愛情をひとかけら、幸せな姫の物語

玉響なつめ

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「あ、ゼノンさまっ……」

 わたくしに話を聞かせてくださった後、ゼノン様はわたくしを本当の意味で妻としたいと閨へと誘われました。
 幾度となく交わしてきた不完全な交わりが、最後までしていただけるのだと思うとそれだけでわたくしの体は、はしたなく反応してしまいました。

 ベッドに組み敷かれ衣服を剥ぎ取るゼノン様はわたくしが知らぬ程に性急なお姿で、それすら胸が高鳴るのですから、困ったものです。
 恥じらいも忘れてゼノン様の頭をかき抱き、触れていただきたくて、でもなんと言葉にすれば良いのかわからないわたくしは愚かな妻なのかもしれません。

 ゼノン様は、そんなわたくしにも呆れることなく、熱い吐息をそっと吐いてからくちづけを一つ落としてくださいました。

「煽ってくれるな。……俺だって我慢していたんだ、だが傷つけたいわけじゃない。いつものように慣らしてからでないと」

「んっ、んっ……そんなっ、あ、そんなところで喋っては……!」

 無骨な指がわたくしの体をなぞるように触れ、足を左右に押し開く。
 怖くなんてない、これからあのかさついた指先が、わたくしを優しく拓いていくと知っている。

 期待で、胎がずくりとうずくのを感じて、わたくしは恥ずかしくて消えたいような、それでいて早く早くと急かすような、そんな気持ちになります。
 胸を揉まれ、色づいて主張するわたくしの乳首をかするように触れるその行動が焦れったくて思わず身をよじると、笑い声が聞こえました。

「やっ、ゼノンさま、ちゃんと触って……」

「ああ、すまない。……シアが、可愛らしくて」

 可愛い?
 こんなにはしたないのに?

「ああっ……!?」
 

 ゼノン様を見ようとして、わたくしはそうできませんでした。
 だって、勢いよく吸い付かれてしまったから。

 赤子のようだなんて初めのうちは思っていたのに、気がつけばこうしてゼノン様に吸い付かれ、舌で嬲られ、愛撫されるとたまらなく気持ちよくなってしまうようになってしまったのです。

「あっ、ん……や、や、噛んじゃ、ダメえ……」

「好きだろう」

「あアー!」

「ほら、俺の指を締めつけているのがわかるか? 乳首に歯を立てられると、シアの中がうねってもっとと欲しがっているような気がする」

 痛くは、ない。
 だけど、だけど、自分の体が自分のものじゃないみたいで恐ろしい。

 とっくに気づいていたけれど私の蜜壺はゼノン様の指をすぐ受け入れられるほど潤っていて、それが胸の愛撫でよりぬかるんでいる。
 ちゅくちゅくと音が聞こえて、それが自分の中から出ている液体だと思うと恥ずかしくてたまらない。

「おと、音させちゃ、いやぁ……」

「俺がさせてるんじゃない。シアのここが、すごく濡れて……気持ちいいんだな」

「ゼノンさまあ……ッ」

 あちこち触られて、舐められて、恥ずかしい声をたくさん上げてしまった私にゼノン様は息を荒くしていて、ああ、わたくしを見て昂奮してくださっているのだと嬉しくなる。
 いつもだとこの辺りでオシマイになるのだけれど、今日は違うんだと思うと、喜びが心を満たした。

 わたくしの上で馬乗りになったゼノン様のお顔が、少しだけ怖い。
 熱のこもった眼差しが、まるで射貫くかのようにわたくしを見下ろしていて、怖いと思うのに期待が隠しきれない。

 フーッ、フーッと息を荒げるゼノン様が、苦しそう。
 そう思って思わず両手を差し出すと、そっと優しく手が重ねられた。

「挿れたい。挿れる。……だが、辛かったら、言ってくれ」

「きて、ゼノン様。ゼノン様の、妻にしてくださいまし」

 ぐっと両足がいつもより大きく広げられて、恥ずかしいと思うのと同時に期待でまた蜜壺が潤うのを感じた。
 ああ、ああ、とうとうゼノン様をお迎え出来るのだ。
 それがたまらなく嬉しい。

 固いものの感触をぬかるんだ場所で感じて、それが入ってくる感触に思わず息を呑む。

「あ、ああ、……」

 ずちゅ、と音が聞こえる。
 あれほど解されていたというのに、違和感と鈍い痛みを感じて、本当に今、ゼノン様と体を重ねているのだと実感する。

(嬉しい)

 ゼノン様でいっぱいだ。
 嬉しい、嬉しい、嬉しい!

 身を裂かれるような痛みなんてものはなくて、痛みよりも温かさを感じる。
 破瓜の痛みはすさまじいなんて書物で読んだけれど、夫であるゼノン様がずっとわたくしを労ってくださっていたから痛くないんだと思うと、嬉しくて涙が出てきた。

「……シア……?」

 苦しそうにしていたゼノン様が、それを見てぎょっとする。
 ああ、ああ、違うの。コレは違うの。

「嬉しくて……」

「シア」

「ゼノン様の、妻に、なれたのですね」

 もし離縁される日が来たとしても、わたくしはこの事実だけで十分だ。
 優しくされて、労っていただけて、そしてこうして身を重ねてくださった。

「もう妻だ」

 だけれどそんなわたくしの心の内など知らないゼノン様が、困ったように首を傾げておられました。
 その様子がなんだか幼子のように愛らしくて、わたくしが思わず笑ってしまうとむっとした表情をしてくちづけをくださいました。

「……動いても、平気だろうか。ゆっくり、するから……」

「も、勿論です。気づかなくて申し訳ございません!」

「いや、謝ってもらうことじゃなくて……」

「は、はい……んあっ」

 貫かれた後どうなってしまうのか想像ができていませんでした。

 それは濁流のような快楽というべきなのでしょうか。
 ゆっくりと抜かれるその感触も、押し込まれる感触も、全てがわたくしを狂わせるのです。

「あっ、あっ、あっ、あっ……!」

 ただひたすら情けなく喘ぐわたくしを、ゼノン様は見つめておいででした。
 こんなみっともない姿を見ないでと思う反面、もっと見てほしいとはしたない自分が声を上げているのだと思うと自分でも驚きです。

「……くっ、すまない……」

「えっ? きゃあ!」

 されるがまま揺さぶられていると、ゼノン様が急に謝られて覆い被さって強く打ち付けられるような感覚にわたくしは目の奥がチカチカとしました。
 一体何が起こったのだろうとその時はわかりませんでしたが、ゼノン様が心地よさげにしておられたので、達されたのだと気づきました。

(わたくしで、気持ちよくなってくださった……!)

 ああ、なんという喜びでしょう。これがまぐわうということなのだと知りました。
 これまではゼノン様に我慢を強いておりましたが、こうしてきちんと出来たのです。

 妻としてのお役目を無事に果たせるとわかったわたくしは、嬉しくてたまりませんでしたが……ゼノン様はどこか不満そうでした。

「シアを……イかせていない」

「で、でも、お種をいただきましたわ」

「子作りは勿論、夫婦にとって大事だけどそうじゃなくて、俺はシアにも気持ちよくなってもらいたい」

「えっ、あのっ、ゼノン様……?」

「シア。もう一度」

 もう一度覆い被さられて、困惑はいたしました。
 けれど、わたくしに拒むなどと言う選択肢はありません。

「お、お好きになさってください。……わたくしはゼノン様の、妻なのですから」
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