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学校
しおりを挟む「あなたの母は、異国の金持ちと不倫旅行に行って亡くなったんでしょう?本当、気の毒だわねぇ」
「・・・」
隣からキャサリンの取り巻きが話に入ってくる。クスクスと周りも笑っていた。
「平民生まれの卑しい父親に育ててもらったから、そんな平民と仲良くできるのかしら」
「・・・パパの悪口は・・・言わないで」
「あ~ら、怒っちゃったの?怖ぁい」
馬鹿にするキャサリンたちをメアリーは睨み付けた。エレナがメアリーの腕を引っ張る。
「メアリー、行こう。授業始まっちゃうよ」
メアリーは冷静になろうと大きく呼吸した。挑発する彼女たちの言葉を無視してメアリーはエレナと共に授業に向かった。
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「お疲れ、メアリー。学校はどうだった?」
「うん、楽しかったよ」
(朝は気分悪いことあったけど・・・)
「本当かい?虐められたりしてないかい?」
「ううん、大丈夫。それよりパパ、今日のご飯は何?」
「今日はメアリーの好きなラム肉だよ」
「わー!嬉しい!!」
嫌なこともメアリーはリチャードといるだけで忘れられる。メアリーはリチャードさえいれば幸せなのだ。メアリーはリチャードの肩に頭を寄せた。リチャードに頭をよしよしと撫でられてメアリーは目を細める。
(子供っぽく振る舞ったら・・・いっぱい触ってくれるから好き)
メアリーが大人っぽい服を着たり、エレナに教えてもらった化粧をすると、リチャードはメアリーに指一本も触れないし、よそよそしくなるのだ。リチャードに触れてもらうのが好きなメアリーは未だにリチャードが買ったピンクのレースの服を着ているし、化粧もしていない。
(パパに触れるだけで、こんなにドキドキするのに・・・)
メアリーはリチャードを父親として見たことはない。リチャードへの気持ちを再確認したのは、彼氏のいるエレナの軽い質問であった。
「メアリーは好きな人いないの?」
「・・・いるよ」
「え、まじで!?誰誰?知ってる人??」
「・・・パパ」
エレナはお子さまの答えが返ってきたと、がっくりしてエレナは続けた。
「そういう好きじゃなくてさぁ・・・その、一緒にいるだけでドキドキして、触れたくて、胸が締め付けられるような、そういう人」
(パパといるとドキドキするし、触ってほしいし、胸がギュッってする)
「うん、やっぱり・・・パパが好き」
「・・・それがもし本当だったら、禁断の関係じゃない・・・ん、でも、血は繋がってないからいいのかな?」
そんなメアリーの話にエレナは真剣に付き合ってくれた。他の人に話しても相手にしてくれなかったであろう。メアリーは心の広い友人に感謝した。
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