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第2章 水の都アクアエデンと氷の城

元彼の思想

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「あ、新しい情報が乗ってる」

パソコンをパチパチと動かしながら飲み物をごくり。
Tシャツとホットパンツという部屋着でパソコンに向かう翠はAnotherfantasiaの公式サイトを見ていた。
アップデートのお知らせと初の公式イベント開催のお知らせ

「イベント………なになに」

今から2週間後に初の公式イベントの開催をいたします……………………………………

内容は書かれておらず、詳しくは明日のゲーム内で発表との事。
発表後に公式サイトに詳しく乗るとの事で、このゲーム内での発表もイベントのひとつに含まれるらしい。
そして、スキルの発動短縮。
スキル~で発動が可能になる。

「おー、動きながら弾きながらだからだいぶ楽になるー」

今日一日はアップデートの為ゲームはおやすみ
仕事終わりですることもなく、たまには…とパソコンを閉じた後ビールを取りに行った。
スナック菓子やおつまみを用意してビールを開けた。
プシュ!といい音をたててビールの独特の匂いが広がる。

「今日は奮発、発泡酒じゃなくてちゃんとしたビールぅー!」

いざ!と、飲もうとした瞬間携帯が鳴った。

「何ていうタイミングなんだー!」

少し離して置いてあった携帯を四つん這いで取りに行き画面をみる

「……………………ひぃろぉしぃぃぃいい?」

元カレからの着信。
イラッとしてポイッと携帯を放置。
その後止まった為よしよし、とまたテーブルに戻る。
テレビを付けてもやってるのはバラエティばかり。
まぁ、いっか。
よしよし、じゃあ今度こそ!

「いただきまー………」

また、またか。
また着信に邪魔される。
見えてるのか!?

「なんなのよ!?」

携帯を鷲掴みにして見るとやはり宏と表示されている。

チッ…………着信拒否にすれば良かった

「なんのよう?」

「あ!翠!出てくれた!」

「だから、なんのよう?」

「あ、あのさ今日は時間が有るから会わない?美味しいご飯おごるよ!」

焦りと早口で言う宏は翠に未練が有るのが良くわかる。

「…………あのさぁ、私が行くと思う?」

「翠はさ!俺との時間が欲しかったんだろ?だからさ、ほら時間取れたから………」

そりゃ、今ゲーム出来ないから時間取れるわな。

「……………今アップデート中だもんね?そりゃ、時間も空くよね?」

「………え?なんでそれ…」

一瞬静かになり、宏が明るい声を発した。

「翠!ゲーム始めたんだね!良かった、渡して良かった!!」

良くねーよ。
いや、ゲームは面白いけど。

「じゃあさ、一緒に遊べるよ!クラン!クラン入れてあげる!!ね!?」

これからのイベントも一緒にできるよ!
あ、レベル上げも手伝う、まだわからないよね?
ジョブはなに?あ、職種のことね!
何にしたの!?
俺はさ……………………

1人で盛り上がり話し続ける宏。
聞きながらビールを1口、もっと美味しく楽しく飲めるはずだったのに………

「…………あのさ」

「ん!?」

「ゲームは始めた、楽しい。その事は、まぁ、感謝してる。」

「ほんと!?良かった!!じゃあさ、明日…」

「でも、私たちが別れた事実はそのままだし宏と遊ぶ予定もつもりもないよ。クランももう入ってるしフレさんに色々聞けるから宏いなくて全然構いません。おーけぃー?」

「…………え?いや!ほら、俺の方が慣れてるから話しやすいでしょ?初めて会ったやつより!それに!クラン!こっちはトップランカーの集まりで強いから!ね!?」

こっちもトップランカーだわ。

「てかさぁ、もう連絡しないでって言ったの忘れた?」

慌てだした宏は、翠の言葉で泣き出した。

「……お、おれ、翠がまだす、好きなんだ……また前みたいに一緒に、いようよぉー楽しかったじゃん!幸せだったじゃん!」

「最初はね。」

「………………………………」

グスグスと泣く声が聞こえてきているが翠は冷めた目でつまみのスルメを口に入れた。
炙っているため柔らかく弾力がある。
一味とマヨネーズの味がアクセントに効いてうまい。

「…………酒が不味くなる」

「…み、みどり…?」

「もう切る。私は私で好きにしてるから邪魔しないで。宏だって私に邪魔されて嫌だったでしょ?イライラしてたの良くわかったし。」

「……そ、そんな事……」

「じゃ、サヨウナラ」

何か話してるのが聞こえるがブチッと切り着信拒否設定設定……

「……気を取り直して飲むか」

なんだかさっきの勢いはなくなりため息混じりにビールを1口。
なんだか苦味がいつもより強く感じた。
















「翠が、翠がゲームを始めた!!」

自室でお出かけする前のオシャレをした姿で自分の携帯を握りしめている宏。
また急いで電話を掛けたが翠はもう出なかった。

「ゲームしてるってわかったし、絶対見つける!VRは身バレ注意で外見かえてるけどきっと大丈夫!だって、話し方や癖、動きはそんなに大きく変えれないし!」

えっと、クランに入っているから………

宏は翠への未練が募りゲーム内で翠を探し出そうとパソコンを開いた。
まずは、現在のクランの存在の確認といるキャラな確認……
作られたクランは公式サイトの一覧で見れる。
高ランカーのクランから表示され、そこには勿論フェアリーロードもあり翠も登録されている。

一つ一つ見ていき、宏はフェアリーロードで止まった。

「え?フェアリーロードに人が2人加入してる…」

加入お断りのフェアリーロードなのに…と宏は別な意味でスイとファーレンを覚えて、まだ次のクランへと移っていった。

「楽しみだな、翠と遊ぶの」

宏の中では既に翠と遊ぶ事が決定づけられているようだ。
クランを一通り見たあと、購入出来る女性用装備を見てあれいい、これいい、と金額の確認をしていた。

「合流したらいい装備買ってあげよ!」

ワクワクしている宏は、早く明日にならないかな…とパソコンを眺めていた。




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