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忙しき土曜日
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「透……おはようって、今日も徹夜だったの!?」
泉の声に気づき顔をあげる。
「あれ、泉さっき寝るって言いにきたばっかでしょ?……ってもうそんな時間なのか……?」
時計を見上げると最後の記憶から半周程時計の針が回っていた。
「透、昨日も徹夜だったよね!?昼間少しは寝てるの!?大丈夫!?」
泉が心配そうに顔を覗き込んでくる。
「うんまあ……もう少しで終わるんだ。これが終わればしばらくゆっくりできるからちゃんと家事もするね。迷惑掛けちゃってごめん……」
ぼんやりとしながら泉を見つめる。
私服姿で、髪を後ろにまとめた泉の耳がたまらなく可愛いとおもう。
泉は泣きそうな顔でオレを見つめた。
「家の事する時間があるんならしばらく休んで?ちゃんと寝ないと身体が……」
……ああ、ちゃんとしないと泉を不安にさせちゃうな……
泉に微笑み掛ける。
「オレは大丈夫だよ。泉こそまだこんな時間なのに……休みの日くらいゆっくり寝てていいのに……」
側に来た泉を撫でようとしたが泉に避けられてしまう。
「もう透ったら、私はちゃんと寝れてるし平気だよっ!それより透の方がっ!!って透昨日もその服着てたよねっ?!」
めざとく泉に気づかれてしまう。
泉は怒ったようにオレの首筋に顔を近づけてきた。
「臭いわけじゃ無いけど昨日お風呂にも入って無いでしょ?もう、忙しいのは分かるけど……」
泉がオレの心配をして怒ってくれてるのは分かったが、こればかりは自分の仕事の仕方に問題があるのは分かってはいたが変えられなかった。
一度集中しだしてしまうとやめられない、時間は一瞬で過ぎてしまうのだ。
そのまま泉を抱きしめる。
「ごめん、どうしても今日中に終わらせたいんだ。今すごく調子がいいし、このままいけば夕方には終わるから。あとちょっとだけ好きにさせて?」
腕の中の泉はオレの背中に腕を回して抱きついていた。
「……いいけど、それが終わったらちゃんと休んでね?お願いだから倒れちゃうほど頑張らないで?」
小さな声で泉がそう言う。
……くそう、かわいいっ!!
時間があればこのまま泉ともっと……
下半身がムラムラっとしてしまう。
小さな泉の身体を抱きしめ、そっと深呼吸した。
泉の匂いを身体中に行き渡らせる。
「……仕事が一段落したら、エッチさせて?」
泉の耳元で囁くと赤くなった泉が頷いてくれた。
★
食事の時ぐらいは顔を見たいと言われてキッチンに移動する。
泉の用意してくれた朝食を食べながら今日の予定を聞く。
泉は今日は浅川さんと買い物に行くそうだ。
「泉、何か欲しい物でもあるの?アレだったらオレ買ってあげようか?最近お金使ってないからあげるよ」
最近ずっと引きこもって仕事をしていたので数ヶ月分のお小遣いがそのまま残っていたので泉に渡そうと思ったら嫌な顔をされてしまう。
「透……いくら在宅の仕事だからって……何か欲しいものとかあるでしょ?透のお小遣いなんだから透が欲しいものとかに使って?」
「……う~ん。欲しいものかあ……すずしろの新しいおもちゃでも買おうかなあ、それとも泉の新しい下着オレに買わせてっ?」
そう言うと泉が唖然としたようにオレを見つめる。
「すずしろのものは透のお小遣いで買わないでいいからっ、私の下着だって私が買うから。……選びたいんなら今度一緒に買いに行こう?」
泉が少し赤い顔でそう言ってくれた。
「えっ!!!いいの!?」
泉に自分好みの下着をっ!!!
胸が高鳴る!!
白がいいか、それとも真っ赤なのとか……一瞬で下着姿の泉の姿を妄想してしまう。
「泉っ、疲れて無かったら明日買い物に行こうっ!?!?ねっ!!」
泉の気が変わらないうちに!!
一気にヤル気が漲ってくる!!
「……」
泉が立ち上がったオレを見ながらふうっとため息をついた。
「透……好きにしていいから、ちゃんとご飯食べて?それから今晩はちゃんと寝てね?」
泉はそう言いながらも微笑んでくれた。
泉と一緒に食事を終えて、浅川さんと出かけると言う泉を玄関まで見送る。
今日は真実が2人をエスコートしてくれると言うので安心だ。
私服姿の浅川さんと真実に挨拶をした。
「浅川さんも真実も、泉のことよろしくね。泉も楽しんでおいでよ、気をつけて行ってきてね」
「ああ、それより透大丈夫か?なんかくたびれてるな?」
真実が心配してくれる横で浅川さんが泉に何か囁いている。
「もうっ、やだっ!!」
真っ赤になった泉が浅川さんの肩に顔を押し付けた。
「……?」
何やらモヤモヤっとしたものが一瞬心によぎったが3人を笑顔で見送った。
★
……みんなでお出かけか。
……楽しそうだったなあ。
ぼんやりとそう思いながらも仕事を再開する。
……まあ普段一緒に仕事してるんだから仲が良くて当然か……
1人パソコンに向かいながらもつい先ほどの3人の事を考えてしまう。
3人とも仕事できそうだもんな。
スーツ姿もバッチリ決まってるし、私服姿の3人もお洒落さん達だった。
……なんか、いいなあ……
自分でこの仕事を選んだはずなのについそう思ってしまう。
この仕事は家でできるし、気楽だ。
人混みが苦手な自分にとっては通勤時間もないし、天職と言ってもいい。
……ただ、ひたすらに孤独だ。
ニャーン
寝室のドアが開いていたのかすずしろが入ってくる。
「すずしろ、今仕事中なんだ。ごめんね」
そう言いながらすずしろを外に出そうと思ったが、すずしろはスッと膝の上に乗って眠り始めてしまった。
……まあジャマされないならいいか。
すずしろを膝に乗せたまま仕事再開。
膝が暖かくなったし、手を伸ばせばすぐにもふもふのすずしろの背中を撫でられる。
すずしろは最高の癒しのパートナーになった。
★
「透……こんな所で寝ちゃったら風邪ひいちゃうよ」
泉に身体を揺すられて目を覚ます。
「んっ……アレ、泉お出かけは?」
なぜか涙を拭っている泉に思わずどきりとした。
「ってどうして泣いてるの?!」
慌てて起き上がり、泉の頬に触れる。
「ううん、何でもないの」
泉はホッとしたように笑った。
……どうやら仕事を終わらせて、データを送信した後そのまま寝落ちしたらしい。
帰ってきた泉は机から転げ落ちたまま寝落ちしたオレを見てびっくりして……
「ああ、なんかごめんね!!」
慌てふためきながら謝ると泉が笑ってくれた。
「ううん、いいから、もうお風呂とかもあとでいいからベットでちゃんと休んで?お腹空いてない?」
ビーフシチューを煮込んでいるのかキッチンからいい匂いが漂ってきていた。
「……お腹空いたかも……」
そう言うと泉はホッとしたように抱きついてきた。
「ご飯食べて、今晩はゆっくり休んでね?本当にお疲れ様でしたっ!」
泉の身体の温もりを感じながら心の底からホッとしていた。
「……うん、ありがとう。しばらく迷惑掛けちゃって本当にごめんね」
そう伝えると泉は首を振った。
「そんなのは全然、透の仕事は透にしか出来ないことだから……私が手伝ってあげられることなんて無いし、これぐらいはさせて?」
そう言ってくれた泉とキッチンに移動して一緒に食事を食べる。
泉の得意料理の一つであるビーフシチューはとてもおいしかった。
大きめの具材に柔らかく煮込まれた肉の旨さが本当にたまらない。
久々にゆっくりと食事をして、お腹が満たされるとやっぱり睡魔に襲われる。
「今日はゆっくり休んでっ★」
泉はオレを寝室まで送り届けて出て行こうとするので呼び止めた。
「泉……一緒に寝ない?あ、でもオレ2日間風呂入ってないから臭いか……」
しかし流石に2日徹夜した後だったのでお風呂に入るほどの元気は無かった。
……泉と一緒には居たかったが、やめておくか。
なんでもないと首を振って泉と別れようとしたら背中に抱きつかれた。
「透は臭くなんてないよ。少し片付けしたら行くから、先に寝てて?」
泉はそう言い、離れていった。
「……うん、ありがとう。じゃあ先に寝てるね」
そう伝えて寝室に入る。
倒れ込むようにベットに横になる。
……限界が来たようだった。
何も考えられなくなって、そのまま意識を手放す。
真っ暗な意識の底にズブズブと沈み込んでいき……
泉の声に気づき顔をあげる。
「あれ、泉さっき寝るって言いにきたばっかでしょ?……ってもうそんな時間なのか……?」
時計を見上げると最後の記憶から半周程時計の針が回っていた。
「透、昨日も徹夜だったよね!?昼間少しは寝てるの!?大丈夫!?」
泉が心配そうに顔を覗き込んでくる。
「うんまあ……もう少しで終わるんだ。これが終わればしばらくゆっくりできるからちゃんと家事もするね。迷惑掛けちゃってごめん……」
ぼんやりとしながら泉を見つめる。
私服姿で、髪を後ろにまとめた泉の耳がたまらなく可愛いとおもう。
泉は泣きそうな顔でオレを見つめた。
「家の事する時間があるんならしばらく休んで?ちゃんと寝ないと身体が……」
……ああ、ちゃんとしないと泉を不安にさせちゃうな……
泉に微笑み掛ける。
「オレは大丈夫だよ。泉こそまだこんな時間なのに……休みの日くらいゆっくり寝てていいのに……」
側に来た泉を撫でようとしたが泉に避けられてしまう。
「もう透ったら、私はちゃんと寝れてるし平気だよっ!それより透の方がっ!!って透昨日もその服着てたよねっ?!」
めざとく泉に気づかれてしまう。
泉は怒ったようにオレの首筋に顔を近づけてきた。
「臭いわけじゃ無いけど昨日お風呂にも入って無いでしょ?もう、忙しいのは分かるけど……」
泉がオレの心配をして怒ってくれてるのは分かったが、こればかりは自分の仕事の仕方に問題があるのは分かってはいたが変えられなかった。
一度集中しだしてしまうとやめられない、時間は一瞬で過ぎてしまうのだ。
そのまま泉を抱きしめる。
「ごめん、どうしても今日中に終わらせたいんだ。今すごく調子がいいし、このままいけば夕方には終わるから。あとちょっとだけ好きにさせて?」
腕の中の泉はオレの背中に腕を回して抱きついていた。
「……いいけど、それが終わったらちゃんと休んでね?お願いだから倒れちゃうほど頑張らないで?」
小さな声で泉がそう言う。
……くそう、かわいいっ!!
時間があればこのまま泉ともっと……
下半身がムラムラっとしてしまう。
小さな泉の身体を抱きしめ、そっと深呼吸した。
泉の匂いを身体中に行き渡らせる。
「……仕事が一段落したら、エッチさせて?」
泉の耳元で囁くと赤くなった泉が頷いてくれた。
★
食事の時ぐらいは顔を見たいと言われてキッチンに移動する。
泉の用意してくれた朝食を食べながら今日の予定を聞く。
泉は今日は浅川さんと買い物に行くそうだ。
「泉、何か欲しい物でもあるの?アレだったらオレ買ってあげようか?最近お金使ってないからあげるよ」
最近ずっと引きこもって仕事をしていたので数ヶ月分のお小遣いがそのまま残っていたので泉に渡そうと思ったら嫌な顔をされてしまう。
「透……いくら在宅の仕事だからって……何か欲しいものとかあるでしょ?透のお小遣いなんだから透が欲しいものとかに使って?」
「……う~ん。欲しいものかあ……すずしろの新しいおもちゃでも買おうかなあ、それとも泉の新しい下着オレに買わせてっ?」
そう言うと泉が唖然としたようにオレを見つめる。
「すずしろのものは透のお小遣いで買わないでいいからっ、私の下着だって私が買うから。……選びたいんなら今度一緒に買いに行こう?」
泉が少し赤い顔でそう言ってくれた。
「えっ!!!いいの!?」
泉に自分好みの下着をっ!!!
胸が高鳴る!!
白がいいか、それとも真っ赤なのとか……一瞬で下着姿の泉の姿を妄想してしまう。
「泉っ、疲れて無かったら明日買い物に行こうっ!?!?ねっ!!」
泉の気が変わらないうちに!!
一気にヤル気が漲ってくる!!
「……」
泉が立ち上がったオレを見ながらふうっとため息をついた。
「透……好きにしていいから、ちゃんとご飯食べて?それから今晩はちゃんと寝てね?」
泉はそう言いながらも微笑んでくれた。
泉と一緒に食事を終えて、浅川さんと出かけると言う泉を玄関まで見送る。
今日は真実が2人をエスコートしてくれると言うので安心だ。
私服姿の浅川さんと真実に挨拶をした。
「浅川さんも真実も、泉のことよろしくね。泉も楽しんでおいでよ、気をつけて行ってきてね」
「ああ、それより透大丈夫か?なんかくたびれてるな?」
真実が心配してくれる横で浅川さんが泉に何か囁いている。
「もうっ、やだっ!!」
真っ赤になった泉が浅川さんの肩に顔を押し付けた。
「……?」
何やらモヤモヤっとしたものが一瞬心によぎったが3人を笑顔で見送った。
★
……みんなでお出かけか。
……楽しそうだったなあ。
ぼんやりとそう思いながらも仕事を再開する。
……まあ普段一緒に仕事してるんだから仲が良くて当然か……
1人パソコンに向かいながらもつい先ほどの3人の事を考えてしまう。
3人とも仕事できそうだもんな。
スーツ姿もバッチリ決まってるし、私服姿の3人もお洒落さん達だった。
……なんか、いいなあ……
自分でこの仕事を選んだはずなのについそう思ってしまう。
この仕事は家でできるし、気楽だ。
人混みが苦手な自分にとっては通勤時間もないし、天職と言ってもいい。
……ただ、ひたすらに孤独だ。
ニャーン
寝室のドアが開いていたのかすずしろが入ってくる。
「すずしろ、今仕事中なんだ。ごめんね」
そう言いながらすずしろを外に出そうと思ったが、すずしろはスッと膝の上に乗って眠り始めてしまった。
……まあジャマされないならいいか。
すずしろを膝に乗せたまま仕事再開。
膝が暖かくなったし、手を伸ばせばすぐにもふもふのすずしろの背中を撫でられる。
すずしろは最高の癒しのパートナーになった。
★
「透……こんな所で寝ちゃったら風邪ひいちゃうよ」
泉に身体を揺すられて目を覚ます。
「んっ……アレ、泉お出かけは?」
なぜか涙を拭っている泉に思わずどきりとした。
「ってどうして泣いてるの?!」
慌てて起き上がり、泉の頬に触れる。
「ううん、何でもないの」
泉はホッとしたように笑った。
……どうやら仕事を終わらせて、データを送信した後そのまま寝落ちしたらしい。
帰ってきた泉は机から転げ落ちたまま寝落ちしたオレを見てびっくりして……
「ああ、なんかごめんね!!」
慌てふためきながら謝ると泉が笑ってくれた。
「ううん、いいから、もうお風呂とかもあとでいいからベットでちゃんと休んで?お腹空いてない?」
ビーフシチューを煮込んでいるのかキッチンからいい匂いが漂ってきていた。
「……お腹空いたかも……」
そう言うと泉はホッとしたように抱きついてきた。
「ご飯食べて、今晩はゆっくり休んでね?本当にお疲れ様でしたっ!」
泉の身体の温もりを感じながら心の底からホッとしていた。
「……うん、ありがとう。しばらく迷惑掛けちゃって本当にごめんね」
そう伝えると泉は首を振った。
「そんなのは全然、透の仕事は透にしか出来ないことだから……私が手伝ってあげられることなんて無いし、これぐらいはさせて?」
そう言ってくれた泉とキッチンに移動して一緒に食事を食べる。
泉の得意料理の一つであるビーフシチューはとてもおいしかった。
大きめの具材に柔らかく煮込まれた肉の旨さが本当にたまらない。
久々にゆっくりと食事をして、お腹が満たされるとやっぱり睡魔に襲われる。
「今日はゆっくり休んでっ★」
泉はオレを寝室まで送り届けて出て行こうとするので呼び止めた。
「泉……一緒に寝ない?あ、でもオレ2日間風呂入ってないから臭いか……」
しかし流石に2日徹夜した後だったのでお風呂に入るほどの元気は無かった。
……泉と一緒には居たかったが、やめておくか。
なんでもないと首を振って泉と別れようとしたら背中に抱きつかれた。
「透は臭くなんてないよ。少し片付けしたら行くから、先に寝てて?」
泉はそう言い、離れていった。
「……うん、ありがとう。じゃあ先に寝てるね」
そう伝えて寝室に入る。
倒れ込むようにベットに横になる。
……限界が来たようだった。
何も考えられなくなって、そのまま意識を手放す。
真っ暗な意識の底にズブズブと沈み込んでいき……
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