愛情をひとかけら、幸せな姫の物語

玉響なつめ

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 初めて、直接的な触れ合いをしてから何日か。
 わたくしは、自分の体が変化しているのを日々感じておりました。

 あれから毎夜、ゼノン様はわたくしに触れてくださいます。
 それはとても温かく、求めてくださることがとても嬉しい。

 ……嬉しいの、です、が。

「は、ぁ、あん!」

 自分のモノではないような声、ゼノン様に触れられるだけで熱くなりまるで言うことをきかなくなるのです。
 内側からじくじくと、特に股の間やおなかの内側が熱くて、切なくて、だけれどこれをどう逃がして良いのかわからずわたくしはただただ、ひたすらにゼノン様にしがみつくしかできなくて……。

 胸の膨らみなんて触れてもなにも感じたことはなかったのに。
 ゼノン様に触れられるようになってから、覚えてしまった快楽。

 柔らかく乳首を掴まれ、もう片方は吸い付かれ、わたくしはそれだけではしたない声を上げてしまうのです。
 こんなの、淑女としてはだめだって教本には書いてあったのに!

「ゼノンさまあ……っ」

「どうした?」

 ちゅっと音を立ててわたくしの胸から離れたゼノン様は、常と変わらずわたくしを優しく見つめてくださるのに……その目が、いつもより熱っぽくて、わたくしはまたお腹の方がとくりと熱を宿したようで膝をすりあわせました。

「あ、の」

「痛かったのか?」

「いえ、あの、そうではなくて……あン!」

さそうだが」

 ふっと微笑みながらゼノン様がわたくしの乳首を指先で弾いたり摘まんだり、こねたり……そのたびにわたくしの体はまるで電撃が走るかのような感覚に跳ねてしまうのです。

 なんということでしょう、夫のすることは享受し、従うようにとは教本にありましたが……こ、これが正しい反応なのでしょうか?
 夫婦の営みというのは、このようにわたくしだけが優しくされるものではないはずなのです。

「今日は、こちらに触れていくか」

「え? きゃあ!」

 ゼノン様からすれば軽く力を入れたにすぎないのでしょうが、わたくしの閉じていた足を大きく開かせてしまいました。

「ま、まって……恥ずかしい!」

「濡れている」

「いやっ、そんな……そんなことを仰らないで!」

 股の間、つまり夫を受け入れる場所。
 そこは潤いを持ち、男性を受け入れる場所なのだ……と、そう教本にはありました。

 初めての際、破瓜の瞬間は痛むことが多いが決して夫の機嫌を損ねてはならぬとも記されており、わたくしはとうとうこの時が来たのかと思いましたが、それよりもなによりもゼノン様がわたくしのそこ・・をマジマジとご覧になっておられることの方が問題です!

「やっ、見ないで……!!」
 
「……見なければ、お前をくしてやれない」

 ゆるりとした動きでそこに指を添えられると、胸をいじられるよりもずっと強い感覚に襲われてわたくしの体はひときわ大きく跳ねました。
 同時に聞こえる、くちゅりという音にどれだけ己のそこが潤っているのかを知らしめられてしまって羞恥に襲われますが、足を閉じることはできません。

「ゼノン様っ、あ、あ!?」

「……痛むか?」

「い、いえ……えっあの、ゆ、指が、あんっ」

 ゼノン様の、指が、わたくしの中に!?

 異物感に驚くわたくしでしたが、痛みはありません。
 女のそこが潤うことで、殿方を受け入れやすくなることと痛みを和らげるのだとありましたが……本当なのですね。

 自分でも湯浴みの際に洗う程度で、それほど触れたことのないような場所をゼノン様の眼前に去らすことには抵抗がありましたが、この調子ならばゼノン様ご自身を受け入れる日もそう遠くないのではと思うとほっといたしました。

 だけれど、次の瞬間わたくしは知らぬ感触にあられもない声を上げることになったのです。

「あ、ああーっ……」

「ん……強すぎたか? 女はここが感じると聞いたんだが」

「あ、はあ、あ、ああん! やだっやっ、ゼノン様……な、なにを!?」

「ここに」

「あん!」

 わたくしに見えない・・・・部分をつうっと教えるかのように触れたのは――ゼノン様の舌なのです。
 熱くてぬるりとした感触と、それが頭まで響くような快楽と。

 それにわたくしは思わずゼノン様の頭を腿で挟むようにして、ああ、まるでこれではもっとしてほしいとねだっているようではありませんか!

「女が喜ぶものがあり、俺の力では傷つけてしまうかもしれない。だから、舐めてやろうと……指を入れてここを慣らしてやらねばならないが、シアが気持ちよくなければ意味がないだろう」

「そ、そのようなことをなさらなくても、ああー!?」
 
 じゅるり。
 そんな音が聞こえてきてわたくしは大きな声を上げて喉を逸らして快楽に驚いてしまいました。

 わたくしの様子を見てゼノン様は楽しかったのか、目を細めて笑みを浮かべられると逃がすまいと腰をその大きな手で捕まえて、また再び顔を埋められたのです。

「ンッ、あう、ぅんっ、んっ」

 強い快楽から逃げたいのに、ゼノン様の手がわたくしの腰を抑えていて、舐められる感触に思わず恥ずかしくて目を瞑れば余計にその感触が生々しく感じて、音が聞こえれば自分があまりにもはしたないような気がして。

 恥ずかしい。

 そう思った瞬間、それすらも快楽に繋がっているのか身のうちにあるゼノン様の指をきゅうっと締め付けたのが自分でもわかりました。

「ああっ……!」

 それがまたチカチカとするような快楽を自分にもたらして、今までで一番甘ったるい声が抑えきれずに口から飛び出てしまいました。
 ゼノン様が指を動かしているということはわかるけれど、何をしているのか、今もまだ一本なのか、舐められている快楽に溺れるばかりのわたくしにはなにがなんだかもうわからなくてただただ喘ぐしか出来ないのでした。

 ただ、わかるのは。
 わたくしは、ゼノン様に大切にされている――その事実は、わたくしを満たすのです。

 たとえいつか、本当にゼノン様が愛しく思われた人が現れたとしても、わたくしはこの温かな想いを抱いて生きていけるに違いありません。

 ちくりと、胸が痛みましたが……わたくしはそれに対して、知らんぷりを決め込むのでした。
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