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しおりを挟む私が今いるのはライージュ国のとある森の中だ。只今絶賛冒険者活動中である。
今回私が受けた依頼はゴブリンの群れの討伐だ。さすがにゴブリンは美味しくないので料理の食材にはならないのだが、なぜこの依頼を受けたのかと言うと他に受ける人がいなかったからだ。
ただのゴブリン討伐なら駆け出しの冒険者でも討伐できるだろう。だが今回の群れにはゴブリンロードが存在しており、とても駆け出しの冒険者では討伐できない。それに中堅のCランクやBランクの冒険者でも難しい。なのでAランクかSランクの冒険者しか受注することができなくなっており、たまたまその地にいた高位冒険者は私しかいなかったと言うわけだ。
本当は食材になる魔物の討伐に行きたかったが、私が受けなければ困る人がもっと増えるだろう。それはダメだ。私は初心を思い出しゴブリンの群れの討伐を受注したのだ。
そして先ほど無事に討伐に成功した。確かにゴブリンロードは存在していたが私の敵ではなかった。あっという間に敵を殲滅し、森に再び平和が訪れたのだった。
「ふぅ。討伐完了の報告に行かないとね」
それに今度こそ食材になりそうな魔物の討伐に行こうと決め、転移魔法を発動しようとすると背後に魔物の気配を感じた。しかしこちらに敵意は無さそうだ。
――ブーン
(羽音?)
後ろを振り返るとそこには蜂の魔物であるジャイアントビーがいた。
――ブン、ブブーン
どうやら私に何か用事があるようだ。
「どうかしたの?」
するとジャイアントビーは何かを差し出してきた。私はその何かを受け取り確認をする。それはなんと蜂蜜であった。
蜂蜜は高級品だ。さらにジャイアントビーの蜂蜜など最高級品だ。貴族でも簡単に手に入れることはできない幻の蜂蜜である。
「これを私にくれるの?」
――ブーン!
私の問いかけにジャイアントビーは一段と羽音を強く鳴らした。まるで『そうだよ』と言っているようだ。魔物と話すことはできないのでなんとなくそう思うだけなのだが。私はそう解釈することにした。
「どうもありがとう」
――ブブブーン
お礼を言うとジャイアントビーは嬉しそうに飛び去っていった。きっとこの辺りは彼らの縄張りだったのだろう。それがゴブリンロード達のせいで縄張りから追いやられてしまい、困っていたところに私が討伐しにやってきたということだろう。だからこの蜂蜜はお礼の品なのだと思われるので私はありがたく頂戴することにして蜂蜜を鞄の中へと閉まった。
(この蜂蜜はどうしようかな?お店に帰ったら色々考えてみよっと)
蜂蜜の使い道を考えるという楽しみは一旦とっておくことにして、私は冒険者ギルドに討伐の報告をしに森を後にするのだった。
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