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監禁
俺は、ひとりじゃない
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諦めてんじゃねえよ!俺!
昨夜の自分の失態を思い出して死にたくなるが、やっぱり死にたくないのでどうにかしないといけない。このままではきっと良くない展開になってしまう。そんな気がする。だが勝負に負けた以上俺からなにか言うのは違う気がする。ますます詰んできたな。
「なに?まだ考えてるの?」
「まあなぁ。本当に大丈夫か?いきなり殺されたりしない?」
「たまに心配になるんだけどさ、シャルル様って本当は凄い悪いことしてたりしないよね?裏で人身売買とかやってないよね?」
「誰が人身売買顔だ」
「顔は格好良いよ!」
「そうか?えへへ」
「ちょろ可愛い」
「ん?アルフィなに食べてるんだ?」
「なんか美味しげなやつ」
気付けば隣でもしゃもしゃ食べてた。いつものことだが。
「茄子とししとうか。良いにおいだな」
「茄子とししとうの味噌炒めでございます」
マスターが他の客のカクテルを作りながら答える。
「アルフィちょっとだけ」
「やだ」
「ひとくち」
「自分で頼みなよ」
「ひとくちで良いんだよ!」
「わがままか!僕は全部が良いの!」
これを全部食べるとなるとビールは必須。しかし今日はワインの気分だ。くそ、どうすれば。
「もしゃもしゃ」
「くっ!どんどん無くなっていく!」
さっき晩飯沢山食べたでしょうがと言いたくなる健康的な食べっぷり。10代恐るべし。
「アルフィ」
「あげないよー」
「あー」
アルフィがチラッとこちらを見る。俺は顔を赤くして口を開けている。他の客の目が生暖かい。
「シャルル様、そこまでして」
ほら、どうだ?あーんしたくなるか?はは、マスターの顔見れねえよ。
「もしゃもしゃ」
「食うのかよ!」
「食べ物は別腹。マスターこれ超美味しい、最高」
「ありがとうございます」
「くそおお!」
頼むしか、無いのか?だがその時はビールとセットは譲れない。ワインを頼むならチーズで軽くいこうとしていたが。あれだと後で胃もたれしないか?結構量あるぞ?
「はっ!」
その時俺の脳内に色んなスポーツ漫画の名シーンがフラッシュバックしていく。そうだ、そうなんだ。
「俺は、ひとりじゃない」
そうだよ。俺はもう寂しい独り身では無いんだ。
「そうだろう?アルフィ」
「え?なに?」
食べ終えてオレンジジュースをチュウチュウ飲んでいるアルフィ。あれの後にオレンジジュースいける意味がわからんが、彼なら出来ると確信する。
「俺がもう一度あれを頼むから、ひとくち食った残り全部食べてくれ!」
「ふふ、ようやくわかったようだね。僕はずっとその言葉が聞きたかった」
がっちり握手する俺達。
「マスター!さっきの美味そうなやつをもう一皿!」
「ししとう切れたんで無理ですね」
「赤ワインとそれに合うチーズ適当によろしく。なあアルフィやっぱり一度お兄さんに話を通した方が良いんじゃないのか?」
「とんだ流れ弾だね。そもそもシャルル様はなんでベッドでは素直なのに、それ以外では頑なに僕に帰れ帰れって言うの?やっぱり虐めて欲しいから?」
アルフィが本気でわからないといった顔をして聞いてくる。
「いや、だからだな。今のままアルフィが家に帰らないと、俺がなにかして帰さないようにしてるって思われるだろ?侯爵家を敵に回したくないんだよ」
「じゃあなんでそんなに、その、誘ってくるの?」
なんで今更ちょっと恥ずかしそうに聞くんだろう。
「いや、誘ってない」
「そういう所だよ!?ちゃんと言ってよ!僕ばっかり好き好きってアピールさせて!自分は被害者面する!」
「なっ!?」
アルフィってやっぱり俺のこと好きなの?今好きって言った?
「だから!なんで今ニヤニヤしてんの!?ちゃんと言えって!ねえ!」
「ふふ、そうか」
「そうかじゃないよ!まったく!」
ぷりぷりしてるアルフィも可愛い。俺は可愛いアルフィを肴にして美味しいワインを楽しみ、今日も難題には蓋をした。
昨夜の自分の失態を思い出して死にたくなるが、やっぱり死にたくないのでどうにかしないといけない。このままではきっと良くない展開になってしまう。そんな気がする。だが勝負に負けた以上俺からなにか言うのは違う気がする。ますます詰んできたな。
「なに?まだ考えてるの?」
「まあなぁ。本当に大丈夫か?いきなり殺されたりしない?」
「たまに心配になるんだけどさ、シャルル様って本当は凄い悪いことしてたりしないよね?裏で人身売買とかやってないよね?」
「誰が人身売買顔だ」
「顔は格好良いよ!」
「そうか?えへへ」
「ちょろ可愛い」
「ん?アルフィなに食べてるんだ?」
「なんか美味しげなやつ」
気付けば隣でもしゃもしゃ食べてた。いつものことだが。
「茄子とししとうか。良いにおいだな」
「茄子とししとうの味噌炒めでございます」
マスターが他の客のカクテルを作りながら答える。
「アルフィちょっとだけ」
「やだ」
「ひとくち」
「自分で頼みなよ」
「ひとくちで良いんだよ!」
「わがままか!僕は全部が良いの!」
これを全部食べるとなるとビールは必須。しかし今日はワインの気分だ。くそ、どうすれば。
「もしゃもしゃ」
「くっ!どんどん無くなっていく!」
さっき晩飯沢山食べたでしょうがと言いたくなる健康的な食べっぷり。10代恐るべし。
「アルフィ」
「あげないよー」
「あー」
アルフィがチラッとこちらを見る。俺は顔を赤くして口を開けている。他の客の目が生暖かい。
「シャルル様、そこまでして」
ほら、どうだ?あーんしたくなるか?はは、マスターの顔見れねえよ。
「もしゃもしゃ」
「食うのかよ!」
「食べ物は別腹。マスターこれ超美味しい、最高」
「ありがとうございます」
「くそおお!」
頼むしか、無いのか?だがその時はビールとセットは譲れない。ワインを頼むならチーズで軽くいこうとしていたが。あれだと後で胃もたれしないか?結構量あるぞ?
「はっ!」
その時俺の脳内に色んなスポーツ漫画の名シーンがフラッシュバックしていく。そうだ、そうなんだ。
「俺は、ひとりじゃない」
そうだよ。俺はもう寂しい独り身では無いんだ。
「そうだろう?アルフィ」
「え?なに?」
食べ終えてオレンジジュースをチュウチュウ飲んでいるアルフィ。あれの後にオレンジジュースいける意味がわからんが、彼なら出来ると確信する。
「俺がもう一度あれを頼むから、ひとくち食った残り全部食べてくれ!」
「ふふ、ようやくわかったようだね。僕はずっとその言葉が聞きたかった」
がっちり握手する俺達。
「マスター!さっきの美味そうなやつをもう一皿!」
「ししとう切れたんで無理ですね」
「赤ワインとそれに合うチーズ適当によろしく。なあアルフィやっぱり一度お兄さんに話を通した方が良いんじゃないのか?」
「とんだ流れ弾だね。そもそもシャルル様はなんでベッドでは素直なのに、それ以外では頑なに僕に帰れ帰れって言うの?やっぱり虐めて欲しいから?」
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「いや、だからだな。今のままアルフィが家に帰らないと、俺がなにかして帰さないようにしてるって思われるだろ?侯爵家を敵に回したくないんだよ」
「じゃあなんでそんなに、その、誘ってくるの?」
なんで今更ちょっと恥ずかしそうに聞くんだろう。
「いや、誘ってない」
「そういう所だよ!?ちゃんと言ってよ!僕ばっかり好き好きってアピールさせて!自分は被害者面する!」
「なっ!?」
アルフィってやっぱり俺のこと好きなの?今好きって言った?
「だから!なんで今ニヤニヤしてんの!?ちゃんと言えって!ねえ!」
「ふふ、そうか」
「そうかじゃないよ!まったく!」
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