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流され流され流される

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「————は、ぁ、はぁ、はぁはぁ……んはぁれ?」

ピクンピクンと痙攣しながら、ラルの腕の中で目が覚めた。
一瞬、気が飛んでいた? んで、キスしなくていいって言ってんのに、ラルにキスされている。いやいいから、と口を離すと、頬に唇を押し当てられた。

「アラタ、気持ちよさそうだったね」
「————……う」
「沢山、イッちゃったね」
「————……うぅ」

いやだって、驚く程、気持ちよかったんだもん。
まだ彼のエクスカ〇バーが入っている気がする。前回も気持ちよかったんだけど台風に突破されたくらいの勢いだった。
だけど、今日のは優しくて……。

「はっ! そうだ! ラル、呪いは解けたか!?」

俺は彼の顔を両手で掴んだ。
ラルの表情は苦しそうな顔ではなく、元の優しい顔に戻っている。よかった! 今度こそ呪いが解けた!


————なのに。

「アラタ、また」
「!?」
「アラタ、部屋に来て」
「!?」
「アラタ、我慢できない」
「!?!?」

二、三日おきに呪いがぶり返すようだ。

いつ呪いが解けるのか。俺のやりかたで間違っていないのか、もう一度確認する必要がある。

そう思い、白髭魔術師にラルの呪いの状況を確認して貰おうと頼んだんだ。白髭魔術師はそんなはずはないんじゃが……と、杖をラルに翳した。
だけど、ラルが白髭魔術師に何か耳打ちすると真っ青になった。

何か恐ろしい呪いが!? 

「そんな王子……、初めて見ましたぞ」
「さぁ、何の事だろう。それよりアラタに近づきすぎだよ。離れて」


白髭魔術師は「お身体ご自愛ください」と言っただけで何も教えてくれなかった。





それから暫く様子を見ているけれど、ラルの呪いはちっともよくならない。
呪いのことを女官や大臣、その他、俺が知っている人に相談するけれど、「まぁ!」「めでたい!」「なんと本当に選ばれし存在ですな!」とよく分からない反応が返ってくる。ここの人達ってポヤンとしているよね。

「あのね! 俺だっていつまでも呪いの対応出来ないっす——……」

大臣に言ってやろうと思った時、背後からひんやりと冷気を感じる。

「アラタ」
「あ、ラル」

ラルが無表情。この顔はまた……





「ひぁ、やっぱり……ん、んんんぁっ、はぁううう、こうなるぅ……んん!」
「大丈夫?」
「はぁはぁはぁ……ぁう」

ラルと何度目の性行為だろう。
彼に大丈夫かと聞かれてコクン頷く。

エクスカ〇バーが丸まる俺の中に収まっても平気だ。平気というか、かなり具合がよくなっている。
ラルと抱き合うこともすっかり慣れてしまった。

「アラタ、気持ちいい?」
「ふっ、ん……」

よせ。耳元で話しかけるな。早くイけよ! じゃないと、先に俺が……イく。

「んんん我慢——っ! ファイトォォオ」
「んふふ、ファイト」

ファイトしながら、キス。
初めはキスを止めるように言っていたのに、今ではキスに多幸感。抱かれるのも嫌じゃない。





————ってこれはマズイ。

「マズイ、マズイ! これはいかんだろう!」

濁流の勢いで流されている。
これは呪いを解くだけのセックスだぞ!? もう、王子も皆も当たり前のように受け入れているからその違和感がなくなっていく。

身体中に赤い斑点散らかして、立たない腰に力を入れて気合で起き上った。



「城外へ出たいっす!!」

いつでもお役目ごめんしてもいいように、準備をしたい。このままでは俺は何かを見失ってしまう!
そう女官に伝えると、次の日、ラルと共に城外へ散歩をすることになった。

は、はれ? なんで、ラルも一緒に?

「迷子にならないようにしようね」

そっか。迷子になっちゃぁいかんもんな。優しいな、忙しいのに俺のために時間を取らせて悪いな。
手を繋がれ城下町を歩き、気になった店の食べ物をラルにあーんしてもらって食べる。

「まぁまぁ、なんて仲睦まじいことでしょう」

店のおばちゃんが俺達を見て微笑んでいる。

「……俺は……!?」

また流されていた。俺みたいな平民が王子に手繋ぎであーんされているなどおかしいだろう。


「お二人ともお幸せに」

——は? 何が?

「ありがとう」
「!?」

そう言ってラルがニコリとおばちゃんに手を振っている。その後、街中でも同様のことが何度かあった。

「アラタと仲良しの姿を皆に見てもらえてよかった、ね?」
「お、おぉ……そうだな」

仲良しなのはいいことだもん――……な?
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