうに、私に謝ってきた。
私は首を横に振って否定する。みんなが心配するよりは疲れていないのに、なぜそんなに気をつかうのだろう。
「いいの。気にしないで。ふたりの顔を見るだけで、元気になるのよ?」
私がそう言うと、スクルさんはフォールスに「聞いたか今の!?」と話しかけ、それから、とても感動したといった表情で、私にこう言った。
「お姫様、素直に自分の気持ちを言ってくれるようになりましたね」
そんな評価をされたのが意外で、私はキョトンとしてしまう。
「そ、そうなの?そんなつもりなかったわ……」
「それでいいんですよ。お姫様が俺たちに心を開いてくれたみたいで、嬉しいです」
にこにこと笑顔のスクルさんに、わたしも思わずつられてにこにこしてしまう。
(もしかして私、彼の素直さに感化されていたのかしら)
と、そこにフォールスの咳払いが響く。
「……ところでスクル。お前が首を長くして待ってた答えが、とうとう出たらしいぞ」
「え?」
スクルさんが、何のことかと首を傾げると、フォールスは黙って私を指差す。
「ああそうか!結婚の返事か!」
私の顔を見て、ピンときたらしい。
「お姫様、返事を聞かせてくれ……」
「あ……ええと、スクルさん」
私は、慌てながらスクルさんに体を向けると、ずっと待たせてしまった返事を伝えた。
「待たせてしまって、本当にごめんなさい。それで……お気持ちはとても嬉しかったのだけれど……」
慎重に、言葉を選んで言う。ひとの頼みを断り慣れていないせいか、結論まで一息で言えない。息を整えて、言葉を続けた。
「求婚は……お受けできないわ」
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