虚無の統括者 〜両親を殺された俺は復讐の為、最強の配下と組織の主になる〜

サメ狐

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学園都市編 青年期 一章 学園

入学試験 Ⅱ 公爵家

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「———な、な‥‥‥7777ぁぁあああっ!!!?その若さでなんて魔力値を秘めているの!?」


ファシーノが闘技台に行ってから1分程の時が過ぎたのだが、突如闘技場全体に驚愕の声が響き渡った。その悲鳴に似た声の主は受験者の魔力を書面に移している受付嬢、本人からだった


「おお、なんと素晴らしい才能だ!」

「それに見るからに人族、そして貴族ではなく庶民の出とは恐れ入った!」

「中々お目にかかれない才をお持ちだ。“あの者達”とも張り合うやもしれん!」


受付嬢に便乗して堅物だった試験官のお偉いさん達も興味心身にファシーノを凝視する。また水晶に顔を近づけては一人でぶつぶつと話すお偉いさん達。さらに便乗が便乗を呼んでか(そんな言葉あるか知らないが‥‥)この第3演習場に集まる大勢の受験者達もファシーノの魔力値を聞いてからは愕然としていた


「な、7000代後半なんて初めて聞いたぞ?!それになんて美しさだ‥‥‥」

「あんな可愛い子が驚異的な数値を叩き出しやがるとは‥‥‥黒髪いい‥‥‥」

「お近づきになりてーなー‥‥‥スタイルもかなりドストライクだしよぉ」


各々の反応を横目に見るが全く‥‥‥
同性としてその気持ちはわからなくもない‥‥‥!

美人でスタイルも良くてそれに‥‥‥

デカイ

男なら目を奪われて当然だな、うん

一方の女性受験者はファシーノを憧れの眼差しで見つめている。ファシーノは18歳と若い。しかし、大人顔負けの妖美な雰囲気で同年代、歳上までもが彼女に憧れを抱き始めた

試験官、受験者、その他大勢の視線を集めたファシーノは何事も無かったかのように闘技台を降りて真っ直ぐに俺の元へと戻って来る。そんなファシーノは艶然と微笑み、嫌みったらしく話しかけてきた

「———バランスとはこういう事よ?いくら手を抜いたからと言って侮られるのは違うわよ。もし合格しなかったらどうするつもりよ‥‥‥全く」

「すみません‥‥次挽回します‥‥」

とファシーノに言われた事は至極正しい。正論を突きつけられ何も返せないので丁重に謝りファシーノの機嫌を直す。そんな俺を見て面白かったのか直ぐに気分を良くし、笑顔を見せた。彼女は怒るととても冷たく怖い。目の前では言えないが内心ホッとしている‥‥‥


「———ちっ‥‥誰だあいつは?仲良く話しやがって‥‥‥!」

「ついさっき1000の魔力値を叩き出した雑魚がっ!‥‥釣り合わねぇーよ!」

「たった1000が自惚れるなよ!!」


‥‥‥と耳に入ってくる受験者の苛立ち。主に男共からだが、周りからは相当な評価を受けているな。殺気だった視線で俺を睨んでくる。ある意味一番目立っているのかもしれない

穏便に済ます為、色々と目立つのは御免だ
俺はガッツリ無視を決め込もうとした

しかし、事は更に増して行ってしまった

———そう、俺達の方へと真っ直ぐ駆け足で歩いてくるイケメン。奇抜な衣服を纏い、胸にはいくつもの勲章を付け、背後には数名の取り巻きを従えるその男
俺達‥‥‥いや俺の前に来るとイケメンは怒り篭った口調で自信満々に話しかけてきた


「———俺はレオナルド=ダッチ人族国公爵家長男だ。単刀直入に言おう。お前の隣にいる美しい女性を貰おうか?」


‥‥‥やはり俺は預言者なのかもしれないな。確実に面倒事が起こると理解してしまった。それにこの無駄にイケメンは公爵家。貴族の中でも位が一番上か‥‥この傲慢さは幼い頃より甘やかされたか、欲しいものは全て権力と地位で奪い取ってきたのだろうな。俺に奪い取れぬものは無し、みたいな奴だろう


まあ、こういう奴に彼女を渡すわけがないがな!


「———俺はレオン。見ての通り庶民だ。生憎、彼女は俺のものなんでね。おいそれと渡す訳にはいかない」

俺はレオナルドと名乗る貴族を睨み返す。お互いに火花が散り、場の空気は一気に沸騰する。男共は熱狂し、貴族を賞賛する。女性達は一人の女性を巡り、争う様を「キャーキャー!」と胸躍り騒ぎ立てる


「‥‥今なんと言った。聞こえなかったのか?お前と彼女は不釣り合いだ。魔力値1000のお前が彼女の横にいては彼女の美が廃れてしまう!その為にこの魔力値6500の俺が、公爵家の俺が!変わってあげると言っているのだ!」

「お前は権力と地位で全てを物にできてきた人生だろう。だが、それだけではものにできない事もあると知れ。ゲス野郎」

「く‥‥っ!この無礼者がぁ!」


白熱し一歩も引くことのない両者。互いに睨み合い、周りの受験者をも巻き込んでゆく二人の熱

一人の女性を巡っての戦いが今まさに起ころうとしたその瞬間———


「———それでは魔力測定を終えた者は第1演習場にお集まりください。次が最終試験になります。予めお伝えしますが、最終試験は一対一の模擬戦闘です。剣術と魔法を組み合わせ本気で殺り合ってください。特殊な魔障壁を張りますので、心臓が貫かれようが首が跳ねようが、ご心配入りません。それでは、移動をお願いいたします。魔力測定がまだの受験者は残ってください」

「———ふん。庶民よ、覚えているがいい。公爵家に刃向かったその罪、後に償って貰おう‥‥‥先程の話では心臓を貫かれようが死なんらしい、ならば屈辱的に社会的に貴様を葬ってくれよう!逃げるなよ庶民風情がぁっ!」


悪意満ち溢れる笑顔で語るレオナルド。一対一の模擬戦等はランダムと思うが‥‥こいつは裏で手を回すだろう。貴族が皆こういう奴なのかは分からないが、こいつが最悪の部類なのは間違いない。こんな奴にファシーノを渡しては何をするか分からない。いや、大方予想出来るが俺が決して許さない‥‥


そして、最後に舌打ちをしたレオナルドは先に第一練習場へと向かっていった
大勢の受験者の目前でこんなことが起こるとは、非常に面倒臭い

そして残された者達の熱は冷めを知らず、続々と第1演習場へと向かう。きっと俺とレオナルドの戦闘を見るに違いないな‥‥‥

と、ファシーノの許可を得ずにこんな事になってしまった。なんと言われるか分からないが、一応謝っておきましょう!

「す、すまないなファシーノを巻き込んでしまって‥‥‥‥って聞いているか?」

「‥‥っ!え、ええ聞いているわよ!す、少し待って‥‥‥!」


———?どうもファシーノは気分が良くないのか顔を真っ赤にして呼吸が荒くなっていた。顔を覗き込もうとするとより一層赤みを増してしまった。顔を伏せたまま俺の腕を強引に取り、第1演習場に向かうと思われるファシーノだが、その足取りはいつもよりも早い


「———お、”俺の物”なんて‥‥!あんな公衆の面前ではっきりとっ‥‥‥!」

何やらぶつぶつと一人で話しているファシーノ。小さい声で何を言っているか分からないがそっとしておこう‥‥‥


それよりも俺は久々に苛立っている。そしてこの後の展開が楽しみでしょうがない。俺を屈辱的に社会的に殺すと言ったレオナルド。一体どんな手を使ってくるのか楽しみだ。卑怯な手を使おうが構わないぞ!

この俺がそれらを全てを踏み躙ってやろう‥‥!
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