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最終章……神の座を目指して

160話……盗賊団殲滅作戦(後編)

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 本営に居る盗賊たちの7割ほどを狩った時、入口から入ってくる気配を捉えた。
 サーシャたちがダミーアジトの後処理を終えて本営に来たのだろう。

 サーシャたちは俺が教えたルートで女性たちの救出に向かっている。
 その気配を感じながら俺は奥へ奥へと進んでいく。

 この頃になると流石に気付かれているようで盗賊たちから警戒の意思を感じるようになったがその程度で俺を止められる訳もなく殲滅作業は順調に進んでいる。

 単独で巡回している男を斬り捨てて集団で固まって警戒している男たちに魔法を撃ち込みさらに奥へ。

 全体の9割近くを殺害した辺りで奥の気配が移動し始めていることに気が付いた。
 これは……待ち伏せかな?
 残った全員で部屋に入ってきた俺に対して一斉攻撃でも仕掛けるつもりなのだろうか?

 それならそれで一網打尽にできて楽なのだが……

 とにかく盗賊たちが移動したお陰で人気の無くなった通路を進み敵の待ち構える部屋の前に到着した。

 さてどうしようか、気配は部屋の奥に固まっていることから俺がこの扉を開いて中に入った瞬間に遠距離攻撃が放たれると予想できる。

 それが弓か魔法かまでは分からないがどう対処しようかな……
 手っ取り早いのはここから魔法を撃ち込んで全滅させることだが、ここはおそらく盗賊団ボスの部屋。
 何かしらの資料や金品が保管されている可能性も高い。

 魔法を撃ち込んだ場合それらも消失してしまいそうなのでこれは却下、やはり突入しかないか……

 仮に何も対策せず突入したところで弓で狙われようが魔法を撃たれようがダメージは受けないだろう。
 だからといって無防備に突入するのも気が引ける。

 やはり一番いいのは風属性魔法かな。
 矢を射掛けてくればたたき落として魔法を撃たれたら逸らせばいい。

 そう決めて扉を押し開けて中へと入る。

「今だ!  射て!」

 予想していた通り部屋に1歩足を踏み入れると数十本の矢が俺目掛けて放たれた。

「はいごくろーさん」

 魔力を風属性に変換、上から吹き降ろす強風を発生させて放たれた矢をたたき落とした。

「なんだと!?  クソっ魔法使いか!  なら……全員でかかれ!」
「応ッ!」

 全員が持っていた弓を投げ捨てて各々近接武器を取りだしてこちらに駆け出した。
 ちょっと多いな……

 近付いてくる男に電撃を放ち貫く。
 直線上に並んでいた男たちも巻き込めるのでとても便利だ。

 数発電撃を撃ち込み数を減らし襲いかかってきた盗賊どもを薙ぎ払う。

 ほとんど手応えもなく数人纏めて両断出来てしまう強欲の剣まじチート。

「ひっ……!」
「死体が……死体が消えた!?」

 斬り捨てた盗賊を邪魔にならないよう【無限積載】に放り込む姿を見て驚いたのか、残った盗賊どもは腰を抜かしてしまった。

「魔法使いかと思ったが魔法剣士だったか……クソ……しかし何故死体が消える?  【アイテムボックス】か?  いやしかし……」

 ボスっぽい男がなにか呟いている。ちょっと脅かしてみようかな。

「もうすぐお前らも消えるわけだけど……覚悟は出来た?  まだなら今のうちにお祈り済ませとけよ?」

 1歩前に踏み出しながら先程放った電撃で貫かれた死体も【無限積載】に放り込む。

「な!?  離れているのに消えた……」

 うーむ、あのボスっぽいのと周りを固めている3人は生け捕りにしようかな?

 その方が功績ポイント貯まるだろ。魔王倒してすぐ侯爵になってしまったからもう少し功績ポイント貯めておかないとあの侯爵仕事しないって言われちゃうしな。

 そうと決まれば即行動。

 まずは【無限積載】でこの部屋の中の物を全て回収、これで心置き無く魔法が使える。

 驚いている盗賊たちを無視して【気配察知】で人数を把握、生け捕りにする4人以外の盗賊たちの数に合わせて氷の槍を生成、一斉に放つ。

「ぎゃああああ!!」
「痛え、痛えよぉ……」

 大半の盗賊は氷の槍に急所を貫かれ即死したが、数人ほど急所を外して生き残っている者がいた。

 狙いが逸れたのかな?  それとも直前で回避しようと動いたのかな?
 まぁどちらでもいい。放っておいたらそのうち死ぬだろ。

 もしも生き残ったなら逮捕して連れて帰ろう。頑張って生き延びてね。

 即死した盗賊の死体も回収、改めてボスたちに向き直る。

「さて……戦って死ぬ?  大人しく捕まる?  俺としてはどっちでもいいから選んでよ。一応おすすめは大人しく捕まる方だよ」

 一応提案してみる。
 戦って死ぬ方を選んだとしても痛めつけて捕まえるけどね。

「……降伏する」
「そっか、賢い選択だよ」

 よし、ミッションコンプリート!

【思念共有】を使って終わったことを報告、みんなは女性たちを発見した部屋で護衛とケアをしているようだ。

 さて……捕まえたはいいけどどうしよう?
 とりあえず縛って転がしてはいるけどこいつらそこそこレベルも高そうだし縄くらい引きちぎりそうだよな……
 警告くらいはしとこうかな。

「一応言っとくけど、逃げようとしたり攻撃しようとしてきたら【精神攻撃】と【状態異常攻撃】叩き込むからな?  ここに来るまでに試したけど、死んだ方がマシみたいな感じになってたからそうなりたくなかったら大人しくしてろよ?」
「ああ、分かっている。アンタに逆らったりしない」

 殊勝なことで。

 どうするか1人で悩んでいても仕方が無いので【思念共有】を通じてサーシャに聞いてみる。
 すると「お父様に聞いてみます」と返事が来たので回答を待つことにする。

 数分も経たないうちにに警備隊詰所に連れてきて欲しいと連絡が来たのですぐに【傲慢なる者の瞳】で確認、転移で連行する。

 自分の身分と要件を告げてボスたちを引き渡す。
 ついでに即死を避けた盗賊もまだ生きていたので治療を施して一緒に連れてきた。

 正直ボスたちは高レベルっぽいので預けるのは少し不安だったのだが、なにやら魔力を乱す拘束具というものがあるらしくそれを付けられると魔法やスキルを使用するのに著しく制限がかかるそうだ。

 その拘束具を取り付けるのを見届けてからウルトに【思念共有】を繋いで場所を確認、そこへ転移で移動する。

「お疲れ様ですレオ様。早速で申し訳ないのですが、こちらの女性たちは一度ライノス家で預かるそうですので……」
「もう段取りしてくれてるの?」

 そうだとしたら手際いいな……結構な人数居るぞ?

「はい。メイドたちの生活している別棟で受け入れるそうです。極力男性との関わりがないようにとの配慮です」
「なるほど、じゃあ俺は転移で連れて行けばいいの?」
「はい……その、お疲れのところ申し訳無いのですが……」

 そのくらいなんの問題も無い。

「大丈夫だよ。どこに転移すればいい?」
「中庭で受け入れ態勢を整えているそうですのでそちらにお願いします」
「了解」

【傲慢なる者の瞳】で確認、問題なさそうだな。
 一度で全員は運べないので何度かに分けて転移を繰り返し無事全員を送り届けることができた。

「では私たちは今日はこちらに泊まりますので……」

 サーシャ、ベラ、イリアーナ、ソフィア、アンナの5人は被害女性のケア、護衛のためにライノス家に泊まるそうだ。

 護衛は必要ないと思うのだが、被害女性の心境を思えば護衛されている方が安心だろう。快く送り出すことにする。

「あれ?  リンは泊まらないの?」
「ええ、護衛もソフィアとアンナが居れば安心だし、あたしには心のケアなんて出来ないもの。それに……」

 それに?

「新婚早々旦那様が浮気しちゃったら困るでしょ?  誰かが一緒に居ないとね」
「しねぇよ!」

 俺のことなんだと思ってるんだよ!

「ではリンさん、レオ様のことよろしくお願いしますね」
「任せておいて。サーシャちゃんも頑張ってね」

 サーシャからもお願いされちゃった……浮気すると思われてるのかな……

「ほら、帰るわよ」
「はい……」

 庭を確認して誰もいなかったので転移で帰宅した。

「旦那様!?  お戻りになられたのですか!?」

 家に入ると使用人に驚かれてしまった。
 そういえば帰るって連絡するの忘れてたな。

「急ですまないね」
「いえ、なんら問題はございません。ご夕食は如何なさいますか?」
「用意してくれ。今日は俺とリンの2人分で構わない」

 用意された食事を2人で食べてゆったりと風呂に浸かる。
 我が家の風呂はよめーず全員と俺が一緒に入ってもゆっくり出来るほどに広い。

 元々よめーず全員で入っても大丈夫なくらいの広さで注文していたのだが完成してみればよめーずと俺が一緒に入れる広さだったのだ。

 今のところそんな機会は無いのだがそのうちあればいいなと思ったり思わなかったり。

 風呂でゆっくりと疲れを癒してリンと2人で寝室に入る。

「今日は2人きりね」
「そ、そうだね……」

 なんだかリンの目が怖い。捕食者の目をしている。

「今日は遠慮しなくてもいいわよね?」
「いや……その……今日はいっぱい戦ったから、ほどほどに……ね?」

 優しくベッドに押し倒され唇を塞がれた。

「ふふ……レオ、愛してるわ」
「リン……俺も……」

 その言葉を合図に蹂躙は開始された。
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