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オマケ話【俺様の可愛い恋人は】

3 了

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 顔を真っ赤にした真冬は、不満げに怒鳴ってきた。


「お、お前が、あんなに……すっ、するから……っ!」
「いや、真冬が気持ち良さそうな声出すのが悪いだろ」
「何で抱かれてる方の俺が加害者なんだよ! いっつも手を出してくるのはお前だろ!」
「手ェ出さなかったら出さなかったで、物欲しそうな目してくンのはお前だろ?」


 確かに抱いてるのは俺様だが、だからって全部が全部俺様のせいじゃないだろう。

 真冬の独自解釈が、なんとなく面白くない。
 ついついムッとして、強めに反論をしてみる。


「ば……っ!」


 そうすると、真冬は顔を更に赤くした。
 なにか言いたげに口を開いては、閉じている。

 ……おそらく、昨日のセックス中に自分がどれだけ恥ずかしいことを言ったのか、思い出したんだろうな。

 マジで、真冬は分かりやすい。

 真冬は素直に、自分からねだることはあまりしない。
 『もっと』なんて直接的なセリフを、吐いたりしないのだ。

 ……それでも、体が求めてきてるんだから仕方ない。


(そう言えば……高校に入って、初めて俺様の家に来た時もそうだったな)


 俺様のことが大嫌いだと言っていたくせに、扱いたら気持ち良さそうな声を出して。
 命じたら素直に足を開いて、俺様の手で射精した。

 正直なところ、俺様はモテる。
 だから、真冬以外の奴と何回かセックスをしたことだってある。

 その経験に比べたら、真冬との行為は……ただ触って、イかせただけ。

 なのに、情けない話。


(たったそれだけの行為が、それまでの人生で一番興奮したんだよなァ)


 それだけ、俺様は真冬が好きだったということだ。

 何で真冬を好きなのか。いつから真冬を特別だと思っていたのかなんて、そんな小さいことは覚えてない。
 きっかけなんか覚えてなくたって、俺様が真冬を好きって現実に変わりはないからな。

 いよいよ本格的に拗ねてしまった真冬を、抱き寄せる。


「……何だよ、ドヘンタイ」
「ただの気まぐれだ」


 今こうして、真冬と付き合えているという現実。
 それが、素直に。……本当に、嬉しい。

 独占欲は、人一倍ある。真冬を愛してるという気持ちは、誰にも負けない。
 だが、もしかしたら。

 ――真冬はそれを、嫌がるんじゃないか。

 ――俺様のそばから、離れていくかもしれない。

 そっぽを向かれて、遠くに逃げられる。

 真冬ともう一度疎遠になることよりも辛いことなんか、他にない。


(ガラにもねェな……)


 弱気になっている自分が情けなくて、真冬を強く抱き締める。
 そうしていると、不意に。

 ――唇に、柔らかい感触がした。

 驚いた俺様はすかさず、真冬を見る。
 キスをしてきた犯人なんて、真冬しかいないからだ。

 真冬は真っ赤になって俯くと、またしてもブツブツと呟き声でなにかを言い始める。


「お前って本当に、分かりやすい。……なに落ち込んでるんだよ、ばか……」
「俺様が? 落ち込んでるワケないだろ」
「あっそ」


 真冬のことなら、何だって気付けるつもりだ。

 だけど、もしかしたら。


(……何で、バレたんだ?)


 真冬にとっての俺様も、そうなのかもしれない。

 そう思うと同時に、何でか……胸の辺りがモゾモゾとした。





オマケ話【俺様の可愛い恋人は】 了




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