病んでる僕は、

【改訂前】……誰？

ホスト教師のくせに。

六時間目の授業も終わり、ホームルームも終わった。特にすることも無い。
帰ろうとすれば、数Aの先生に呼び止められ、数学準備室へ荷物を届けることになった。

心で軽く舌打ちをして、階段を上り、ドアを叩こうとしてふと気付く。

｢これ、どうやって開ければいいんだ……？｣

両手は塞がっている。

｢足か？｣
｢おい、足はやめろ｣
｢、っくりした……｣
急に背後に立つのはやめて欲しい。
振り向けば、担任の杉田先生がいた。

｢ほら、すぐ開けっからちょっと退いてろ｣
｢はい。｣
すっと横に退いて、先生が鍵を開けるのをじっと見つめる。

ガラリとドアを開ければ、埃っぽい部屋。

｢臭……、ケホッ、ちゃんと掃除してます？｣
｢あー……ここはしてねぇ。奥はしてんだけどな｣
ガシガシと頭を搔いて、先生はそう言った。
｢奥？｣
よく見ると、小さな部屋の奥に扉があった。

｢こっち、入れてやるよ｣
｢ありがとうございます。｣
がちゃりと開いた部屋は、珈琲コーヒーの匂いと少しの紙の匂い。
手前の部屋とは違って、小綺麗な印象を受けた。

｢いい部屋ですね。｣
｢お、わかるか？｣
ドヤ顔にふっと笑ってしまう。
思わず口を隠した。
｢お前、初対面の時も笑ってたな｣
｢気の所為です｣
モゴモゴと口を抑えて話すとそーかいそーかいと適当な返事が返ってきて思わず睨む。
が、余裕綽々な表情が返ってくるからどうにも悔しい。

｢ホスト教師のくせに｣
｢おい｣