崩壊Sランクパーティーの生残者


【Sランクパーティー 冠絶の足跡】

 最強と讃えられた剣士、最堅と冠された戦士、最大と称された魔術師、最高と仰がれた聖女、最適と謳われた補助魔術師。

 最たる者たちが足並みを揃えるパーティーのことを、畏敬の念を込めて誰もがそう呼んだ。

 彼らは多くの偉業を成し遂げ、幾重にも功績を重ね、数え切れぬほどの人々を救い、人々の希望として、最を冠する者として在り続けていた。


 そんな彼らの力を持ってしても未踏のダンジョンを踏破することは出来ず、あろうことか五人のうち剣士、戦士、魔術師の三人が命を落とす。

 聖女と補助魔術師の二人は生き残った。だがしかし、致命傷を負ってしまった聖女の命はもう間もなく消えようとしていた……。

 事実上のSランクパーティー崩壊である。


 最後にただひとり残された補助魔術師はちからの大半を失い、最適と謳われた補助魔術師すらもう居ない。


 長年の間苦楽を共にしてきた仲間を亡くし、最適たる補助魔術師としての力すら失ってしまった少年には、ただひとつだけ、遺されたものがあった。
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