39 / 141
四章 月下香
マイアーレ商会
しおりを挟む
俺たちは受付のある一階まで降り、受付嬢に追加の料金を渡した
「もう一泊お願いします」
懐から昨日と同じ値段の金を置く
「はい。かしこまりました、ではいってらっしゃいませ」
猫耳受付嬢は笑顔で俺たちを送ってくれた
ちなみに獣武祭に出場することは誰にも言っていない
———宿を出た俺たちは商業地区、商店街に足を運んでいた。商業地区まではルートは案外分かり易かった。道がとても広く端から端まで15mの距離はある
それに魔車が道の中央を走り、歩行者は道の端を歩く
しっかり道の端は歩行者専用になっている
俺は一人感心していた‥‥‥
(時代は止まらず進んでいる‥‥ていうか魔車かっけー)
一人で耽っているとどうやら目的の場所に到着していた。一直線の道に店が左右に建ち並美、全ての建物がモダンでオシャレな構造ばかりだ
この一直線の道は先が見えない程に続いている
またこの道は魔車が通行禁止なため、中央を歩いても平気だ
日用品に飲食店、宝石店に鍛冶屋。様々な店舗が並び色付いている
「防具はどこだろうか‥‥」
防具屋を探し歩いているととても立派な建物が現れた
看板を見ると『マイアーレ商会』と書かれており、武器に防具、宝石、洋服など多種多彩だ
俺は気になったので三人に聞いてみる
三人とも首を縦に振ってくれたので、早速入ると綺麗な女性店員が話しかけて来た
「———いらっしゃいませお客様。今日はどの様な御用でしょう」
笑顔を絶やさないセールスマンのようだ
俺が防具について聞いたら『ではこちらへ』と案内された
女性店員がもう一人来て美人親子を案内する
美人親子ことファシーノ達は洋服が見たいと言って反対側に行ってしまった
俺は女性店員の後ろを歩き防具の棚に案内された
「では何かありましたらお呼びください」
女性店員はそれだけ告げ何処かに行ってしまった
目の前に立て掛けられた防具の種類に迷っていると一人の男性がこちらに歩み寄って来る。薄気味悪い笑顔を作りながら俺に話しかけて来た
「———これはお客様。何かお悩みですかな?」
「ああ、防具を悩んでいてな。種類が豊富で迷っていたところだ」
俺は店員?に悩んでいた事を告げると一緒に選ぶと言うので甘えさせてもらう
「お客様のご予算の程は?」
店員は予算を聞いて来たので『金ならある』とだけ告げると
先ほどの薄気味悪い顔がなくなり満面の笑みを向けて来た
「そうですか!そうですか!申し遅れました、私マイアーレ・ポークと申しますっ!このマイアーレ商会のオーナーでございますっ!」
なんとこの立派な商会のオーナーだとは恐れ入った
でも見た目が豚なんだよな‥‥いや、豚の獣人か‥‥
「お客様。先ほど一緒に来られた方々はお連れの方ですかな?」
マイアーレはどうやらずっと見ていたらしい
終始笑顔のマイアーレの目がゲスのような笑みに変わるとこを俺は見逃さなかった———
(こいつ、絶対何か企んでいるだろ‥‥‥薄気味悪い)
俺はマイアーレを睨みつける
「おっとお客様そのような目を向けないでいただきたい。別に取りはしません。なんせ次に出店する店は美女揃いですから」
「‥‥‥それはどう言う事です?」
俺は疑問に思って渋々聞いてみた。すると包み隠さずにペラペラと話てくれた
こいつアホだな
「はいっ!特別ですよお客様?‥‥‥実は娼婦の店を営もうと思っており、それでですな、あの”花魁”を店に付けようと言う計画でございます。ゲヘヘ」
花魁という言葉を聞き背中に衝撃が走る
(俺の予想通りなら花魁といえば昨夜屋上から見たあの人だろう。しかしどうやってあの花魁をこいつが‥‥こんな豚が‥‥)
俺はマイアーレの顔を伺ってさらに探りを入れる
「それは‥…どの様にあの花魁を加えると?とてもじゃないが買われる様な花魁ではないでしょう」
「ゲヘヘヘ。獣武祭に‥‥あの花魁が出ることを知っていますか?一昨年から出場しているのですが、物凄い戦闘を繰り広げて決勝まで行ったんですよ。しかし一昨年も昨年も準優勝止まりで賞金を逃し、今年で優勝できなくば私が彼女を買うことになっているのです!私はですな最高級館に金をドッサリと寄付しているのですよっ!‥‥ゲヘヘ」
———あの花魁が獣武祭に出場していたとは、それに決勝までいく実力の持ち主と‥‥‥とんでもない人だったとは意表をつかれたな
しかしそれよりも気になることが花魁を買うと‥‥一体どう言った経緯で買うのか?花魁はあの娼婦街を統括している者。そのような人がこいつに買われると‥‥なぜだ?
どんなに金を積まれても決して買われるような存在ではないはず‥‥
これはとても根が深い話のようだ
よそ者がどうこうできる話ではないのだろう‥‥
それにこいつは俺を子供だと侮り過ぎている必要以上の情報をこいつは漏らしてしまった。それほどに花魁を手に入れることが嬉しいのだろうな、このアホは
「そうなのですか。しかしあの花魁がなぜ勝てないと思うのです」
そう、俺が疑問に思ったのはここだ。
一昨年も昨年も決勝まで行っても準優勝で敗れてしまうのが謎だ
準優勝でも天才的な戦闘能力だ。獣人からしたら準優勝でも誇れるだろうに
いったい如何してだろうか
疑問に思っているとその答えをマイアーレが勝手に言ってくれた
経営者の知識だけはあるようだが、やはりアホだ
「それはですな、あの獣王の娘。王女リコリス・ヴォルペが居るからですっ!」
おっと、ここで王女様の登場か。なんとも楽しくなりそうだな
「王女はそこまで強いのですか?」
「ええ、そうですともっ!とこれ以上は今日の獣武祭のお楽しみですな!」
———王女リコリス・ヴォルペ
一体どれほどの強さを持っているのか‥‥
俺はマイアーレに促されるまま胸当てだけを買い、店を後にした
「もう一泊お願いします」
懐から昨日と同じ値段の金を置く
「はい。かしこまりました、ではいってらっしゃいませ」
猫耳受付嬢は笑顔で俺たちを送ってくれた
ちなみに獣武祭に出場することは誰にも言っていない
———宿を出た俺たちは商業地区、商店街に足を運んでいた。商業地区まではルートは案外分かり易かった。道がとても広く端から端まで15mの距離はある
それに魔車が道の中央を走り、歩行者は道の端を歩く
しっかり道の端は歩行者専用になっている
俺は一人感心していた‥‥‥
(時代は止まらず進んでいる‥‥ていうか魔車かっけー)
一人で耽っているとどうやら目的の場所に到着していた。一直線の道に店が左右に建ち並美、全ての建物がモダンでオシャレな構造ばかりだ
この一直線の道は先が見えない程に続いている
またこの道は魔車が通行禁止なため、中央を歩いても平気だ
日用品に飲食店、宝石店に鍛冶屋。様々な店舗が並び色付いている
「防具はどこだろうか‥‥」
防具屋を探し歩いているととても立派な建物が現れた
看板を見ると『マイアーレ商会』と書かれており、武器に防具、宝石、洋服など多種多彩だ
俺は気になったので三人に聞いてみる
三人とも首を縦に振ってくれたので、早速入ると綺麗な女性店員が話しかけて来た
「———いらっしゃいませお客様。今日はどの様な御用でしょう」
笑顔を絶やさないセールスマンのようだ
俺が防具について聞いたら『ではこちらへ』と案内された
女性店員がもう一人来て美人親子を案内する
美人親子ことファシーノ達は洋服が見たいと言って反対側に行ってしまった
俺は女性店員の後ろを歩き防具の棚に案内された
「では何かありましたらお呼びください」
女性店員はそれだけ告げ何処かに行ってしまった
目の前に立て掛けられた防具の種類に迷っていると一人の男性がこちらに歩み寄って来る。薄気味悪い笑顔を作りながら俺に話しかけて来た
「———これはお客様。何かお悩みですかな?」
「ああ、防具を悩んでいてな。種類が豊富で迷っていたところだ」
俺は店員?に悩んでいた事を告げると一緒に選ぶと言うので甘えさせてもらう
「お客様のご予算の程は?」
店員は予算を聞いて来たので『金ならある』とだけ告げると
先ほどの薄気味悪い顔がなくなり満面の笑みを向けて来た
「そうですか!そうですか!申し遅れました、私マイアーレ・ポークと申しますっ!このマイアーレ商会のオーナーでございますっ!」
なんとこの立派な商会のオーナーだとは恐れ入った
でも見た目が豚なんだよな‥‥いや、豚の獣人か‥‥
「お客様。先ほど一緒に来られた方々はお連れの方ですかな?」
マイアーレはどうやらずっと見ていたらしい
終始笑顔のマイアーレの目がゲスのような笑みに変わるとこを俺は見逃さなかった———
(こいつ、絶対何か企んでいるだろ‥‥‥薄気味悪い)
俺はマイアーレを睨みつける
「おっとお客様そのような目を向けないでいただきたい。別に取りはしません。なんせ次に出店する店は美女揃いですから」
「‥‥‥それはどう言う事です?」
俺は疑問に思って渋々聞いてみた。すると包み隠さずにペラペラと話てくれた
こいつアホだな
「はいっ!特別ですよお客様?‥‥‥実は娼婦の店を営もうと思っており、それでですな、あの”花魁”を店に付けようと言う計画でございます。ゲヘヘ」
花魁という言葉を聞き背中に衝撃が走る
(俺の予想通りなら花魁といえば昨夜屋上から見たあの人だろう。しかしどうやってあの花魁をこいつが‥‥こんな豚が‥‥)
俺はマイアーレの顔を伺ってさらに探りを入れる
「それは‥…どの様にあの花魁を加えると?とてもじゃないが買われる様な花魁ではないでしょう」
「ゲヘヘヘ。獣武祭に‥‥あの花魁が出ることを知っていますか?一昨年から出場しているのですが、物凄い戦闘を繰り広げて決勝まで行ったんですよ。しかし一昨年も昨年も準優勝止まりで賞金を逃し、今年で優勝できなくば私が彼女を買うことになっているのです!私はですな最高級館に金をドッサリと寄付しているのですよっ!‥‥ゲヘヘ」
———あの花魁が獣武祭に出場していたとは、それに決勝までいく実力の持ち主と‥‥‥とんでもない人だったとは意表をつかれたな
しかしそれよりも気になることが花魁を買うと‥‥一体どう言った経緯で買うのか?花魁はあの娼婦街を統括している者。そのような人がこいつに買われると‥‥なぜだ?
どんなに金を積まれても決して買われるような存在ではないはず‥‥
これはとても根が深い話のようだ
よそ者がどうこうできる話ではないのだろう‥‥
それにこいつは俺を子供だと侮り過ぎている必要以上の情報をこいつは漏らしてしまった。それほどに花魁を手に入れることが嬉しいのだろうな、このアホは
「そうなのですか。しかしあの花魁がなぜ勝てないと思うのです」
そう、俺が疑問に思ったのはここだ。
一昨年も昨年も決勝まで行っても準優勝で敗れてしまうのが謎だ
準優勝でも天才的な戦闘能力だ。獣人からしたら準優勝でも誇れるだろうに
いったい如何してだろうか
疑問に思っているとその答えをマイアーレが勝手に言ってくれた
経営者の知識だけはあるようだが、やはりアホだ
「それはですな、あの獣王の娘。王女リコリス・ヴォルペが居るからですっ!」
おっと、ここで王女様の登場か。なんとも楽しくなりそうだな
「王女はそこまで強いのですか?」
「ええ、そうですともっ!とこれ以上は今日の獣武祭のお楽しみですな!」
———王女リコリス・ヴォルペ
一体どれほどの強さを持っているのか‥‥
俺はマイアーレに促されるまま胸当てだけを買い、店を後にした
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
最強スライムはぺットであって従魔ではない。ご主人様に仇なす奴は万死に値する。
棚から現ナマ
ファンタジー
スーはペットとして飼われているレベル2のスライムだ。この世界のスライムはレベル2までしか存在しない。それなのにスーは偶然にもワイバーンを食べてレベルアップをしてしまう。スーはこの世界で唯一のレベル2を超えた存在となり、スライムではあり得ない能力を身に付けてしまう。体力や攻撃力は勿論、知能も高くなった。だから自我やプライドも出てきたのだが、自分がペットだということを嫌がるどころか誇りとしている。なんならご主人様LOVEが加速してしまった。そんなスーを飼っているティナは、ひょんなことから王立魔法学園に入学することになってしまう。『違いますっ。私は学園に入学するために来たんじゃありません。下働きとして働くために来たんです!』『はぁ? 俺が従魔だってぇ、馬鹿にするなっ! 俺はご主人様に愛されているペットなんだっ。そこいらの野良と一緒にするんじゃねぇ!』最高レベルのテイマーだと勘違いされてしまうティナと、自分の持てる全ての能力をもって、大好きなご主人様のために頑張る最強スライムスーの物語。他サイトにも投稿しています。
異世界帰りの少年は現実世界で冒険者になる
家高菜
ファンタジー
ある日突然、異世界に勇者として召喚された平凡な中学生の小鳥遊優人。
召喚者は優人を含めた5人の勇者に魔王討伐を依頼してきて、優人たちは魔王討伐を引き受ける。
多くの人々の助けを借り4年の月日を経て魔王討伐を成し遂げた優人たちは、なんとか元の世界に帰還を果たした。
しかし優人が帰還した世界には元々は無かったはずのダンジョンと、ダンジョンを探索するのを生業とする冒険者という職業が存在していた。
何故かダンジョンを探索する冒険者を育成する『冒険者育成学園』に入学することになった優人は、新たな仲間と共に冒険に身を投じるのであった。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
僕の異世界攻略〜神の修行でブラッシュアップ〜
リョウ
ファンタジー
僕は十年程闘病の末、あの世に。
そこで出会った神様に手違いで寿命が縮められたという説明をされ、地球で幸せな転生をする事になった…が何故か異世界転生してしまう。なんでだ?
幸い優しい両親と、兄と姉に囲まれ事なきを得たのだが、兄達が優秀で僕はいずれ家を出てかなきゃいけないみたい。そんな空気を読んだ僕は将来の為努力をしはじめるのだが……。
※画像はAI作成しました。
※現在毎日2話投稿。11時と19時にしております。
「元」面倒くさがりの異世界無双
空里
ファンタジー
死んでもっと努力すればと後悔していた俺は妖精みたいなやつに転生させられた。話しているうちに名前を忘れてしまったことに気付き、その妖精みたいなやつに名付けられた。
「カイ=マールス」と。
よく分からないまま取りあえず強くなれとのことで訓練を始めるのだった。
三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる