チョロい兄は腹黒な弟に完全に包囲されている。

岡ぱんだ

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兄同士の対面~ルカside~

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「ルー兄さん、仕事に行ってくるね。」

「おう、いってらっしゃい。」

「……。」

ん?どうしたその不満気な顔は……
ああ!そうか、

「……ごめんごめん。」

ポンポンと頭を撫でるとフロウは嬉しそうに目を細めた。
そういえばしてやる約束だったな。

「ふふふ、ありがと。あ、明日どんな所に行きたいか考えといてね。あと買う物も。」

「わかった!」

明日はロウが休みだ。

ロウが部屋を出た後、俺はロウが用意してくれた紙とペンを持ってソファーに移動した。

昨日、何も無い俺の為にロウは紙とペンと読めそうな本をどこからか用意してくれた。
相変わらず鍵は貰えていない為外には出られないが、今日は時間を潰す用意があるから問題ない。

「さて、さっそく買い物リストでも作るか~。」



ーーーポーン

ん?何の音だ?

ーーーポーン…ポーン…ポーン

え?え?どこから鳴ってるんだこれ。
キョロキョロ見回すが音の出所がわからない。

ーーーポーン……ポポポポポポポーーン!

「怖い怖い怖い!」

すごい鳴ってる!!なんだ!?警報か!?

ーーポーン………

「あ、止まった?」

ーーードンドンドンドンドン!!

「ヒェ……。」

ドア、ドアがめちゃくちゃ叩かれてる!

恐る恐る玄関に行き、ドアに空いている小さい穴を覗き込んでみた。

真っ暗だ。何も見えない。

ーーーーードンドンドンドンドン!

「ヒェ……。」

相変わらず真っ暗だ……。


とりあえず、埒があかないので少しだけドアを開けてみよう!ヤバかったら閉めよう!

慎重に少しずつドアを開け、隙間から確認しようとしたその時、

ーーガッッ!
「あああああああ!!!」

その隙間に足を入れられた。

「痛い痛い痛い痛い!!」

ビックリして無理やり閉めようとしたら痛がられた為思わず手を離してしまった。

あ、ヤバい。

案の定手を離してしまった事で足の主はヌルッと部屋に入ってきてしまった。

ヤバいヤバいどうしたら……ん?


「あれ……あんた……。」

「はじめまして、フロウの兄上殿。私はウリエル=ディートリッヒ。昨日は弟が世話になったね。」

「……あんたもしかして、ミカの兄貴か!」

髪色とオッドアイの左右の色が違うが顔が似ている!!

「イエ~ス!いや~驚かせてしまってすまない。何度もインターホンを鳴らしたのに何の反応も無かったからドアを叩いてしまったよ。でも出てきてくれて良かった。危なくもう少しで無理やりドアをぶち破る所だったよ。あはっ!」

インターホン?あの音の事か?

ってぶち破る!?

ミカと対照的によく喋るし……物騒だし……怖っ……。

「ふぇ…」

「そんな怯えないでくれ!まるで幼獣の様だな君は!ミカ坊が言っていた通りとても愛らしい!」

「愛らしい……。」

う、嬉しくない……。

「あは!そんな身構えないでくれよ!取って食いやしないさ!今日は君と話がしたくて来たんだ!さぁ、行こう!」

「え、行くってどこに……。俺鍵持ってない…。」

オロオロしてる内に腕を捕まれた……ビクともしない……何だこの力の強さ……。

「大丈夫さ!フロウには伝言を頼んだから!さぁさぁさぁ!」

強い強い強い!!

「ああああああぁぁ!!」

誰か助けてぇぇぇぇ!!


ーーーーガチャン。






ーーーーフロウ執務室ーーー

ーーコンコン

「どうぞ。」

「失礼致します。フロウ=ファルメール上級魔術師殿、ウリエル=ディートリッヒ交渉官殿からご伝言を承って参りました、只今お時間宜しいでしょうか?」

「ウリエルさんから?すごく嫌な予感がしますね……どうぞ、お願い致します。」

「畏まりました。では、交渉官殿のお言葉をそのままお伝え致します。……ゴホン。『お仕事お疲れ様だねフロウ!私はやっと仕事が一段落して昨日帰ってきたんだ!そしたら君の兄上殿が来ていると言うじゃないか!これは挨拶しないわけにはいかないだろう?……と、言うわけだから今日1日兄上殿を借りるぞ!!』」

「はっ!?」

「わっ!!」

「……すみません、続けて下さい。」

「は、はい。『安心してくれ!君が仕事が終わる頃には送り届けるよ。もし、君が帰ってきていない時は一緒に部屋の前で待つようにするさ!大丈夫、兄上殿の安全は私が保証しよう!それではまた後程!がんばって仕事に励んでくれ!』……以上です。……大丈夫ですか?フロウ上級魔術師殿。」

「はい……大丈夫です……少し胃が痛むだけです……伝言ありがとうございました。」

「はっ!では、失礼致します!」


ーーバタン。




防音の部屋から微かに叫び声が聞こえた気がした。(伝言係談)




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