その博物館、取り扱い注意につき
とある寂れた場所に、博物館があった。
取り壊し寸前のその建物を買い取り、直し、今は使われない魔道具を展示している博物館。
そこには館長である男と、不思議な猫がいる。
彼らはただ、迎えることができた平和を謳歌しているだけの老人と、猫だった。
※「小説家になろう」にも同時掲載
取り壊し寸前のその建物を買い取り、直し、今は使われない魔道具を展示している博物館。
そこには館長である男と、不思議な猫がいる。
彼らはただ、迎えることができた平和を謳歌しているだけの老人と、猫だった。
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2025/06/22
「あなたは母の代わりじゃない」と拒まれ続けた継母が去った後、実母の命日の白い花が、十二年分遺されていた
歩人(あゆと)母を亡くした年、屋敷に来た継母リーゼロッテを、わたし——クラーラは一度も母と呼ばなかった。
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