冥婚悲恋歌
「貴女にはその姿がお似合いだわ。殿下の隣に相応しいのはこの私よ」
「ありがとうございます! ありがとうございます! 意地悪してくださって……っ!!」
王家主催の夜会が始まるや否や。僕がエスコートをしてきた相手にワインがかけられた。ワインをかけられた女はかけてきた女のドレスの裾に縋りつきながら感謝の言葉を口にする。
頭からワインを垂らしながら。自慢の可愛らしい顔をくしゃくしゃにして相手を見上げる笑顔は酷く醜い。僕は信じられない気持ちで縋りつかれている女性を見た。
どうして。せっかく解放されたのに、なんで今更……! ――――第一歌より。
因習に囚われ、国の発展と引き換えに死者との婚姻を繰り返してきたメーコン王国。肉体を持たぬ冥妃に代わって王家の血脈を繋いできたのは愛されない悪役令嬢たち。死者も参加すると言われている夏の夜会に吹く風が、歴史に埋もれた悲恋を次々と奏でていく――。
歪な発展を遂げる国、メーコンの長い歴史の中で、国を守るために命を散らしていった悪役令嬢と、非情な運命を背負った王子達の短編集。
※以前に書いた「悪役令嬢と冥婚の国」の世界観でのお話ですが、そちらを読まなくても楽しめます。本編では深く語られなかった王子や悪役令嬢達の悲劇をどうぞ。
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