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イルルヤンカシュ討伐
もがく
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「足を緩めるな! 捕まるぞ!」
バグンッ!
「ぎゃぁぁぁぁ‼」
また一人飲み込まれていく、崖の受けから合図が送らてくるも暗さと相手が砂の上に姿を見せないのでどうしようもできない。
「チッ! ジャマルの足についてくるなんて、砂の中は水なのかよ⁉」
ラバルナも相手を観察したながら、自分の部隊を整えていく。
私の仲間も徐々に集結しており、ファルスさんたちも上手に逃げていた。
だけど、このままではジリ貧になってしまい、体力がなくなった人から徐々にやられてしまう。
「く! くるなぁぁぁ!」
逃げ惑う仲間たち、それを面白おかしく追い回すような動きをみせているイルルヤンカシュ、崖の上では松明が徐々に増やされ灯りが強くなっていくけれど、まだ足りない。
「レイナ様! このままでは全滅ですぞ」
「わかっているわ、どうにかして砂から出しましょう」
弓を当てようにも、相手が見えない。
一瞬襲う間際に姿が見えるも、狙いを定める暇は無かった。
ここまで徹底的に砂の中から出てこないのには、なにか理由がある。 それを見つけられればもしかすると勝てるかもしれない。
『ねぇ、あのコ……嘆いているわ』
「嘆いている? うそ、だってこんなに暴れているのに⁉」
急に話しかけては、そのまま何も答えてくれないソマリ、でも彼女が何かを伝えたかったのかもしれない。
だけど、今は逃げるだけで精一杯だった……どうにかしないと‼
そのとき、崖からカランっと小さな岩が落ちてくると、砂にぼふっと埋まる。
一瞬、ほんの一瞬だけどイルルヤンカシュの動きが鈍ったような気がした。
「え? まさか……でも、確証はないわね」
レイナ考えるのよ、ずっと砂の中に潜む存在で隠密行動が得意……それはなぜ?
熱探知能力? それは無い、昼間にも襲われているし、夜だけの襲撃ならそれも考えたけれど違うだろう。
「こうなったら! 無理やり刺してやる」
「待ってください、今突撃しても意味はないです‼」
「だったら、このまま逃げろってか⁉ アイツが口を開ける瞬間に剣を突き立ててしまえばいいんだろ? だったら、その役目は俺……」
何をバカなことを言っているの、それは自爆でしかないし成功率がかなり低い。
でも、ラバルナの先ほどの言葉が浮かんでくる。 そう、もしかすると本当にイルルヤンカシュにとって、砂は水なのかもしれない。
だとすると、可能性があるのは――‼
「お願いがあります! 松明を括り付けた大きな岩を下に落としてください‼」
崖の上からチカチカと灯りの合図が送られてくる。
【了解、準備に少々かかる】
私はラバルナやファルスさんたちに指示を伝えていく。
「な! 何を正気なのか?」
「無理です、今そんなことをするなんて……」
「大丈夫、信じてください!」
「バカバカしいが、確かにこのままだといずれ全員砂漠に吸い込まれていく。なら、その変な仮説を信じるしかないだろうよ‼」
「……りょ、了解いたしました。合図をお願いします。 全員に伝えてきますので」
一気に私の指示が隊全体に伝わると、不安の色が濃くなっていく。
でも、今は私を信じるしかないと思い、頷いてくれた。
「ありがとう」
個別に感謝を伝えることはできない、だから小さく強く呟くと崖の人たちからの連絡を待つまで気持ちを整えていった。
そして、ついに準備完了の合図が送られてくる。
私はサーベルを掲げると、一気に気持ちの準備が整えられた。
「いくわよ!」
ぶんっと勢いよく振り下ろされたサーベルはそのまま宙を舞い、砂に向かって落ちていく。
そのとき、私たちは動きを一斉に止めた。
「ッ!」
追いかけられていたジャマル隊の人が恐怖で身を縮めるが、その瞬間私のサーベルが落ちるとイルルヤンカシュはズバッと動きを止めて、武器が落ちた場所に向かって動き出した。
(やっぱり、相手は目が見えないんだわ)
バクバクと動く心臓の鼓動を抑えながら、全員の動きが止まる。
恐怖心に押しつぶされそうになるのに耐えながら、黙っていた。
イルルヤンカシュは、そんな私たちを見失いズザザザっと砂の中を動き回っている。
(私が元居た世界でも、視力が悪い生物はたくさんいたけれど、イルルヤンカシュもそうだったのね)
だが、視力が弱い生物は他の器官が発達していたりもする。
鯰は水面に落ちた餌を捕食するために、波動や音を感知する能力に優れており、カモノハシは餌が発する電流を感知して狩りを行うと聞いたことがあったので、全員止まると相手は見失うと考えた。
ピクリとも動かないでいると、相手は我慢比べに入ったのか砂に潜り気配を完全に消してしまう。
最初に一番後方の人が襲われたとき、あれだけ相手に気付かれずに近づけるなら餌の群れの真ん中に現れるほうが効率が良いのに、最後まで動いていた人に狙いを絞ったのは理由があると思っていた。
(よし、今ね)
私は合図を送ると、崖の上から松明を何本も括りつけた岩が落とされた。
ドスンッ! っと、明らかに私たちの動きと異なる音と衝撃だったけれどイルルヤンカシュは飢えているのか、岩を砂の中に飲み込んでいく。
(やった!)
私はジャマル隊にの面々にも合図を送ると、全員が戦闘態勢に移行していく。
さぁ、反撃開始よ!
バグンッ!
「ぎゃぁぁぁぁ‼」
また一人飲み込まれていく、崖の受けから合図が送らてくるも暗さと相手が砂の上に姿を見せないのでどうしようもできない。
「チッ! ジャマルの足についてくるなんて、砂の中は水なのかよ⁉」
ラバルナも相手を観察したながら、自分の部隊を整えていく。
私の仲間も徐々に集結しており、ファルスさんたちも上手に逃げていた。
だけど、このままではジリ貧になってしまい、体力がなくなった人から徐々にやられてしまう。
「く! くるなぁぁぁ!」
逃げ惑う仲間たち、それを面白おかしく追い回すような動きをみせているイルルヤンカシュ、崖の上では松明が徐々に増やされ灯りが強くなっていくけれど、まだ足りない。
「レイナ様! このままでは全滅ですぞ」
「わかっているわ、どうにかして砂から出しましょう」
弓を当てようにも、相手が見えない。
一瞬襲う間際に姿が見えるも、狙いを定める暇は無かった。
ここまで徹底的に砂の中から出てこないのには、なにか理由がある。 それを見つけられればもしかすると勝てるかもしれない。
『ねぇ、あのコ……嘆いているわ』
「嘆いている? うそ、だってこんなに暴れているのに⁉」
急に話しかけては、そのまま何も答えてくれないソマリ、でも彼女が何かを伝えたかったのかもしれない。
だけど、今は逃げるだけで精一杯だった……どうにかしないと‼
そのとき、崖からカランっと小さな岩が落ちてくると、砂にぼふっと埋まる。
一瞬、ほんの一瞬だけどイルルヤンカシュの動きが鈍ったような気がした。
「え? まさか……でも、確証はないわね」
レイナ考えるのよ、ずっと砂の中に潜む存在で隠密行動が得意……それはなぜ?
熱探知能力? それは無い、昼間にも襲われているし、夜だけの襲撃ならそれも考えたけれど違うだろう。
「こうなったら! 無理やり刺してやる」
「待ってください、今突撃しても意味はないです‼」
「だったら、このまま逃げろってか⁉ アイツが口を開ける瞬間に剣を突き立ててしまえばいいんだろ? だったら、その役目は俺……」
何をバカなことを言っているの、それは自爆でしかないし成功率がかなり低い。
でも、ラバルナの先ほどの言葉が浮かんでくる。 そう、もしかすると本当にイルルヤンカシュにとって、砂は水なのかもしれない。
だとすると、可能性があるのは――‼
「お願いがあります! 松明を括り付けた大きな岩を下に落としてください‼」
崖の上からチカチカと灯りの合図が送られてくる。
【了解、準備に少々かかる】
私はラバルナやファルスさんたちに指示を伝えていく。
「な! 何を正気なのか?」
「無理です、今そんなことをするなんて……」
「大丈夫、信じてください!」
「バカバカしいが、確かにこのままだといずれ全員砂漠に吸い込まれていく。なら、その変な仮説を信じるしかないだろうよ‼」
「……りょ、了解いたしました。合図をお願いします。 全員に伝えてきますので」
一気に私の指示が隊全体に伝わると、不安の色が濃くなっていく。
でも、今は私を信じるしかないと思い、頷いてくれた。
「ありがとう」
個別に感謝を伝えることはできない、だから小さく強く呟くと崖の人たちからの連絡を待つまで気持ちを整えていった。
そして、ついに準備完了の合図が送られてくる。
私はサーベルを掲げると、一気に気持ちの準備が整えられた。
「いくわよ!」
ぶんっと勢いよく振り下ろされたサーベルはそのまま宙を舞い、砂に向かって落ちていく。
そのとき、私たちは動きを一斉に止めた。
「ッ!」
追いかけられていたジャマル隊の人が恐怖で身を縮めるが、その瞬間私のサーベルが落ちるとイルルヤンカシュはズバッと動きを止めて、武器が落ちた場所に向かって動き出した。
(やっぱり、相手は目が見えないんだわ)
バクバクと動く心臓の鼓動を抑えながら、全員の動きが止まる。
恐怖心に押しつぶされそうになるのに耐えながら、黙っていた。
イルルヤンカシュは、そんな私たちを見失いズザザザっと砂の中を動き回っている。
(私が元居た世界でも、視力が悪い生物はたくさんいたけれど、イルルヤンカシュもそうだったのね)
だが、視力が弱い生物は他の器官が発達していたりもする。
鯰は水面に落ちた餌を捕食するために、波動や音を感知する能力に優れており、カモノハシは餌が発する電流を感知して狩りを行うと聞いたことがあったので、全員止まると相手は見失うと考えた。
ピクリとも動かないでいると、相手は我慢比べに入ったのか砂に潜り気配を完全に消してしまう。
最初に一番後方の人が襲われたとき、あれだけ相手に気付かれずに近づけるなら餌の群れの真ん中に現れるほうが効率が良いのに、最後まで動いていた人に狙いを絞ったのは理由があると思っていた。
(よし、今ね)
私は合図を送ると、崖の上から松明を何本も括りつけた岩が落とされた。
ドスンッ! っと、明らかに私たちの動きと異なる音と衝撃だったけれどイルルヤンカシュは飢えているのか、岩を砂の中に飲み込んでいく。
(やった!)
私はジャマル隊にの面々にも合図を送ると、全員が戦闘態勢に移行していく。
さぁ、反撃開始よ!
応援ありがとうございます!
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